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獣医師が伝える犬猫の病気や治療の考え方

【獣医師が解説】犬・猫の在宅緩和ケアとは

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― フェンタニル・酸素療法・食事で「つらさを減らす」選択 ―

※本記事は、獣医師の立場から
犬や猫が自宅で穏やかに過ごすための在宅緩和ケアについて、
分かりやすくまとめたものです。


在宅緩和ケアとは?

在宅緩和ケアとは、

病気を「治すこと」だけを目的にせず、
痛みや苦しさを和らげ、
その子らしい時間を守るためのケア

を、自宅で行うことを指します。

対象となるのは、

  • 腫瘍(がん)
  • 心臓病
  • 呼吸器疾患
  • 高齢による体力低下

など、長期管理や終末期ケアが必要な状態です。


在宅緩和ケアの3本柱

在宅緩和ケアは、
次の3つを組み合わせて考えることが重要です。

  1. 痛みを和らげる(フェンタニルなど)
  2. 呼吸を楽にする(酸素療法)
  3. 体力を支える(食事・栄養)

どれか一つだけではなく、
バランスが大切です。


① 痛みを和らげる:フェンタニルパッチ

フェンタニルパッチは、
強い痛みを持続的に和らげる貼付型の鎮痛薬です。

自宅で使われる理由

  • 薬を何度も飲ませなくてよい
  • 痛みの波が少ない
  • 食欲が落ちていても使用できる

飼い主さんに知ってほしいこと

  • 眠そうになることがある
  • 動きがゆっくりになることがある

これらは、
痛みが和らいだ結果として見られる場合もあります。

ただし、

  • 呼吸が極端に浅い
  • 反応が著しく低下する

などの変化があれば、
すぐに動物病院へ連絡してください。

※使用方法・期間は
必ず獣医師の指示を守ってください。


② 呼吸を楽にする:在宅酸素療法

呼吸が苦しい状態は、
犬や猫にとって大きなストレスになります。

在宅酸素療法が役立つ場面

  • 腫瘍による呼吸困難
  • 心臓病による肺水腫
  • 高齢・衰弱による低酸素状態

在宅酸素療法のメリット

  • 病院に通わずにケアできる
  • 夜間や急な苦しさに対応しやすい
  • 落ち着いて過ごせる時間が増える

在宅酸素室は、
「治療」ではなく「つらさを減らす環境づくり」
と考えてください。

👉 在宅酸素療法について詳しくはこちら
▶︎ 犬と猫の酸素室(在宅酸素療法)の解説

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③ 体力を支える:食事と栄養

在宅緩和ケアで、
最も軽視されがちで、最も重要なのが食事です。

食事で一番大切な考え方

「理想的な栄養」より
「今日も少しでも食べられること」

  • 食べない時間が長くなる
  • 体重・筋肉量が落ちる

これらは、
生活の質を大きく下げてしまいます。


犬の場合

  • 嗜好性
  • 消化の良さ
  • 体重維持

を重視します。

👉 フード選びに迷ったら
▶︎ 獣医師が選ぶ犬のおすすめフードまとめ

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「もう治療はしない」という意味ではありません

在宅緩和ケアを選ぶと、

「もう何もしないということですか?」

と聞かれることがあります。

答えは違います

在宅緩和ケアは、

  • 苦しさを減らす
  • 穏やかな時間を増やす
  • 家族と過ごす時間を守る

ための、積極的な医療の選択です。


在宅緩和ケアでよくある不安

Q. 何から始めればいい?

まずは、
今一番つらそうな症状から対処します。

  • 痛み → 鎮痛
  • 呼吸 → 酸素
  • 食欲 → 食事調整

すべて一度にやる必要はありません。


Q. 自宅で本当に大丈夫?

多くの場合、
適切な指導があれば可能です。

不安なことは、
必ず主治医に相談してください。


まとめ|在宅緩和ケアは「その子らしい時間」を守るために

在宅緩和ケアは、

  • フェンタニルで痛みを和らげ
  • 酸素で呼吸を助け
  • 食事で体力を支える

この3つを組み合わせて、
「つらさを減らすこと」を目指すケアです。

治すことが難しい状況でも、
できることは、まだたくさんあります。

迷ったときは、
一人で抱え込まず、
主治医と一緒に考えてください。


獣医師の視点で、
治療中の犬に現実的に選ばれているフードをまとめまています。

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