更新日:2025/12/9
犬や猫の「白目(結膜・強膜)」は健康状態を映す鏡のような存在で、
赤い・白い・黄色い・充血している・腫れている などの変化には必ず理由があります。
白目の異常は、
結膜炎のような軽いものから、緑内障・ぶどう膜炎・高血圧・貧血・黄疸 など
全身に関わる重大な病気までさまざまです。
この記事では、白目に起こる代表的な異常と原因、
動物病院を受診すべきサイン、治療の流れを獣医師がわかりやすく解説します。
1. 白目(結膜・強膜)の異常とは?
白目を構成する部位は主に2つです。
- 結膜(白目の上の粘膜):赤くなりやすい
- 強膜(眼球の白い部分):通常は白く、病気で色が変わることがある
白目は血管や免疫機能が集まっており、
外部刺激・炎症・全身病などによりすぐに変化が現れます。
2. 白目が「赤い」ときの原因(犬猫共通)
■ ① 結膜炎(最も多い)
- ウイルス・細菌
- アレルギー
- 乾燥
- ゴミや刺激物
→ 赤い・涙が多い・目やにが出る
■ ② アレルギー性結膜炎
季節性のかゆみや涙が増えるケース。
■ ③ 緑内障(緊急)
眼圧が上がり、白目が充血して真っ赤になることがあります。
視力が失われる危険があるため、早期診断が必須。
■ ④ ぶどう膜炎(緊急)
眼の内部(虹彩と網膜の間)が炎症を起こし、
充血や痛みが強く出ます。
内科疾患(感染症・免疫疾患・腫瘍)が背景にあることも。
■ ⑤ 角膜疾患(潰瘍など)
痛みで目を細める、涙が多い、結膜が赤いなど。
3. 白目が「白い・濁る」場合の原因
白く見える原因はいくつかあります。
■ ① 浮腫(むくみ)
白目が「ふくらんだように白っぽく見える」状態。
アレルギーや感染、刺激で起こります。
■ ② 脂質沈着(高脂血症)
白目の表面が白く濁るように見えることがあります。
■ ③ 石灰沈着
シニア期に強膜が白く濁ることも。
■ ④ 貧血
白目が“白っぽく”見える場合、
全身の酸素不足=貧血 の可能性があります。
- ぐったり
- 呼吸が早い
- 食欲低下
が同時にあればすぐ受診を。
4. 白目が「黄色い」場合(黄疸)
白目が黄色く見えるのは 黄疸(ビリルビン増加) です。
原因:
- 肝臓病
- 胆管閉塞
- 溶血(赤血球が壊れる)
- 膵炎
- 腫瘍
白目の黄疸は、緊急性のある全身病のサイン のことが多いです。
5. 白目が「ブヨブヨ腫れる」場合(結膜浮腫)
アレルギーや炎症、感染で結膜がむくみ、
白目がゼリー状に腫れたように見えることがあります。
- 目をこする
- 涙が多い
- 急に腫れる
などが特徴。
アレルギー反応や異物が原因のこともあり、診察が必要です。
6. 緊急で受診するべきサイン
下記の症状がある場合、早急な受診を推奨します。
- 片目だけ急に真っ赤
- 痛がる/目を開けない
- 目が飛び出るように見える
- 急な視力低下
- 白目が黄色い
- 呼吸が早い+白目が白い(貧血の可能性)
- ぶどう膜炎や緑内障が疑われる症状
目の病気は「時間との勝負」になることがあります。
7. 動物病院で行う検査
白目の異常は原因が幅広いため、以下の検査が必要になることがあります。
- 眼科検査(スリットランプ、眼圧測定)
- 角膜染色
- 涙量検査
- 眼底検査
- 血液検査(貧血・感染症・肝臓病など)
- 画像検査(必要に応じて)
8. 主な治療方法
原因によって治療は大きく異なります。
■ 結膜炎
抗生剤点眼、抗炎症点眼
アレルギーの場合は抗アレルギー薬
■ 緑内障
眼圧を下げる点眼・内服
重症例は手術も
■ ぶどう膜炎
ステロイド点眼、免疫抑制
感染症が背景にあればその治療
■ 貧血・黄疸
根本原因の治療(肝臓病、腫瘍、溶血、感染など)
9. 自宅で気をつけること
- 目を触らせない(掻くと傷が悪化)
- 清潔な環境を保つ
- 部屋を乾燥させない
- ハーネス・草・刺激物に注意
- 目やにを無理に取らない
症状が続く場合は 早めの受診 が最も重要です。
10. よくある質問(FAQ)
Q. 白目が赤いだけなら様子見で良いですか?
→ 原因によりますが、1〜2日改善しないなら受診がおすすめです。
Q. 片目だけ赤いのは危険ですか?
→ 異物・角膜潰瘍・緑内障など、片目の病気の可能性があります。
Q. 白目が白い=貧血の可能性あり?
→ はい。全身病の疑いがあるため血液検査が必要です。
Q. 白目が黄色い場合は?
→ 黄疸の可能性があり、緊急性が高いケースがあります。
■ まとめ(この記事の要点)
- 白目の異常(赤い・白い・黄色い・腫れ)は病気のサイン
- 結膜炎だけでなく、緑内障・ぶどう膜炎・貧血・黄疸など全身病も
- 危険な症状(痛み・呼吸異常・黄疸・急な悪化)はすぐ受診
- 診断には眼科検査+必要に応じて血液検査が重要
- 早期治療が視力の温存につながる
以下に獣医師の視点から、
治療中の犬猫に現実的に選ばれているフードをまとめまています。
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