更新日:2025/12/9
犬の咬みつき(咬傷事故)は、
飼い主だけでなく社会全体に大きな影響を与える問題です。
「うちの子に限って…」
そう思っていても、犬は状況次第で誰にでも咬む可能性があります。
咬傷事故は
予防できる事故であり、起こしてしまうと取り返しがつかない責任問題になる
ということを知っておく必要があります。
この記事では、
犬が咬む理由、危険な行動サイン、事故を防ぐための管理、散歩中の注意点、法律的責任まで
獣医師がわかりやすく解説します。
犬はどんな理由で咬みつくのか?
犬が咬むのには必ず理由があります。
その多くは「問題行動」ではなく 正常な防衛反応や恐怖反応 です。
よくある咬傷の背景
- 恐怖(最も多い原因)
- 驚いたときの反射
- 痛みを感じたとき
- 縄張り意識や警戒心
- 食べ物・おもちゃを守る(資源防衛)
- 過剰な興奮
- ストレスや不安
- 社会化不足(幼少期の経験不足)
特に、家庭内の事故では
「家族だから安心」
という気の緩みが大きな原因となります。
咬みつき事故につながる「危険なサイン」
犬は咬む前に 必ず前兆 を出しています。
代表的なサイン
- うなる
- 歯を見せる
- 目をそらさず凝視する
- 身体が固まる(フリーズ)
- 尻尾を下げる or ピンと立てる
- 後ずさりする
- 触られるのを嫌がる
- 耳が後ろに倒れる
- 白目(もっと見える状態)が見える
これらを無視すると、突然の咬傷につながります。
最も危険なのは フリーズ(静止)しているとき です。
“一見大人しく見えるが最も咬みやすい状態” なので注意が必要です。
咬傷事故が多いシチュエーション
- 来客が家に入った瞬間
- 子どもが急に触った
- 食事やおもちゃを取り上げようとした
- 病気や痛みで機嫌が悪いとき
- 散歩中に知らない犬が急接近
- ハーネスや服の着脱時
- 爪切り・歯磨きなどのケア時
事故の多くは 飼い主の油断や予測不足 で起こります。
犬の咬傷に関する法律(飼い主の責任)
犬が人を咬んだ場合、
飼い主には 重大な法的責任 が発生します。
民事責任(損害賠償)
治療費・慰謝料・休業補償などの賠償義務が発生します。
刑事責任
重大事故の場合は、
・過失傷害罪
・過失致死傷罪
に問われる可能性があります。
行政処分(保健所)
- 事故報告義務
- 再発防止指導
- 悪質な場合は飼育制限
「知らなかった」では済まされません。
咬傷事故を“確実に防ぐ”ための飼い主の管理
犬の性格に関係なく、
咬傷防止には 飼い主の適切な管理 が最重要です。
散歩中
- リードは短く持つ(フレキシリードは事故の元)
- 他の犬に勝手に近づけない
- 人通りの多い場所ではリードを緩めない
- 子どもに急に触らせない
- 興奮しやすい犬は距離を取る
家の中
- 来客時はケージ・別室で管理
- 子どもと犬だけにしない
- 食事中は近づかせない
- 怖がりな犬は無理に触らない
- ケア(爪切り・歯磨き)は段階的に慣らす
外出先
- ドッグランは性格に合う犬だけ
- 混雑している日は入り口で引き返す決断が必要
「社会化不足」は咬傷リスクを大きく上げる
子犬期(生後3週〜3ヶ月)は「社会化期」と呼ばれ、
この時期に経験した刺激が一生の性格を形成します。
経験不足の犬は、
- 人
- 音
- 犬
- 環境
に過敏に反応し、咬みやすくなります。
成犬からでも訓練・慣らしは可能ですが、
できるだけ早い社会化が理想です。
病気が隠れている場合もある
急に咬むようになった場合、
医療的原因が隠れていることがあります。
- 関節炎の痛み
- 歯の痛み
- 耳の炎症
- 皮膚病
- 認知症(高齢犬)
- 脳疾患
原因治療で改善するケースも多いため、
まずは動物病院でチェックすることが重要です。
咬んでしまったときの正しい対応
① まずは人の応急処置
- すぐ水で大量に洗う
- 消毒
- 深い咬み傷は医療機関へ
犬の口には多くの細菌がいるため、
早めの医療受診が推奨 されます。
② 相手への謝罪と連絡
誠意ある対応が重要です。
③ 事故状況を整理
・どこで
・どのように
・何をしているときに
客観的に説明できるようにします。
④ 再発防止策の実行
犬の性格に合った管理を徹底し、二度と起こさないことが最優先です。
よくある質問(FAQ)
Q. 小型犬でも咬傷事故になりますか?
A. なります。体格は関係なく、十分に重大事故につながります。
Q. 咬み癖は治りますか?
A. 原因次第で改善しますが、完全に“ゼロにする”というより
“事故を起こさない管理を徹底する”ことが現実的です。
Q. 人を咬んだら即処分されますか?
A. 日本では即時処分はありません。ただし再発すると行政指導が入ります。
Q. 子どもとの接触は大丈夫?
A. 管理次第です。安全確保(距離・柵・別室)が大前提です。
まとめ
- 犬の咬傷事故は“起こる前に防ぐ”ことが最も重要
- 咬みつきには明確な原因があり、前兆もある
- 幼少期の社会化不足・恐怖・痛みが主な原因
- 飼い主には重大な民事・刑事責任が発生する
- 散歩・来客・ケア時は特に事故が多い
- 管理や環境調整で多くの事故は防げる
- 問題行動ではなく「安全管理の問題」であることが多い
犬は飼い主を信じて生活しています。
安全を守ることは、飼い主の最も大切な責任です。
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