更新日:2025/12/9
猫の避妊手術(卵巣摘出/卵巣子宮摘出)は、
病気の予防・生活トラブルの軽減・長生きにつながる重要な医療行為です。
一方で、
・手術は本当に必要?
・いつするのが正解?
・費用はいくら?
・太りやすくなるって本当?
・手術しない選択肢はある?
といった疑問や不安も多く、正しい情報を知ることが大切です。
この記事では、避妊手術のメリット、デメリット、最適な時期、費用、術後ケア を
獣医師がわかりやすくまとめています。
避妊手術とは?どんな手術?
猫の避妊手術には以下の2つの術式があります。
■ 卵巣子宮摘出術(OHE)
卵巣と子宮を両方取り除く、もっとも一般的な方法。
■ 卵巣摘出術(OVE)
卵巣のみを取り除く方法。
海外では広く実施され、安全性が確立されています。
どちらの方法でも 発情が止まり、妊娠ができなくなる効果は同じ です。
避妊手術を行うメリット(医学的メリットが非常に大きい)
避妊手術は「病気の予防」という点で大きな利益があります。
■ ① 乳腺腫瘍のリスクを大幅に減らせる
発情前に手術すると、乳腺腫瘍になる確率が ほぼ0%に近づく とされています。
※猫の乳腺腫瘍の約80〜90%は悪性(がん)です。
■ ② 子宮蓄膿症の予防
命に関わる重症疾患で、中高齢で突然発症します。
避妊手術をすれば 100%発症を防げます。
■ ③ 卵巣腫瘍の予防
卵巣を取り除くため発症しません。
■ ④ 望まない妊娠を防ぐ
脱走や同居猫との予期せぬ交尾を防止します。
■ ⑤ 発情行動によるストレス軽減
発情期には以下の行動が増えます。
・大きな鳴き声
・落ち着きがなくなる
・外へ出たがる
・マーキング
これらがなくなるため、猫も飼い主も生活が安定します。
避妊手術のデメリット・リスク
手術にはメリットが多い一方、デメリットも理解しておく必要があります。
■ ① 全身麻酔のリスク
若く健康な猫ではリスクは低いものの、
持病がある場合は注意が必要です。
■ ② 太りやすくなる
代謝が下がるため、手術後は食事量や運動量の調整が大切です。
■ ③ 手術の痛み・ストレス
痛み止めを適切に使用すれば管理可能です。
■ ④ まれに起こる合併症
・出血
・感染
・縫合部のトラブル
など。発生率は低いですがゼロではありません。
避妊手術の最適な時期は?
一般的に次の時期が推奨されます。
■ 生後5〜6ヶ月頃(最も一般的)
発情が来る前に手術すると乳腺腫瘍の予防効果が最も高まります。
■ 成猫になってからでも可能
1歳以上、成猫、高齢猫でも手術できます。
状態に応じて検査内容や麻酔プランを調整します。
■ 発情期は避けることがある
出血や子宮の腫れがあるため、
発情終了後1ヶ月ほどあけてから手術する場合があります。
避妊手術の費用の目安
地域・体重・病院によって異なりますが、一般的には以下が目安です。
・避妊手術:20,000〜40,000円
・術前検査:5,000〜15,000円
・入院費:病院により異なる
麻酔の種類、術式、入院の有無によって費用は変動します。
手術の当日の流れ
■ ① 術前検査
・血液検査
・レントゲン
・エコー
安全に麻酔がかけられるか確認します。
■ ② 麻酔・手術
通常、30〜60分程度で終了します。
■ ③ 覚醒・帰宅
当日帰宅〜1泊入院まで、病院の方針により異なります。
術後のケアと注意点
・傷口を舐めさせないようエリザベスカラーを使用
・激しい運動を避ける(10〜14日間)
・食欲・元気が落ちていないか確認
・便秘や嘔吐が続く場合は相談
・抜糸の有無は病院の術式による
術後1〜3日は少し元気が落ちることがありますが、徐々に回復します。
避妊手術をしない場合のリスク
避妊しない選択肢も尊重されますが、以下の病気のリスクが残ります。
・子宮蓄膿症(高齢で急激に発症することが多い)
・乳腺腫瘍(特に悪性が多い)
・卵巣腫瘍
・望まない妊娠
・発情に伴うストレス
「将来の病気のリスク」と「手術のデメリット」を比較して判断する必要があります。
よくある質問(FAQ)
Q. 避妊手術は痛くないですか?
→ 麻酔中は痛みはありません。術後は痛み止めでコントロールできます。
Q. 性格が変わるって本当?
→ 性格そのものは変わりませんが、発情がなくなることで落ち着く猫もいます。
Q. 太りやすくなるのが心配
→ 食事量の調整と軽い運動で十分予防できます。
Q. 発情後でも手術できますか?
→ 可能ですが、発情終了後しばらく間を空けます。
Q. 授乳中・妊娠中でも手術できますか?
→ 状況によりますが、多くの場合は授乳後〜体が回復してからが推奨されます。
まとめ(この記事の要点)
・避妊手術は病気予防・ストレス軽減・寿命延長につながる
・乳腺腫瘍・子宮蓄膿症を高確率で予防できる
・手術時期は生後5〜6ヶ月が最も推奨
・デメリットは麻酔リスクと太りやすさだが管理可能
・成猫・高齢猫でも状態が良ければ手術できる
・迷った場合は猫の性格・体質を踏まえて相談を
以下に獣医師の視点から、
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