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犬猫の疼痛管理と鎮痛剤~がんは痛い~

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動物は言葉を話すことができません。

そのため、様々な小さなサインを感じ取ってあげなくてはなりません。

その中でも多く気づけていないサインとして痛みがあります。

今回は犬猫の痛みについてお話しします。

痛みの症状・サイン

犬猫が痛みを示すときのサインとしては

・体を小刻みに震わしている

・動きたがらない

・ハアハアとパンティングをしている(犬)

・触ると体に力が入る、逃げる、怒る、鳴く

・耳を後ろに向け、目つきがいつもと違う

などです。

このようなサインを示し、痛みが予測される場合は積極的に鎮痛薬を飲ませてあげるべきです。

動物にとってその瞬間の痛みをとってあげることはヒトの何倍も大切です。

鎮痛の大切さ

犬猫の鎮痛治療が大切である理由としては、

・苦痛から解放してあげること

・動物は今を生きる生き物であること

つまり、ヒトのように先の回復を見据えて我慢などできず、今の生活の質が大切であること。

・痛みは全身の回復に影響すること

食欲や免疫力、回復力に直結する。

がんの痛み

ヒト医療において言われていることですが、進行がん患者の2/3は強い疼痛を示されるということがわかっています。

がん自体の痛みや神経圧迫、骨転移など様々な理由でがんは体を痛めるためです。

そのため犬猫のがん治療ではなるべく早期から鎮痛治療を実施してあげるべきと考えます。

例えば、猫ちゃんで多い痛い腫瘍に扁平上皮癌があります。

腫瘍の治療の有無にかかわらず鎮痛治療は必ずしてあげるべきです。

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使用する鎮痛剤

よく使用する鎮痛剤には下記のものがあります。

・非ステロイド性消炎剤(NSAIDs)

・モルヒネ

・フェンタニルパッチ

・ガバペンチン

・プレガバリン

・レペタン

・トラマドール

・ビスフォスフォネート(ゾメタ)

それぞれの特徴と使用方法について説明します。

非ステロイド性消炎剤(NSAIDs)

ヒトでバファリンのような頭痛薬で普段からよく使用している鎮痛剤です。

我々が普段内服している消炎鎮痛剤は犬猫には中毒を引き起こすため、少し違う種類を用います。

犬猫でよく使用および処方する解熱鎮痛剤には、

・フィロコキシブ(プレビコックス)

・メロキシカム(メタカム)

・ロべナコキシブ(オンシオール)

などがあります。

これらの鎮痛剤の鎮痛作用は強く、一度の内服で24時間作用が持続します。

ただし、副作用として腎不全(特に猫)や胃潰瘍を生じる可能性があるため内服期間や状態には注意が必要です。

モルヒネ / フェンタニルパッチ

麻薬指定されている鎮痛剤であり、鎮痛剤の中では最も鎮痛作用が強く極めて強力な鎮痛作用を有します。

麻薬であるため、使用には厳密な管理が必要であり、処方されることはまずありません。

入院中や手術に主に使用されています。

ただし、通院中の犬猫で重度の疼痛が予想される場合は、

フェンタニルパッチと呼ばれる湿布のように皮膚に張るタイプのフェンタニルを使用することがあります。

フェンタニルパッチ

皮膚を毛刈りし湿布と同じ要領で張り付けて帰宅します。

使用後約12時間で作用し始め、その効果はおよそ3~4日間持続します。

効果が切れた際は必ず動物病院で張替えを行います。

ガバペンチン /プレガバリン

補助鎮痛剤に分類される鎮痛剤です。

上記の鎮痛剤と比べると単独での鎮痛効果は比較的弱く、他の鎮痛剤と併用して使用します。

もともとは発作を抑える薬剤であるため、神経痛によく効き、少しボーっとする副作用があります。

鎮痛目的では使用用量は少なく、命に関わる副作用は稀です。

レペタン/トラマドール

非麻薬性オピオイドと呼ばれる鎮痛剤であり、その言葉通り麻薬ではないが、とても強力な鎮痛作用を有することから獣医師はよく使用します。

レペタンは注射薬であり、病院での注射や液体としての内服薬として使用することもできます。また座薬も存在しており使用用途は幅広いです。

副作用も少ないため安全に使用することができます。

ただし、作用時間が6~8時間と短いため、1日に複数回の投与が必要となります。

ビスフォスフォネート(ゾメタ)

骨を破壊するような腫瘍の際に使用する点滴剤です。

骨を壊す破骨細胞と呼ばれる細胞を抑制することで、骨の破壊を抑え、高い鎮痛効果をが期待できます。

骨が破壊されている場合は高カルシウム血症を引き起こしている場合が多いため、この薬剤を投与することで高カルシウム血症を改善することもできます。

高カルシウム血症は気づかれることが少ないですが腫瘍の犬猫で極めて多い病態であり、

命にも関わる病態であるので、その治療に関しては注意が必要です。

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