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獣医師が伝える犬猫の病気や治療の考え方

犬猫の自宅でのフェンタニルパッチ使用について

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― 犬・猫の痛みを和らげるために知っておいてほしいこと ―

※本記事は、獣医師の管理下で処方されたフェンタニルパッチを自宅で使用する際の注意点について、
飼い主さん向けに分かりやすくまとめたものです。


フェンタニルパッチとは

フェンタニルパッチは、
強い痛みを持続的に和らげるための貼付型の鎮痛薬です。

主に、

  • 腫瘍による痛み
  • 大きな手術後の痛み
  • 他の鎮痛薬だけではコントロールが難しい場合

などに、
獣医師の判断で処方されます。

飲み薬とは違い、
皮膚からゆっくり薬が吸収され、一定時間効果が続く
という特徴があります。


自宅で使用される理由

フェンタニルパッチは、

  • 1日に何度も薬を飲ませなくてよい
  • 痛みの波が少なく、穏やかに過ごしやすい
  • 食欲が落ちている場合でも使える

といった理由から、
自宅での緩和ケアや在宅治療で選択されることがあります。


使用中に見られることのある変化

フェンタニルパッチ使用中は、次のような変化が見られることがあります。

  • 眠そうにする時間が増える
  • 動きがゆっくりになる
  • 反応が鈍く感じる

これらは、
痛みが和らいだ結果として起こる場合もあります。

ただし、

  • 極端に元気がない
  • 呼吸が浅い・遅い
  • ぐったりして動かない

といった様子が見られた場合は、
すぐに処方した動物病院へ連絡してください。


自宅で使う際の大切な注意点

① 獣医師の指示を必ず守る

フェンタニルパッチは、
自己判断で使用量や使用期間を変えてはいけない薬です。

  • 貼り替えのタイミング
  • 使用期間
  • 他の薬との併用

については、
必ず獣医師の指示に従ってください。


② 触れ方に注意する

フェンタニルパッチは、
人にも強く作用する薬です。

  • 貼付部位を必要以上に触らない
  • 触った後は必ず手を洗う
  • 小さな子どもが触れないようにする

といった点に注意してください。


③ 誤って剥がれた場合

もしパッチが剥がれてしまった場合は、

  • そのまま放置しない
  • 自己判断で貼り直さない

ようにし、
速やかに動物病院へ連絡してください。


「使う=最期が近い」という意味ではありません

フェンタニルパッチに対して、

「ここまで強い薬を使うということは…」

と不安になる飼い主さんも少なくありません。

しかし、
痛みを我慢させることが正解ではありません。

フェンタニルパッチは、

  • 痛みを和らげ
  • 食事や睡眠を助け
  • その子らしい時間を守る

ための選択肢のひとつです。


痛みが和らぐことでできること

痛みが適切にコントロールされると、

  • 表情が穏やかになる
  • 食べられるようになる
  • 家族と過ごす時間が増える

といった変化が見られることもあります。

「治すため」だけでなく、
「つらさを減らすための治療」

があることを、知っておいてください。


まとめ

フェンタニルパッチは、

  • 強い痛みに対する有効な鎮痛手段
  • 獣医師の管理下で安全に使用すべき薬
  • 自宅での緩和ケアを支える選択肢

です。

不安なことや迷いがあれば、
一人で抱え込まず、必ず主治医に相談してください。

痛みを和らげることは、
「あきらめ」ではなく「大切にすること」
だと、獣医師として考えています。

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