呼吸が荒くて病院に連れていくと、胸に水がたまって、肺に影があります。
このような状況は少なくありません。
肺は癌に限らずとても転移がしやすい臓器なので、
肺以外の部分の腫瘍から肺に転移をすることも多いです。
肺転移しやすい腫瘍
肺に腫瘍を発生しやすい腫瘍は肺癌以外に、
・組織球性肉腫
・血管肉腫
・乳腺腫瘍
・肛門嚢アポクリン腺癌
などがあります。
いずれの腫瘍も肺に転移をすると癌性胸膜炎を引き起こし、胸水が溜まって呼吸が苦しくなります。
では、どうすればいいでしょうか?
胸水に対してできること
胸水が溜まると呼吸が苦しくなってしまうのでなんとかしてあげる必要があります。
できることは大きく分けて3つあります。
①胸水を抜く
エコーにて胸水を確認しながら細い針を刺して胸水を抜きます。
一般的な体格のわんちゃんなら1度に数百ミリリットルの胸水が抜けます。
あまりに短期間に繰り返す場合は胸腔ドレーンという廃液チューブを設置することも可能です。
②内科的に胸水を減らす
癌性胸膜炎に対しては炎症を減らすためにステロイドを使用することで胸水の溜まるペースを下げることができます。
また胸膜炎をひかすために抗がん剤(カルボプラチン)を胸腔内に投与することで、胸水が減少するとも言われています。
③酸素室で生活をする
胸水が溜まると呼吸が苦しくなるので、自宅に酸素室をレンタルし、
胸水が溜まってきても十分に酸素交換をできるようにしてあげます。
放っておくとどうなる?
胸水が溜まってくるのを様子を見て置いておくと、
胸水はどんどん溜まってくるので、呼吸がどんどん苦しくなり、
最終的には呼吸困難になることで低酸素となり亡くなってしまいます。苦しくなる前になにかしらの対応が必要です。
胸水が溜まるペースを下げるために提示した3つの方法はとても大切で、かつ、とても効果が期待できます。
苦しいのを見ているのは辛いですが、できることを最期まで探ししてあげることで、楽になります。
また、ステロイドで食欲が少しでも出れば、
栄養管理を十分にしてあげることで腫瘍免疫力もあがり腫瘍の進行や胸水のペースを下げることにも繋がるので大切です。
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