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足にできた犬の軟部組織肉腫~転移?断脚?末期は?~

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犬の軟部組織肉腫は効きなれない言葉ですが高齢の犬に比較的よく発生する腫瘍です。

皮膚の下の皮下織や筋肉、脂肪など軟部組織よ呼ばれる部分が腫瘍化したものを総じて指します。

では、軟部組織肉腫の症状や診断、治療についてまとめます。

軟部組織肉腫とは

軟部組織肉腫(Soft Tissue Sarcoma ; STS)は、非上皮系悪性腫瘍(肉腫)のうち、以下の特徴を有する腫瘍のことを指します。

・腫瘍組織は偽被膜で被嚢されているが、正常組織との境界は不明瞭で腫瘍組織が筋膜沿いに浸潤性に増殖する傾向がある

・消極的な切除では再発することが多い

・局所浸潤性が強い

・転移は血行性で20%以下、所属リンパ節転移は比較的稀

・組織グレードは再発率および転移率と相関し、外科マージンは再発率と相関肉眼的病変がある場合、化学療法や放射線治療の効果は低い

また、通常は中〜高齢の犬に発生します。

STSに分類される腫瘍には、主に線維肉腫、末梢神経鞘腫(PNST)、脂肪肉腫、粘液肉腫等が含まれます。

見た目

軟部組織肉腫は身体の至るところにでき、数週かけてどんどん大きくなります。

写真は耳にできた軟部組織肉腫です。

軟部と言いますが、比較的硬いです。

写真のように表面に大きく盛り上がってきたり、毛が生えたまま皮膚の下の筋肉に固着して触れたり様々です。

診断

軟部組織肉腫は急速増大する場合もありますが、一般に数週間かけて緩徐に増大し最終的に巨大化します。

筋肉(筋膜)に固着することもしばしばあります。

細胞診検査では、採取される細胞が乏しいことが多いため、診断まではできません。

細胞診検査にてSTSが疑わしい場合には、組織生検をおこないます。

大きなSTSである場合には、見た目以上に周囲組織に浸潤していることが多いため、切除範囲を決定するためにCT検査が有用な場合もあります。また、転移がないか、その他の併発疾患がないかを把握するために全身状態の評価(血液検査、レントゲン検査、超音波検査、所属リンパ節の細胞診検査等)も必要です。

上記の検査をもとに臨床ステージを評価します

治療

治療の第一選択は外科手術です。

特に、初回手術で十分な外科マージンを確保して切除することが最も重要です。

再発を繰り返すほどSTSは悪性度が高くなり周囲組織へ広範囲に浸潤するため、外科マージンを確保するために特殊な皮弁が必要になったり、軽度の外貌の変化や機能損傷が起こる可能性が高まります。

四肢や頭部などの十分な外科マージンの確保が困難な部位のSTSは、外科手術(計画的辺縁部切除)と放射線療法を組み合わせて治療をおこないます。

化学療法は、肉眼病変がある場合には効果が乏しく、外科治療と組み合わせて使用するのが一般的です。

特に組織学的グレード3のSTSでは、約40−50%で転移が生じるため、術後の化学療法が推奨されています。

予後?手術後どうなる?

一般に、初回の外科手術で十分な外科マージンの確保が可能で、組織学的グレードが1−2だった場合には予後は大変良く、局所再発率は10%程度です。

一方、組織学的グレード3、再発例、リンパ節転移や遠隔転移がある場合には、補助治療が必要です。

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