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獣医師が伝える犬猫の病気や治療の考え方

猫とSFTS(重症熱性血小板減少症候群)|症状・感染経路・致死率・人への感染リスク・予防方法

更新日:2025/12/9

みなさんはマダニが保有し、猫や人に致死的な病気を起こすSFTSウィルス感染症は知っていますか?

特にお家周りにのら猫ちゃんがおられる家庭猫ちゃんや、のら猫ちゃんを保護していただいている方は、

このSFTSウィルスの知識は必ず頭の片隅にでも置いておくべきと思います。

なぜ必要かというと、近年日本において報告されはじめ、まだ聞きなれない病気にもかかわらず、

現在日本全土、特に西日本ののら猫で認められ、猫および人において死亡例が報告されている致死率の極めて高い病気だからです。

SFTS(重症熱性血小板減少症候群)は、
マダニが媒介するウイルス感染症 で、人と猫のどちらにも感染し、

特に猫は発症率が高く、
致死率が非常に高い危険な感染症 として日本でも深刻な問題になっています。

この記事では、
SFTSの症状、感染経路、猫から人へうつるリスク、マダニ予防、屋外猫の注意点、受診のタイミング
を獣医師がわかりやすく解説します。

SFTSウィルス感染症とは?

SFTSウィルス感染症とは重症熱性血小板減少症候群と呼ばれ、その略語としてSFTSと呼ばれています。

2011年に中国で初めて報告され、日本国内においては2013年に第1例目の報告がされています。

日本では西日本を中心に報告されていますが、
近年は関西・関東でも検出が増加しており、全国的に注意が必要です。

人では致死率10〜30%、
猫ではそれ以上の致死率が報告されており、非常に危険な病気です。

このウィルスはマダニが保有しており、草むらに入ったのら猫や人にこのマダニが寄生し吸血することで感染します。

このように主な感染ルートはマダニ→猫、ヒトですが、ヒトーヒトの感染も確認されています。

症状

発症すると症状として、発熱、リンパ節の腫れ等に加え、血を止める成分である血小板や免疫防御の白血球が減少し、

全身のいたるところで出血が起こり、多臓器不全となり死に至ります。

日本においても、のら猫に噛まれた高齢者やマダニが寄生した高齢者の死亡例、のら猫の死亡例が報告されています。

では、今後このウィルスから自分を、お家の猫を、のら猫を守るためにどうすればいいのでしょうか?

SFTSから猫を守るため

まず、インフルエンザやコロナウィルスと違いこのウィルスはマダニや感染猫を介してうつります。

現時点ではこのウィルスに対するワクチンもありません。

そのためまず、ヒトや家庭の猫はマダニやのら猫に曝露しないこと、のら猫はマダニが寄生しないように十分予防することが必要です。

ただし、のら猫はかなり多くの病原体や寄生虫に暴露されて保有していますので、完全な防御は困難です。

猫がSFTSに感染する3つの経路

1. マダニに咬まれる(最も多い)

草むら、河川敷、外飼いの猫が特に高リスク。

2. 感染した動物を捕食する

感染ネズミや小動物を食べた場合に感染することがあります。

3. 感染猫の体液が人にうつる

猫のSFTSは、
飼い主への直接感染リスクがある唯一のマダニ感染症 といわれています。

  • よだれ
  • 血液
  • くしゃみ
  • 咬みつき

これらの体液に触れることで、人がSFTSを発症した例も報告されています。


猫のSFTSの症状(初期〜重症化)

SFTSの症状は急激に進行します。
早期受診が命を救うカギです。

初期症状

  • 元気がない
  • 食欲低下
  • 発熱
  • 嘔吐・下痢
  • ぐったりして動かない

進行すると

  • 血小板減少
  • 出血傾向(歯茎・皮下・便に血)
  • 黄疸
  • けいれん
  • 意識障害

特に ぐったりして目が合わない、動かない 場合は重症のサインです。


猫のSFTSはなぜ致死率が高い?

  • 有効な抗ウイルス薬が存在しない
  • 進行が早い(数日で急変)
  • 血小板減少と多臓器障害が重なる
  • 手当てが遅れることが多い(風邪と見分けにくい)

治療は 対症療法(点滴・栄養管理・抗生剤・輸血など) が中心ですが、
早期治療でも亡くなるケースが少なくありません。


人への感染リスク(非常に重要)

SFTSは「猫から人へうつる」ことが確認されている病気です。

特に危険な状況

  • 看病時にかまれた
  • よだれが手に付いた
  • 出血を触った
  • くしゃみ・唾液が顔にかかった
  • 無理に口を開けようとした

疑いのある猫を素手で触るのは危険です。

家族が熱や倦怠感を感じた場合も、すぐ医療機関を受診しましょう。


マダニ予防が唯一の確実な防御方法

猫のSFTSはワクチンがありません。
予防の中心は マダニ予防薬 です。

おすすめ

  • スポットタイプ
  • 内服薬(猫用もあり)

予防の重要ポイント

  • 外に出る猫は 通年で予防必須
  • 草むらに入る可能性がある猫は要注意
  • 家族が公園・山に行った後にもマダニが付いてくることがある
  • 完全室内飼いでも油断は禁物

マダニは冬でも生息しています。


外に出る猫で気をつけること

  • 草むらや茂みに入らせない
  • 外から帰ったらブラッシングでチェック
  • 体を触って違和感(しこり状のマダニ)を確認
  • マダニが付いていたら無理に取らず病院へ

マダニは無理に引っ張ると、
口の部分が皮膚に残り炎症を悪化させます。


SFTSが疑われるときにするべき行動

  1. 素手で触らない(手袋必須)
  2. ケージで安静にして動物病院へ
  3. よだれ・血液が付いた物は捨てる or 熱処理
  4. 家族も発熱があれば病院へ

感染対策がとても重要です。


動物病院で行う検査と治療

検査

  • 血液検査(血小板・肝臓・腎臓)
  • 超音波検査
  • PCR検査(SFTSウイルスの確認)

治療

  • 集中的な点滴治療
  • 輸血
  • 栄養管理
  • 抗生剤(細菌感染予防)

治療しても助からないケースが多いため、
“予防が何より重要” とされています。


よくある質問(FAQ)

Q. 完全室内飼いでも感染しますか?

A. 可能性は低いですがゼロではありません。人が運んだマダニが付く例もあります。

Q. マダニに噛まれたか自分で判断できる?

A. 難しいです。米粒状のしこりが付いていることがあります。

Q. 人は猫から感染しますか?

A. はい、猫の体液を介して感染した事例が複数あります。

Q. 治療すれば治りますか?

A. 助かるケースもありますが、致死率が非常に高い病気です。


まとめ

  • SFTSはマダニが媒介する致死率の高いウイルス感染症
  • 猫は特に重症化しやすく、人へうつることもある
  • 早期の症状は「ぐったり・高熱・食欲低下」
  • 有効な治療薬はないため、対症療法が中心
  • マダニ予防薬が唯一の効果的な予防
  • 外に出る猫は通年予防が必須
  • 疑いがある場合は素手で触らず病院へ

猫と家族を守るために、
マダニ予防は一年中続けることが大切 です。

以下に獣医師の視点から、
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