犬猫が食欲不振や嘔吐を示す際に皮膚や粘膜を見てあげてください。
皮膚や粘膜が黄色い場合は黄疸と呼ばれ、血液中のビリルビンが1.5mg/dL以上に上昇しており、命に関わる緊急状態であることを示します。
犬猫において黄疸を示す原因についてまとめていきます。
黄疸の原因
犬猫に黄疸を引き起こす原因は大きく分けると以下の3つあります。
①溶血性(肝前性)黄疸(血が壊れる)
②肝性黄疸(肝臓の病気)
③肝後性黄疸(胆嚢~十二指腸の病気)
犬猫の黄疸が血液検査にて診断された場合は、さらに超音波検査を追加検査として実施し、この3つのどこが原因であるか調べる必要があります。
ではそれぞれについてどのような病気が考えられるかまとめていきます。
溶血性(肝前性)黄疸
黄疸の原因であるビリルビンはもともと血液の成分であるヘモグロビンから作られています。
そのため血液が壊される病気になると黄疸になり、これを溶血性黄疸といいます。
多い病気として、免疫介在性溶血性貧血や輸血実施後の副反応があります。
肝性黄疸
肝性黄疸は肝臓に何か問題が起こり肝臓の機能が低下することで起こります。
考えられる病気として
・感染(ウィルス、寄生虫など)
・腫瘍
・変性(肝硬変や肝リピドーシス)
・中毒
などが考えられます。
肝臓自体になにか問題を有する場合は、肝臓から逸脱する肝障害のGPT,GOTと呼ばれる数値が血液検査で高くなり、エコー検査において肝臓の見え方に異常を起こしていることがあります。
肝臓自体に何が起こっているかは細胞や組織の検査、CT検査など複数の検査を組み合わせないと原因をはっきりさせることは困難です。
肝後性黄疸
肝臓で生成された胆汁は肝内胆管から胆嚢へ貯留、濃縮されて総胆管という細い管を通って十二指腸に流れていきます。
この通路のどこかに異常を起こした場合に起こる黄疸を肝後性黄疸といいます。
この異常を検出するためには詳しい超音波検査が必須であり、また血液検査においてALP,GGTと呼ばれる数値が上昇します。
肝後性黄疸を引き起こす病気として多いものから、
・胆石症
・胆管/胆嚢炎
・胆嚢粘液襄腫
・隣接臓器の炎症(十二指腸カタル、膵炎)
・膵臓、肝臓、胆嚢、胆管、十二指腸の腫瘍
・胆管狭窄(硬化性胆管炎)
などです。
黄疸の治療
黄疸の治療はその原因によってかなり異なります。
そのため何よりもしっかり検査を行い診断をつけることが大切になります。
診断をつける検査のために複数の検査を必要としたり、全身麻酔下でのCT検査や試験開腹手術を必要とすることもあります。
正しく検査し、しっかりと診断治療していただくことを願っています。
健康診断や手術前の術前検査で肝臓の数値が高いことが見つかることは少なくありません。よく数値として引っかかるのはASTやALPという数値です。これらの数値が引っ掛かった際に考えないといけないことと、考えられる原因についてお話[…]