犬猫を飼われている方は皆さんタマネギは食べてはいけないとご存じかと思います。
しかし、タマネギ以外は?どんだけ食べたら、いつ、どんな症状が出て、どうすればいいのかについてはご存じないことが多いです。
これを知っていなければいざ食べてしまった際の瞬時の対応や、こっそり食べていた際に気づくことができません。
今回は、犬猫に多い(タマ)ネギ中毒についてお話しします。

食べてはいけないネギ類と量は?
まず、タマネギ中毒と呼ばれる病態は、タマネギ以外にもニンニク、ネギ、ニラやAllium科の植物(ネギ系の様々な植物)を摂取することで起こります。
そして、調理の有無や、形態によってこの毒性が消失することはないと言われていますので、
調理にネギ類を使ったものはすべてアウトです。
このタマネギの毒性は季節や摂取量、摂取速度によっても異なるので、一概には言えませんが、
犬猫で異常が認められる量は体重1kgあたり犬で15g、猫で5gです。
実は猫の方が感受性が高いのです。
例えば4kgの猫ちゃんは20g以上食べるとキケン。
小さいタマネギ1個約200gなので、1/10玉でも中毒を引き起こしうることになります。
食べてしまったらどうすればいい?
食べてしまった場合は可能な限り早くに動物病院を受診し、催吐処置により吐かせるべきです。
可能な限り早くとは、約2時間以内を目安に、可能な限りです。接種後時間がたつとどんどん消化吸収が進んでしまうためです。
夜の場合は夜間救急です。中毒量食べた場合は迷っている暇はありません。
また、よくネットで自宅で催吐する方法(オキシドールや食塩水)があがっていますが、まずすべきではありません。
吐かせるという行為は、それも故意の薬物の過剰摂取による中毒(吐き気)を誘発する行為ですので安全な行為ではありません。
もちろん動物病院で行う場合もある薬品を過剰投与することで催吐しますので、正しい吐き方など存在しませんが、
動物病院では催吐処置の中で最も安全性が高い方法で、状態をよく注意して観察しながら行っています。
つまり、十分量食べたなら、迷わず近くの動物病院へ行く、の一択です。
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タマネギ中毒になったらどうなるの?
簡単にいうと、ネギによる酸化障害により赤血球が壊されてしまい貧血が起こる病気です。
この病態はネギ摂取後約1~5日で症状として現れます。
症状は貧血に準じて、元気食欲低下、頻脈、頻呼吸、粘膜色の蒼白や黄疸、血尿が特徴です。
壊れた赤血球が尿中にでるので尿が血尿~ワイン色になるのは特徴的です。
治療は?
残念ながら特異的な解毒薬はありません。
つまり、連日注意深く血液検査にてモニタリングを行い、必要に応じて点滴や輸血を行い支持治療を行います。
重症度や適切な治療が施されなかった場合死に至ることのある病気ですが、
早期に適切に治療が行われた場合は比較的良好に治ります。
まとめ
タマネギ中毒はよくご存じの病気ですが、【実際のところ】は知られていないように感じます。
何よりも食べないことが一番ですが、食べてしまうことはあると思います。自分も目の前に牛丼があったら黙ってぺろりとたいらげます。
食べちゃったものは仕方ありません。
しかし、その日々の中で今回の知識を頭の片隅においていただき、
どんなことが起こっても適切に対応していただけたらと思います。
大切なのは予防とアフターケアの心構えです。
犬猫と一緒に生活していると、日々様々なことが起こりますが、
適切に判断し対処することで大ごとにならず対処できます。
そのため正しい知識をもっておくことが大切です。

