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獣医師が伝える犬猫の病気や治療の考え方

猫の肥満細胞腫(MCT)とは|症状・診断・治療・飼い主ができるケア

更新日:2025/12/6

猫がいつもの毛づくろいや日常を変えずに過ごしていても、皮膚の“しこり”、突然の体調不良 ―― それは見た目以上に深刻なサインかもしれません。
肥満細胞腫は、猫によく見られる腫瘍の一つで、「皮膚型」「内臓型」「消化管型」などさまざまなタイプがあります。

この記事では、猫の肥満細胞腫について、
発症の仕組み・タイプ別の特徴・症状・診断法・治療選択肢・飼い主ができるケア を、できるだけわかりやすくかつ正確に解説します。

犬猫の皮膚にはさまざまなできものができます。

過去にまとめたように、犬の皮膚のできものは半分以上が良性のできものであり、

その代表的なできものに脂肪腫があります。

一方で猫は考え方が大きく異なり、

猫の皮膚のできものは半分以上が悪性の腫瘍です。

肥満細胞腫とは?

まず、肥満細胞腫の発生の平均年齢は約9歳ですが、若くても発生する皮膚の悪性腫瘍です。

顔まわり・体幹・四肢に特にできやすいです。

見た目写真は過去のツイッター(ごん太先生のつぶやき)内にアップしていますので一度ご覧ください。

白色~薄ピンク色で、表面に毛が生えていない数mm~3cmほどのできものです。

肥満細胞腫は、蚊に刺された皮膚をイメージするとわかりやすいです。

とても痒いので、気にしてよく舐めたり、舐めると赤く腫れあがったりしやすいです。

しかし、舐めると肥満細胞腫は腫れあがってしまう性質を持っていますので舐めたり触ったりしてはいけません。

肥満細胞腫(MCT)とは?

肥満細胞腫は、免疫やアレルギー反応に関わる「肥満細胞」が腫瘍化したものです。
肥満細胞には ヒスタミンや炎症物質 が含まれており、腫瘍が刺激されると皮膚の赤み、腫れ、嘔吐、潰瘍などの症状を起こすことがあります。

猫の場合、

  • 良性に近いもの
  • 悪性のもの
  • 内臓に発生するタイプ
    など、幅広いバリエーションがあります。

「どのタイプか」「どれだけ広がっているか」によって治療法が変わるため、正確な診断が重要です。

猫で見られる主なタイプ

猫の肥満細胞腫は、主に次の3つに分類されます。

● 皮膚型(Cutaneous MCT)

  • 皮膚や皮下にできるしこりタイプ
  • 猫の肥満細胞腫の中で最もよく見られる
  • 単発で良性に近いケースもある
  • 見た目が小さくても検査が必要

● 内臓型(Visceral MCT)

  • 脾臓・肝臓などの内臓で発生
  • 外から見えないため、症状が出てから気づくことが多い
  • 元気消失や貧血など全身症状として現れやすい

● 消化管型(Intestinal MCT)

  • 胃や腸にできるタイプ
  • 嘔吐・下痢・体重減少などの症状が出やすい
  • 精密検査が必要になることが多い

皮膚型と違い、内臓型・消化管型はより深刻な症状につながるため、早期診断がとても重要になります。

症状:皮膚型と内臓型で異なるサイン

🟡 皮膚型のサイン

  • 小さなしこり(硬い・丸い・皮膚の下に動くことも)
  • 脱毛部位や色の変化
  • しこり表面の潰瘍・赤み・出血
  • 舐める・かゆがるなどの行動

見た目の変化に気づきやすいのが特徴です。


🔴 内臓型/消化管型のサイン

  • 食欲低下・元気消失
  • 嘔吐・下痢・血便
  • 貧血・黄疸
  • 体重減少
  • 腹部の張り

外から見えない病変であるため、症状が出る頃には進行していることがあります。

診断の流れ

肥満細胞腫の診断は、以下のステップで進みます。

● 1)細胞診(FNA)

針で細胞を採取し、顕微鏡で確認します。
皮膚型では最初に行うことが多く、診断の手掛かりになります。

● 2)病理検査(生検/切除)

腫瘍の一部または全体を取り、良性/悪性悪性度(グレード)浸潤の有無 を判断します。

● 3)画像検査(超音波・レントゲン・CT)

内臓型・消化管型では必須。
腫瘍の広がりや転移を評価します。

● 4)血液検査

貧血、炎症、臓器の健康状態、その他の合併症をチェックします。

治療の選択肢

治療は腫瘍のタイプ・部位・広がり・猫の体調により選択されます。

■ 外科手術

  • 皮膚型:可能なら切除が基本
  • 内臓型:脾臓などの腫瘍は摘出手術を検討
  • 完全切除が可能なら、予後改善が期待できることもあります

■ 化学療法(抗がん剤)

  • 摘出困難な場合
  • 転移や全身症状がある場合
  • 内臓型で腫瘍が広い範囲に及んでいる場合

■ 支持療法・対症療法

  • 嘔吐・食欲不振の改善
  • 胃腸保護薬
  • 抗ヒスタミン薬の併用
  • 痛み管理

肥満細胞に含まれる物質(ヒスタミンなど)が症状を悪化させるため、併用薬の調整が重要です。

肥満細胞腫の治療の一択

治療は外科手術です。治療としてはこの一択です。

犬の場合はその悪性度によって、抗がん剤や放射線を外科手術に組み合わせて治療を行いますが、基本的には外科手術によって治す病気です。

また、悪性腫瘍と言っても、猫においてはその肥満細胞腫の9割以上は悪性度が低く、命に関わらないことが多いため、しっかり取り切ることで完治を目指せます。

ただし、犬も猫も繰り返し発生したり、ときに多発することがあるので注意深く経過観察しましょう。

外科手術の費用の相場はおよそ5万円前後でしょうか。

基本的に予後は良好であり、しっかり取り切れていれば完治し、命に関わりません。

肥満細胞腫を適切に治療し、完治した猫ちゃんの流れを⬇️のコラムでまとめています。

完治した肥満細胞腫の猫

【痒いできもの】肥満細胞腫を外科手術で完治した猫

予後について

予後はタイプにより大きく異なります。

● 皮膚型

  • 単発・限局型であれば、切除で良好な経過をたどることが多い
  • 再発や多発性の場合は経過観察や追加治療が必要

● 内臓型・消化管型

  • 病変が深部にあり、進行して見つかることが多い
  • 手術後も補助療法が必要なケースが多い
  • 生存期間は状態や併発疾患により幅がある

「悪性度」「進行度」「切除の可否」「体調」が予後を決める重要な要素になります。

飼い主ができるケア

  • 毎日スキンシップをして、しこり・皮膚の変化に気づく習慣をつける
  • 治療後は傷のチェック、舐め防止、ストレスの少ない環境づくり
  • 食欲・排泄・元気の変化を記録
  • 内臓型では、急な元気消失・嘔吐・貧血症状に注意
  • 不安や迷いがある場合は、セカンドオピニオンも検討

小さな変化に早く気づくことが、命を守るもっとも大切な行動です。

よくある質問(FAQ)

Q. 小さなしこりでも受診したほうがいい?
→ はい。大きさや見た目に関係なく、まずは細胞診で確認することが推奨されます。

Q. 手術だけで治るケースはある?
→ 皮膚型の限局した病変ではありえます。ただし再発の可能性もあるため経過観察が必要です。

Q. 進行した内臓型は治療できない?
→ 完全に治すのが難しくても、手術・補助療法・支持療法で生活の質を維持できるケースがあります。

まとめ

  • 猫の肥満細胞腫は 皮膚型・内臓型・消化管型 があり、発生部位で性質が大きく異なる
  • 皮膚型は早期発見で良好な経過をたどりやすい
  • 内臓型は進行してから気づくことが多く、正確な診断が重要
  • 治療法は手術・化学療法・支持療法を組み合わせて選択
  • 飼い主の観察と早期受診が、治療の成功と生活の質向上につながる

肥満細胞腫は、正しい知識と早めの対応で、大きく結果が変わる腫瘍です。
日々のちょっとした変化を見逃さず、愛猫の健康を守ってあげてください。

皮膚腫瘍で最もよく遭遇する肥満細胞腫のお話しをしましたが、そのほかにも猫ちゃんの皮膚には様々なできものができます。

覚えていていただきたいのは、猫ちゃんの皮膚のできものは要注意であり、細胞診という検査をすべきであること。また肥満細胞腫であればしっかり取って完治させてあげてほしいということです。

お家の猫ちゃんに少しでも参考になればと思います。

以下に獣医師の視点から、
治療中の犬猫に現実的に選ばれているフードをまとめまています。

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