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獣医師が伝える犬猫の病気や治療の実際 

猫の肥満細胞腫~診断・治療・完治が目標~

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肥満細胞腫は悪性の腫瘍ですが、猫の肥満細胞腫の多くは良性の挙動(高分化)をとります。悪性度が高い場合転移再発を繰り返しますが、猫においては非常に稀です。ただし、悪性度が低くても、いたちごっこのように再発や違う部位にできることも多く(約20%)注意が必要になります。

診断(どんな検査をすべきか)

細い針をできものに刺して顕微鏡で確認する細胞診検査ですぐに診断できます。

複数箇所に肥満細胞腫が発生していることも多いので他にできものがないか確認します。

複数発生している場合は、脾臓や近くのリンパ節のエコー検査に加えて細胞診検査を行い、肥満細胞腫の全身への広がりを確認します。

脾臓型の肥満細胞腫が皮膚に多発することもあるためです。

治療(どんな治療法があり、何が最善か)

できものがひとつであれば、皮膚の腫瘤を切除しますが、部位によっては大きく切除するのが困難なことが多く、犬のように大きな傷で切除する必要はありません。

大きなできものや外貌の変化を伴う場所の場合は、手術前に腫瘤の位置をマーキングし、手術前後にステロイドを使用して、可能な限り最小限の傷で取り切ることを目的に切除することもあります。

病理検査で万が一悪性度が高く、取り残りや再発を繰り返す場合は大きく切除する必要がありますが、猫では極めて稀です。

予後(今後どうなるのか)

よくお受けするご質問にお答えしていきます。🔘切除後、再発しない子もいるんでしょうか?↪一度の切除で治る子もいれば、新たな部位に発生することも少なくありません

🔘肥満細胞腫により命を落とす可能性はあるんでしょうか?

↪悪性度の高い一部の肥満細胞腫では脾臓や肝臓、リンパ節に転移すると命に関わることもありますが、猫では稀です。

🔘切除後、傷がなおるまでどのくらいかかるものでしょうか

↪一般的には1週間後には傷は治り切り抜糸して終了になりますが、縫い方や傷口によっては数週間治癒にかかることもあります。

🔘投薬治療について、薬の合う合わないなどはありますよね?

合わない時は逆に体にどのような負担となりますか?

↪ステロイドなどの場合、内臓に負担がないかを考慮(検査)して投薬しますが、長期間や高用量でなければ問題にならないことが多いです。

🔘人間と同じように抗がん剤で相当体に負担がかかるものなんでしょうか

↪負担の強い抗がん剤もありますが、猫の肥満細胞腫でそのような治療になることは稀です。🔘薬を飲むのが本当に苦手な子で、(むしろ吐き出すのがとても上手で) 投薬はどのくらいの期間続けるものなんでしょうか?

↪多くの場合は手術前後のみの数週間で終えますが、抗がん剤の内服を続ける場合は終生飲むこともあります。

肥満細胞腫は数多く遭遇し、悪性腫瘍のため悩ましい腫瘍ですが、猫ちゃんの場合はほとんど乗り越えることができます。

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