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犬の甲状腺癌~手術と余命、末期症状~

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甲状腺はヒトと同じくのどぼとけの近くに存在する臓器で、

体にとって大切な様々なホルモンを分泌している内分泌臓器です。

わんちゃんにおいてこの臓器が大きくなっている場合はその90%は悪性、

つまり甲状腺癌であると言われています。

 
飼い主さん
甲状腺癌について詳しく教えてください

甲状腺癌の診断

甲状腺癌は頸部ののどぼとけ近くに発生しますが、

その他にも同じ場所に発生する腫瘍があるので、まずはその腫瘍が甲状腺癌であることを

画像診断(頸部超音波検査、CT検査)と細胞診検査によって行います。

甲状腺癌とよく間違われる頚部の腫瘍には

・リンパ腫

・血管肉腫

・脂肪腫

・肥満細胞腫

・軟部組織肉腫

などで、これらの見分けは細胞診検査で行いますが、腫瘍に経験豊富な獣医師の判断が必要となることもあります。

ステージ

甲状腺癌の治療を考える上で進行ステージはとても大切です。

ステージは1~4まで存在しており、

1)腫瘍の大きさが2センチ未満で転移がない

2)リンパ節転移がある

3)腫瘍の大きさが5センチ以上ある

4)他の臓器(遠隔)転移がある

の4つです。

治療と余命

治療としては

①外科的摘出

②放射線治療

③内科治療(抗がん剤)

の3つが主になります。それぞれの治療はメリットとデメリットがありますので、その子の年齢や全身状態、進行ステージを加味して考えます。

基本的には可能な限り①外科的摘出を行います。

理由として、外科的摘出を行った場合の余命は2~3年以上期待でき、

転移を認めている場合でも転移病変の進行は比較的ゆっくりであるためです。

また、甲状腺癌は大きくなると気管を圧迫するようになるため、呼吸困難を防ぐためにも実施します。

しかし、あまりに大きすぎて摘出が困難な場合は

②放射線治療

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または

③抗がん剤治療 を検討します。

甲状腺癌に効果を認める抗がん剤としては、

パラディアがあります。

パラディア(トセラニブ)治療

パラディアは肥満細胞腫という腫瘍に開発されましたが、近年さまざまな腫瘍への効果が見つかっており、

甲状腺癌や扁平上皮癌においても腫瘍縮小が期待されます。

以下にまとまっています。

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まとめ

甲状腺癌は悪性の腫瘍ではありますが、

進行は比較的ゆっくりであり、呼吸困難などクビの局所で悪さをしないうちに治療をしてあげることで

長生きすることも可能です。

悪性腫瘍だから、クビの手術はリスクが高いから、との理由で諦める前に腫瘍専門のセカンドオピニオン診療もぜひご検討ください。

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