わんちゃん猫ちゃんはとても長生きになるとともに
腫瘍を患う確率も高まりました。
その中でも犬猫ともに多く、辛い腫瘍にリンパ腫があります。
いきなり我が子がリンパ腫と宣告され、
抗がん剤をしますか?
ステロイドだけにしますか?
無治療にしますか?
という困難な選択を迫られる飼い主様が多いと思います。
今回は、獣医師として、飼い主として自分ならこうする!とゆう意見で治療を考えていきます。
犬のリンパ腫とは
リンパ腫とは白血球の1種であるリンパ球が腫瘍性に増殖する悪性腫瘍です。
犬の腫瘍中では発生率が高く、犬の腫瘍全体の7~24%を占めています。
発生年齢は6ヶ月齢から15歳齢と幅広い範囲で認められますが、一般的には中~高齢(5~10歳齢)に発生します。性別差はなく、発生リスクの高い犬種はボクサー、ゴールデンレトリーバー、バッセトハウンドなどが挙げられています。
リンパ腫は全身をめぐる血液の細胞である白血球ががん化するため、体のほぼすべての組織に発生する可能性があり、
その発生する場所の違いにより症状や治療に対する反応、予後(治療後の経過)が異なる場合があるため、発生場所によりいくつかの型に分類されます。
猫のリンパ腫
リンパ腫とはリンパ系細胞が骨髄以外のリンパ器官等の組織を原発とする腫瘍性増殖疾患の事をいいます。
猫の全腫瘍中の1/3を造血系腫瘍(リンパ系と骨髄系)が占め、さらに、そのうちの50‐90%をリンパ腫が占めており、リンパ腫は猫に最もよくみられる腫瘍のひとつです。
発生に関して猫白血病ウイルス(FeLV)が陽性の場合では陰性と比べ約60倍、猫免疫不全ウイルス(FIV)が陽性の場合では約5倍、両方陽性の場合では約80倍発症する危険性があるといわれています。
リンパ腫治療選択肢
リンパ腫の治療の選択肢には、大きく分けて3つあります。
①抗がん剤治療
②ステロイド治療
③対症療法のみ
この中で抗がん剤治療のメリットは過去にお話ししました。
猫のリンパ腫の抗がん剤治療例
前回は猫のリンパ腫の抗がん剤についてお話ししました。自分は腫瘍の二次診療まで従事していますので猫ちゃんのリンパ腫は数多く経験し、様々な治療を行っています。過去の猫ちゃんのリンパ腫の治療経過とどのような転帰をたどったかについ[…]
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では、ステロイドのみの治療を選択した場合と、対症療法のみの場合はどうなってしまうのでしょうか?
抗がん剤治療する?
抗がん剤はリンパ腫治療の中心となるものです。
治療計画は様々ありますが、リンパ腫のステージ、動物の状態、年齢、飼い主様の通院可能回数やコストなどによって異なってきます。
猫は犬と比べ化学療法によく耐え、胃腸障害は多くないといわれていますが、副作用のコントロールは重要になってきます。
担当獣医師とよく相談した上で治療を決定していきます。
最強の治療が必ずしも最善とは限りません。
ステロイド治療のみの場合
ステロイドはリンパ腫にとてもよく効きます。
治療反応がよいリンパ腫の子はステロイド治療のみで寛解(治ったかのような状態)にまで治ります。
しかし、リンパ腫は甘くはない病気です。
ステロイドのみの治療の場合は間違いなく短期間で再発をします。
一般的には数ヶ月~3ヶ月前後でステロイドは効き目がなくなり腫瘍は増大します。
これはステロイドの耐性誘導といいます。
また、こうして再発したリンパ腫はとても強く、ほかの抗がん剤も効きにくくなります。
そのため、ステロイド治療を行うのは、
・抗がん剤を今後する選択肢がない場合
・副作用に悩まず数ヶ月だけでも元気に過ごすことを目標にする場合
になります。
もし、もっと長く一緒にいるための治療を考える場合は抗がん剤治療を検討する必要があります。
また腫瘍はその成長に身体の糖質を利用し、
普段の食事ではどんどん痩せてしまうので良質な食事療法も大切になります。
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対症療法のみの場合
対症療法のみの場合はその子のリンパ腫のタイプによって大きく異なりますが、
かなり短命で苦しい最期になる可能性があります。
リンパ腫にも悪いリンパ腫と少し進行がゆっくりなリンパ腫がありますが、
悪いリンパ腫であれば対症療法のみであれば1ヶ月もたない可能性があります。
自分であれば、対症療法のみではなく最低でもステロイドのみの治療をして本人の苦しみを軽減してあげたいと思います。
そして、もっともっと最期まで諦めず治療を行うには抗がん剤は避けられません。
過去に抗がん剤治療によってリンパ腫が完治した猫ちゃんがいました。
以下はそのときのおはなしです
完治した猫のリンパ腫のはなし
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