わんちゃん猫ちゃんはとても長生きになるとともに
腫瘍を患う確率も高まりました。
その中でも犬猫ともに多く、辛い腫瘍にリンパ腫があります。
いきなり我が子がリンパ腫と宣告され、
抗がん剤をしますか?
ステロイドだけにしますか?
無治療にしますか?
という困難な選択を迫られる飼い主様が多いと思います。
今回は、獣医師として、飼い主として自分ならこうする!とゆう意見で治療を考えていきます。
リンパ腫治療選択肢
リンパ腫の治療の選択肢には、大きく分けて3つあります。
①抗がん剤治療
②ステロイド治療
③対症療法のみ
この中で抗がん剤治療のメリットは過去にお話ししました。
猫のリンパ腫の抗がん剤治療例
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では、ステロイドのみの治療を選択した場合と、対症療法のみの場合はどうなってしまうのでしょうか?
ステロイド治療のみの場合
ステロイドはリンパ腫にとてもよく効きます。
治療反応がよいリンパ腫の子はステロイド治療のみで寛解(治ったかのような状態)にまで治ります。
しかし、リンパ腫は甘くはない病気です。
ステロイドのみの治療の場合は間違いなく短期間で再発をします。
一般的には数ヶ月~3ヶ月前後でステロイドは効き目がなくなり腫瘍は増大します。
これはステロイドの耐性誘導といいます。
また、こうして再発したリンパ腫はとても強く、ほかの抗がん剤も効きにくくなります。
そのため、ステロイド治療を行うのは、
・抗がん剤を今後する選択肢がない場合
・副作用に悩まず数ヶ月だけでも元気に過ごすことを目標にする場合
になります。
もし、もっと長く一緒にいるための治療を考える場合は抗がん剤治療を検討する必要があります。
また腫瘍はその成長に身体の糖質を利用し、
普段の食事ではどんどん痩せてしまうので良質な食事療法も大切になります。
【病気別】犬猫の食事管理方法
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対症療法のみの場合
対症療法のみの場合はその子のリンパ腫のタイプによって大きく異なりますが、
かなり短命で苦しい最期になる可能性があります。
リンパ腫にも悪いリンパ腫と少し進行がゆっくりなリンパ腫がありますが、
悪いリンパ腫であれば対症療法のみであれば1ヶ月もたない可能性があります。
自分であれば、対症療法のみではなく最低でもステロイドのみの治療をして本人の苦しみを軽減してあげたいと思います。


そして、もっともっと最期まで諦めず治療を行うには抗がん剤は避けられません。
過去に抗がん剤治療によってリンパ腫が完治した猫ちゃんがいました。
以下はそのときのおはなしです
完治した猫のリンパ腫のはなし
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