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獣医師が伝える犬猫の病気や治療の考え方

犬猫のリンパ腫をステロイドのみで治療する選択肢|抗がん剤をしない場合の余命と緩和ケアを腫瘍科認定医が解説

【更新:2026年2月2日】

猫のリンパ腫と診断され、「抗がん剤ではなく、ステロイドだけで様子を見ることはできないか」と悩まれる飼い主さんは少なくありません。

高齢であること、持病があること、通院の負担、そして「これ以上つらい治療をさせたくない」という気持ち。
実際の診療現場でも、こうした理由からステロイド単独治療を選択されるケースは多くあります。

この記事では、腫瘍科認定医の立場から、

  • ステロイドだけでどこまでできるのか
  • 元気になる理由とその限界
  • 余命をどう考えるべきか

について、できるだけ正直に解説します。

わんちゃん猫ちゃんはとても長生きになるとともに

腫瘍を患う確率も高まり、実は、近年ヒトと同様に死因の第一位はがんになりました。

これは獣医療が進歩し、ネット含め良い情報が広まり、

飼い主様が作ってくださる動物の環境がよくなったことに起因します。

その中で、リンパ腫と診断されたとき、「抗がん剤まで行うべきか」「ステロイドだけで様子を見るべきか…」と悩む飼い主さんは本当に多いです。

この記事では、
●ステロイド治療だけの“現実の効果”
●余命の目安(最新データ)
●治療のメリット・デメリット
●抗がん剤治療との違い
●生活ケア・注意点

を、獣医師としてわかりやすくまとめました。

「後悔のない選択」をしてほしいという思いで書いています。
腫瘍科認定医の知識もベースに、2026年の獣医腫瘍学の情報にアップデートしています。

今回は、獣医師として、飼い主として自分ならこうする!とゆう意見で治療を考えていきます。

 
みんな
急に言われても、、冷静に考える時間がほしい!

 
ごんた先生
後悔しない選択ができるようにお伝えしていきますね

【結論】ステロイドだけの治療は「何もしない」選択ではない

リンパ腫と診断されたとき、
「抗がん剤をしない=治療を放棄することなのではないか」
そう感じてしまう飼い主さんは少なくありません。

しかし、獣医療の現場では**ステロイドを中心とした治療(緩和治療)**は、
決して「何もしない選択」ではありません。

その子の年齢、性格、体力、生活環境を考えたうえで、
苦しみを減らし、穏やかな時間を大切にするための、立派な治療方針です。

そもそも犬猫のリンパ腫とは?

リンパ腫は、犬猫のがんの中でも 最も多い“血液のがん” です。
リンパ球が異常に増え、リンパ節や肝臓・脾臓・腸・皮膚・骨髄など全身に広がります。

特徴

  • 進行が比較的早い抗がん剤への反応が良いが、無治療だと進行する
  • ステロイドを使うと一時的に腫れが減ることがある

発生しやすい部位

  • 多中心型(全身のリンパ節)
  • 消化器型
  • 皮膚型
  • 縦隔型
  • 実質臓器型(肝、脾など)

犬のリンパ腫とは 

リンパ腫とは白血球の1種であるリンパ球が腫瘍性に増殖する悪性腫瘍です。

犬の腫瘍中では発生率が高く、犬の腫瘍全体の7~24%を占めています。

発生年齢は6ヶ月齢から15歳齢と幅広い範囲で認められますが、

一般的には中~高齢(5~10歳齢)に発生します。

性別差はなく、発生リスクの高い犬種はボクサー、ゴールデンレトリーバー、バッセトハウンドなどが挙げられています。

リンパ腫は全身をめぐる血液の細胞である白血球ががん化するため、体のほぼすべての組織に発生する可能性があり、

その発生する場所の違いにより症状や治療に対する反応、予後(治療後の経過)が異なる場合があるため、

発生場所によりいくつかの型に分類されます。

猫のリンパ腫とは

リンパ腫とはリンパ系細胞が骨髄以外のリンパ器官等の組織を原発とする腫瘍性増殖疾患のことをいいます。

猫の全腫瘍中の1/3を造血系腫瘍(リンパ系と骨髄系)が占め、

さらに、そのうちの50‐90%をリンパ腫が占めており、リンパ腫は猫に最もよくみられる腫瘍のひとつです。

発生に関して猫白血病ウイルス(FeLV)が陽性の場合では陰性と比べ約60倍、猫免疫不全ウイルス(FIV)が陽性の場合では約5倍、両方陽性の場合では約80倍発症する危険性があるといわれています。

 

犬猫リンパ腫の治療選択肢

リンパ腫は治療法によって 余命が大きく変わる がんです。

治療法平均余命の目安
多剤併用抗がん剤(CHOPなど)約10~14ヶ月(寛解率80〜90%)
ステロイドのみ数週間〜数ヶ月(多くは1〜3ヶ月)
無治療(対症療法のみ)数週間〜1ヶ月

※個体差大。腫瘍のタイプ、進行度、臓器状態、併発疾患により変動。

抗がん剤治療する?

抗がん剤はリンパ腫治療の中心となるものです。

治療計画は様々ありますが

・リンパ腫のステージ(進行具合)

・動物の状態(基礎疾患や体調)

・年齢

・飼い主様の通院可能回数やコスト面

などによって異なってきます。

猫は犬と比べ化学療法によく耐え、胃腸障害は多くないといわれていますが、副作用のコントロールは重要になってきます。

担当獣医師とよく相談した上で治療を決定していきます。

最強の治療が必ずしも最善とは限りません。

▶ 抗がん剤治療について詳しくはこちら

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抗がん剤を選ばない理由は、珍しいことではありません

抗がん剤治療を選ばない理由には、次のようなものがあります。

  • 高齢で体力的な負担が大きい
  • 通院や投薬が強いストレスになる
  • 副作用が心配
  • 家族の生活環境や介護の限界
  • 「延命よりも穏やかな時間を大切にしたい」

これらはどれも、決してわがままではありません
実際の臨床現場でも、抗がん剤を選ばず、ステロイド治療を行うケースは多くあります。

ステロイド治療だけの場合

ステロイドはリンパ腫にとてもよく効きます。

治療反応がよいリンパ腫の子はステロイド治療のみで寛解(治ったかのような状態)にまで治ります。

しかし、リンパ腫は甘くはない病気です。

ステロイドのみの治療の場合は間違いなく短期間で再発します。

一般的には数ヶ月~3ヶ月前後でステロイドは効き目がなくなり腫瘍は増大します。

これはステロイドの耐性誘導といいます。

また、こうして再発したリンパ腫はとても強く、ほかの抗がん剤も効きにくくなります。

そのため、ステロイド治療を行うのは、

・抗がん剤を今後する選択肢がない場合

・副作用に悩まず数ヶ月だけでも元気に過ごすことを目標にする場合

・抗がん剤の負担に耐えれない体の状態をまず改善する場合

等になります。

もし、最も長く一緒にいるための治療を考える場合は抗がん剤治療を検討する必要があります。

また腫瘍はその成長に身体の糖質を利用し、普段の食事では痩せていってしまうので良質な食事療法が大切になります。

 

【本題 まとめ】ステロイドだけで治療した場合の余命

猫のリンパ腫に対するステロイド治療とは

ステロイド(プレドニゾロン等)はリンパ腫の細胞を直接抑える作用があります。
しかし 効果が長く続く治療ではありません。

🟢 ■良い点


  • 食欲が一気に戻る
  • 元気が出る
  • リンパ節が小さくなる
  • コストが低い
  • 通院がほぼ不要

🔴 ■注意点(重要)

●効果は一時的

最初は腫瘍が縮んでも 1〜3ヶ月前後で再増大 します。

●“耐性”の問題

ステロイドのみで始めると、
後から抗がん剤に切り替える際に 薬が効きにくくなる ケースがあります。

つまり、将来抗がん剤を使う可能性がある子は、
「最初にステロイドから始める」ことがデメリットになることがある。


🕒 ■実際の余命(平均)

●犬

  • 平均:1~3ヶ月
  • まれに4ヶ月以上もあるが少数
  • 最初の1〜2週間で元気 → 徐々に効果が落ちる

●猫

  • 平均:1~2ヶ月
  • 消化器型は症状改善がわずかな場合も多い

ステロイド治療を選ぶべきケース

以下に当てはまる場合、ステロイド治療は合理的な選択肢になることがあります。

◎ ① 高齢で全身状態がよくない

腎臓・心臓・肝臓などに持病があって抗がん剤が負担になる場合。

◎ ② 通院がどうしても難しい

通院ストレスが大きい子、移動できない家庭環境。

◎ ③ 数ヶ月でも“生活の質優先”で過ごしたい

食欲と元気を取り戻す効果が大きい。

◎ ④ 飼い主さんの治療方針(費用・生活ペース)

生活の状況に合わせて柔軟に選ぶべきがん。

ステロイド治療の副作用

短期間でも以下のような副作用が出ることがあります:

  • 多飲多尿
  • 食欲増加
  • panting(ハァハァして息が荒くなる)
  • 感染症へ弱くなる
  • 肝酵素上昇
  • 胃腸障害(嘔吐・下痢)

長期になるほど副作用リスクは増えるため、
1〜2ヶ月以上の継続は慎重に判断 します。

対症療法のみの場合

対症療法のみの場合はその子のリンパ腫のタイプによって大きく異なりますが、

かなり短命で苦しい最期になる可能性があります。

リンパ腫にも悪いリンパ腫と少し進行がゆっくりなリンパ腫がありますが、

悪いリンパ腫であれば対症療法のみであれば1ヶ月もたない可能性があります。

自分であれば、対症療法のみではなく最低でもステロイドのみの治療をして苦しみを少しでも軽減してあげたいと思います。

そして、もっともっと最期まで諦めず治療を行うには抗がん剤は避けられません。

過去に抗がん剤治療によってリンパ腫が完治した猫ちゃんがいました。

以下はそのときのおはなしです

完治した猫のリンパ腫のはなし

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自宅でのケアポイント

ステロイドのみの場合は “生活の質を最大化する” のが最も重要。

●こまめな体重・食欲チェック

変化が出たら治療の見直しサイン。

●食事

  • 消化の良い食事
  • 蛋白質は適度に
  • 嗜好性の高いもの → 食欲低下時に役立つ

●吐き気・下痢は早めに報告

補助薬で改善できる。

●痛み・呼吸状態の観察

リンパ節の腫れは気道圧迫につながることもある。

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よくある質問(FAQ)

Q1. ステロイドだけで“完治”はできますか?

→ 不可能です。
あくまで「症状を一時的に抑える治療」。


Q2. ステロイドで元気になったのですが、このまま続けても大丈夫?

→ 数週間後に効果が落ちることが多く、
 その後は病状が急に悪化することがあります。


Q3. ステロイド開始後に抗がん剤へ切り替えることはできますか?

できますが、最初から抗がん剤より効果が劣ることがあります。
耐性の問題。


Q4. ステロイドはいつやめるべき?

  • 食欲が落ちた
  • 元気が戻らない
  • 副作用がつらい
  • 明らかに効果が切れた

など、いずれかが起きたら相談を。

Q5. ステロイドだけでどれくらい生きられますか?**
A. 一般的には数週間〜数か月が多いですが、個体差が非常に大きいです。

Q6. 元気そうでも病気は進行していますか?
A. はい。症状が落ち着いていても、病気自体は進行していることがほとんどです。

Q7. ステロイドの副作用はありますか?
A. 多飲多尿、食欲増加、感染症リスクなどがみられることがあります。

Q8. いつまでステロイドを続ければいいですか?
A. 効果が見られなくなった時点で見直すことが多いです。

Q.9 ステロイド以外にできることはありますか?
A. 食事管理や在宅ケアなど、生活の質を保つための工夫が重要になります。

まとめ

  • ステロイドは 即効性があるが、持続性がない
  • 平均余命は 1〜3ヶ月(犬)、1〜2ヶ月(猫)
  • 抗がん剤と比べると大きな差
  • QOL(生活の質)を重視したい場合は有効
  • 後から抗がん剤を使うなら「耐性」の問題を必ず考慮
  • 判断に迷う場合は腫瘍科のセカンドオピニオンも推奨

▶ 猫リンパ腫の治療全体についてはこちら

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下に獣医師の視点から、
治療中の犬猫に現実的に選ばれているフードをまとめまています。

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