猫の目にできる眼球腫瘍のなかで圧倒的に発生率が多い腫瘍はメラノーマ(別名:悪性黒色腫)です。
メラノーマはおめめが黒くなるので比較的発見はしやすいですが、
その腫瘍の存在を知らなければ手遅れになることもしばしばあります。
メラノーマは極めて悪性の腫瘍であるので、
進行に伴い転移を認め命に関わることも少なくありません。
今回は、メラノーマの症状や治療についてお話しします。
初期症状
腫瘍のでき始めは無症状です。
猫ちゃんの目をよく見ると、
眼の中の虹彩の一部が黒くなっていることがあります。
メラノーマの初期は黒いシミのようみ見えるだけで、
それが次第に広がってくることで確認されます。
進行すると、眼の中で炎症(ぶどう膜炎)を引き起こしたり、
緑内障や眼球内の出血により痛みや視覚障害を引き起こします。
以上のような症状がある場合は早期に眼科治療や腫瘍治療に詳しい動物病院を受診しましょう。
診断と治療
眼球内の腫瘍の診断は眼科検査所見および眼球のエコー検査を実施し診断します。
しかし、実際に悪性の腫瘍であるかどうかは手術前にわかる方法はありません。
皮膚のできものであれば、手術の前に細胞の検査や組織の検査を行い診断をつけることができますが、
眼球の場合はそうはいかないためです。
そのため、眼科や腫瘍に詳しい獣医師の診断を仰ぐ必要があるのです。
メラノーマが極めて疑わしい場合の治療として
眼球摘出術を行います。
メラノーマは転移を引き起こしやすい腫瘍ですので、
手術の前には必ず転移を起こしていないかの検査(ステージング)を実施します。
転移は肺や全身のリンパ節、肝臓脾臓、眼窩周囲を画像検査を行い確認をします。
眼球摘出後の予後
可愛いお目目を摘出するのはとても胸が痛みます。
しかし、メラノーマをそのままにしておくと猫ちゃんは、
見えないお目目の痛みでもっと苦しい生活を余儀なくされます。
また、メラノーマは眼球内に限局していることが比較的多いので、
転移をしていない段階で眼球を摘出することができれば長期的に元気に生きることができます。
つまり、予後は比較的良好です。
ただ、数年後に転移を認め始めることがある腫瘍ですので、
治療後は定期的に検診し続けることが好ましいと考えられます。
この腫瘍が命に関わる確率は20%前後と言われています。
なにより早期発見、早期治療が大切になります。
腫瘍も得意不得意がありますので、迷わずにセカンドオピニオンを求めることをおすすめします。
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