更新日:2025/12/6
わんちゃんにおいては骨肉腫と呼ばれる腫瘍はよく遭遇しますが、
猫においては非常に稀です。
猫の骨腫瘍は犬に比べると非常にまれですが、
発生すると 痛み・跛行(足をかばう)・腫れ が現れ、生活の質(QOL)に大きく影響します。
代表的な腫瘍は 骨肉腫(Osteosarcoma) で、
猫の場合は犬よりも進行が遅く、転移率も低いと言われています。
しかし、部位や進行度によって治療方針や予後は大きく異なります。
この記事では、猫の骨腫瘍について、症状・診断・治療法・予後を分かりやすくまとめました。
猫の骨腫瘍とは
猫の骨腫瘍は、骨に発生する腫瘍の総称です。
代表的な腫瘍は:
- 骨肉腫(最も多い)
- 軟骨肉腫
- 線維肉腫
- 転移性骨腫瘍
猫の骨肉腫は犬よりも 局所でゆっくり進行し、遠隔転移が少ない という特徴があります。
症状と発生部位
猫の骨肉腫は、四肢や頭蓋骨、口腔内、骨盤で発生が報告されています。
最も発生が多いのは肩甲骨付近であると言われています。
症状は、基本的に痛みや跛行です。
骨の腫瘍は極めて強い痛みを呈しますので、肢を引きずったりすることで症状に気づくことができます。
猫の場合は、症状が進行してから腫瘍が見つかることも多く、
動物病院で診断される頃には大きな腫瘍になっていることも少なくありません。
よくみられる症状
猫の骨腫瘍で典型的に見られる症状は以下の通りです。
- 足をかばう・歩かない
- 強い痛み(触ると嫌がる)
- 腫れ・しこり
- 骨折(病的骨折)
- 元気がない
- 食欲低下
- 低体重
- 体の一部に硬い膨らみ
特に “痛み” が継続する場合は要注意 で、猫は痛みを隠す傾向が強いため「気づいた時には重度」というケースも珍しくありません。
原発性と転移性の骨腫瘍の違い
猫では、この区別が非常に重要です。
■ 原発性骨腫瘍(骨そのものから発生)
例:骨肉腫
- 四肢・体幹どこにでも発生
- 犬より転移率は低い
- 外科切除(断脚)が有効なケースが多い
- 早期手術で長期生存が期待できることもある
■ 転移性骨腫瘍(別の腫瘍が骨へ広がる)
例:
- 乳腺腫瘍
- 肺腺癌
- 甲状腺癌
- リンパ腫(まれに骨へ浸潤)
特徴:
- 病変が複数部位に存在することが多い
- 原発腫瘍の治療が優先される
- 整形外科手術より「痛みの緩和」が中心になる
猫では 転移性の骨病変が思った以上に多い ため、
画像検査で「全身の評価」を行うことが欠かせません。
診断の流れ
骨腫瘍は診断が難しく、複数の検査を組み合わせて評価します。
● ① レントゲン検査
- 骨が溶けているように見える
- 硬く増殖している部分がある
- “骨肉腫らしい像” は見えることがあるが確定診断ではない
● ② CT検査
- 骨の破壊範囲
- 手術の適応
- 転移の有無
を詳細に評価できます。
● ③ 針生検(細胞診・組織検査)
- 確定診断に必要
- 骨腫瘍は細胞診だけでは分からないことが多く、病理組織が重要
● ④ 血液検査
- 全身状態の把握
- 痛みや炎症の指標を確認
● ⑤ 胸部レントゲン/CT
- 肺転移のチェックに必須
治療と予後
治療を考える際のポイントは、猫の骨肉腫は犬と比べて転移率が低いということです。
つまり、もし早期発見であり、転移がなく手術で摘出可能であれば根治することもできるということです。
そのためにまず、レントゲンやエコー検査、CT検査を行い全身をくまなく確認し転移がないか確認します。
転移がなかった場合は腫瘍の切除を検討します。
ここでのポイントが、四肢に多く発生する骨肉腫を根治するためには断脚(片足を失う)を余儀なくされるということです。
骨肉腫のような悪性の腫瘍は最小限の傷で切除を行っても必ず再発してしまいます。
そのため根治を目指すのであれば肢を失う覚悟が必要です。
ここでのポイントは、猫が可愛そうで断脚を行わない場合は、
骨の腫瘍がどんどん大きくなり、日々骨の痛みが増していくばかりで余計にかわいそうな日々が待っているということです。
そのため、もし転移がなかったのであれば長く一緒に居れる可能性がある腫瘍なので、
断脚は猫ちゃんのことを思い前向きに考えてあげることも必要です。
断脚以外の治療選択肢
断脚以外にできることとしては、
・放射線治療
・転移している際の抗がん剤治療(カルボプラチン、アドリアマイシン)
・疼痛緩和治療
です。
しかしこれらの治療で根治は不可能であり、痛みをとってあげる効果は限定的です。
最大の鎮痛緩和治療も断脚であると考えられています。
ただ、飼い主様としても悩ましい決断だとも思います。
猫ちゃんは断脚によって3本足になっても、たとえ2本足になっても生活の質は低下せず過ごすことができます。
治療方法まとめ
腫瘍の種類・部位・猫の体力に応じて治療を選択します。
■ ① 外科手術(断脚を含む)
骨腫瘍の治療で最も効果がある治療法です。
メリット:
- 痛みが劇的に改善
- 原発性骨肉腫では根治を目指せることも多い
- 猫は“断脚後の適応力が非常に強い” 動物
多くの猫は断脚後も積極的に歩き出し、生活の質が大きく改善します。
■ ② 内科治療(痛みのコントロール)
- 鎮痛薬
- 消炎剤
- 神経系の痛み止め
- オピオイド(症状が重い場合)
腫瘍そのものを小さくする力はありませんが、
痛みの緩和は生活の質を大きく保つことができます。
■ ③ 化学療法(抗がん剤)
犬とは異なり、
猫の骨肉腫では抗がん剤の効果が限定的 とされています。
ただし転移リスクがある場合や、
断脚が難しい場合には検討されることがあります。
■ ④ 放射線治療
- 痛みの緩和に有効
- 手術が難しい部位の腫瘍に使用
- QOLの改善が期待できる
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予後(生存期間の目安)
予後は 腫瘍の種類・部位・治療選択 によって大きく変わります。
■ 原発性骨肉腫
- 断脚で痛みが取り除かれる
- 転移率は犬より低く、予後は比較的良好
- 半年以上〜1年以上生存するケースもある
■ 転移性骨腫瘍
- 原発腫瘍の進行が予後を左右
- 治療は「痛みの緩和」が中心
- 数ヶ月単位の経過が多い
■ 放置した場合
- 痛みが強い
- 病的骨折の危険
- 急速に生活の質が低下
早期診断・早期治療が最も重要です。
生活で気をつけること
- 高いところへのジャンプを避ける(骨折リスク)
- 滑りやすい床を改善する
- 動きたがらない時は無理をさせない
- 運動量は痛みの程度に合わせて調整
- 痛みが出てきたら早めに受診
- 断脚後は段差を減らして生活を整える
猫は環境適応力が高く、断脚後も快適に過ごす子が多いです。
よくある質問(FAQ)
Q. 猫は断脚すると生活が不便になりますか?
→ ほとんどの猫は数日で慣れ、元気に生活できます。
Q. 骨肉腫は犬ほど悪い病気ですか?
→ 猫の骨肉腫は犬より転移が少なく、比較的予後は良好です。
Q. 整形外科手術と腫瘍外科はどう違う?
→ 腫瘍外科では“マージン”を確保するため、より広範囲の切除が必要になります。
Q. 痛みだけをとる治療もできますか?
→ はい。生活の質を優先した治療プランも選択できます。
■ まとめ(この記事の要点)
- 猫の骨腫瘍は犬より少ないが、原発性と転移性の両方がある
- 主な症状は 痛み・跛行・腫れ・骨折
- レントゲンだけでは判断が難しく、CTや組織検査が重要
- 原発性骨肉腫は 断脚で痛みが消え、予後が良いケースが多い
- 転移性骨腫瘍では、原発腫瘍の治療や痛みの管理が中心となる
- 抗がん剤の効果は犬より弱いが、症例によっては使用される
- 放射線治療は痛みの緩和に有効
- 早期発見・早期治療が最も予後を左右する
- 骨折のリスクがあるため、生活環境の整えも重要
以下に獣医師の視点から、
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