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獣医師が伝える犬猫の病気や治療の考え方

猫がひもやおもちゃを飲み込んだとき|胃腸の異物・腸閉塞・手術のタイミングを獣医師が解説~誤飲して緊急手術をした子猫~

更新日:2025/12/9

猫は遊び好きで、好奇心から ひも・輪ゴム・おもちゃ・ビニール などを誤って飲み込んでしまうことがあります。

なかには時間とともに自然に排泄される異物もありますが、
胃や腸につかえて「腸閉塞」を起こすと、命に関わる緊急疾患 になります。

この記事では、

  • 猫が飲み込みやすい危険な異物
  • 腸閉塞のサイン
  • 手術が必要になるケース
  • 手術後の経過
  • 予防のポイント

を、獣医師の立場からわかりやすく解説します。

万が一、うちの子が誤飲したらどうなってしまうのか?

どんな経過をたどるのか。

実際にあった子猫ちゃんのお話をします。

来院までの症状

前日から1日に何度も嘔吐をしていたものの、

元気も食欲もあるため様子を見ておられました。

次の日になって、朝ごはんを食べなくなり、

食べてもないのに嘔吐があるため病院に来られました。

子猫なので体は元気で、一見病気のようには見えません。

誤飲を疑い、お話をよく聞いても心当たりはない!とのことでした。

しかし、おもちゃやヒモで遊ぶのがとても好きとのことでした。

必要な検査は?

子猫ちゃんが急に吐いて食欲が落ちるのは、極めて誤飲を疑います。

すぐに、血液検査とレントゲン検査、エコー検査を実施しました。

レントゲン検査では、明らかな異物は写りませんでしたが、

エコー検査で腸の中に異常な見え方をするもの(異物疑い)と、腸の流れが悪くなってる所見があり、

ヒモなどの異物が腸に引っ掛かっていると判断しました。

ここまでの検査で費用は2万円ほど要します。

いざ緊急手術

異物の可能性が極めて高いと説明し、緊急手術を行うこととなりました。

画像検査で異物を100%診断することは困難であり、

極めて可能性が高いと判断した場合に手術に踏み切ることとなります。

1日様子を見たらだめ?

そう思われるかもしれませんが、

異物は時間が経てば経つほど腸がダメージを受け、

壊死をすると腸を広範囲に切除しないといけなくなります。

手術を行うと、胃から腸にかけてヒモが引っ掛かり流れなくなっていたため、

腸を一部切開し摘出しました。

麻酔所要時間は約1時間です。

出てきたものは、

子供のミサンガ

でした。

飼い主にそれを伝えると、部屋に複数置いてあり、よくそれで遊んでいるが、

まさかミサンガなんて食べてはいないと思っていた。

とのことでした。

退院まで

手術後は点滴を行い、腸を休めます。

早く手術ができ、大きく腸を切らずに済んだため、

次の日から流動食を開始しました。次の日から食欲は旺盛で元気いっぱいです。

子猫子犬はしんどいときはしょんぼりしますが、原因が解除されるとすぐに元気になるのも特徴です。

その後、少しずつ与えるご飯を増やし、手術3日目に退院としました。

その後1週間後に抜糸を行い完治となります。

この程度の手術であれば後遺症は基本的にはありません。

猫の「異物誤食」とは?

猫の異物誤食とは、本来食べ物ではないものを飲み込んでしまい、
胃や腸の中にとどまってしまう状態をいいます。

異物がそのまま流れて便として出てくれば問題は起こりませんが、
どこかで詰まると「腸閉塞」「消化管穿孔(穴があく)」につながる危険な状態 になります。

とくに 細いひも・リボン・ゴム・おもちゃの欠片 などは、
猫で頻度の高い異物です。

猫が飲み込みやすい危険な異物

代表的なものを挙げます。

  • ひも類(毛糸・ミシン糸・リボン・パーカーのひも など)
  • おもちゃのゴムひも・じゃらし・羽根付きのおもちゃ
  • ヘアゴム、輪ゴム
  • 針と糸(裁縫道具)
  • クリスマスの飾り・ラッピングのリボン
  • ビニール袋・ラップの切れ端
  • 小さなプラスチック片・スポンジ
  • 紙くずやティッシュを大量に食べるケース

特に 「ひも状+先端に重いもの(針・おもちゃ)」 は、腸に引っかかりやすく非常に危険です。

異物誤食・腸閉塞の主な症状

異物の大きさや場所によって症状は変わりますが、以下は要注意です。

  • 繰り返す嘔吐(食べてもすぐ吐く、何度も吐く)
  • 食欲低下、全く食べない
  • 元気がなくなる、隠れて出てこない
  • 腹痛(お腹を触られるのを嫌がる、うずくまる)
  • 便が出ない、少ない
  • よだれが増える
  • 体重減少

「一度吐いただけ」で元気食欲があれば様子を見ても良い場合もありますが、
嘔吐を繰り返す・元気がはっきり落ちているときは早めの受診が必要 です。

特に危険な「ひも状異物」とは?

ひも状の異物は、胃や腸の一部に引っかかったまま、
腸の動きに合わせて 腸管を“ギザギザに切り裂くように傷つける” ことがあります。

この状態を放置すると、

  • 腸に穴があく(穿孔)
  • 腹膜炎
  • ショック
  • 命に関わる状態

に進行することがあります。

口からひもが少し出ていると、
「引っ張れば取れそう」と感じるかもしれませんが、
絶対に自宅で引っ張らないことが重要です。


受診までに「やってはいけないこと」

猫が異物を飲み込んだかも、と思ったときに
以下のことは避けてください。

  • 自宅で無理に吐かせようとする
  • 口から出ているひもやビニールを引っ張る
  • 人間用の下剤・吐き気止めを勝手に飲ませる
  • 「いつか出るかも」と何日も様子を見る

特に ひも状異物を引っ張る行為 は、
腸を逆に裂いてしまう危険があり非常に危険です。

動物病院で行う検査

症状や飲み込んだ物の種類に応じて、次のような検査を行います。

  • 身体検査(お腹の触診、脱水の有無など)
  • レントゲン検査
  • 造影検査(バリウムなどで通過性を確認)
  • 超音波検査
  • 血液検査(脱水・炎症・電解質異常などの確認)

異物がはっきり写るとは限らないため、
画像検査+症状の経過 を組み合わせて判断します。

内視鏡で取れるケースと、開腹手術が必要なケース

異物の位置と性状によって治療方針が変わります。

■ 内視鏡で取り除ける場合

  • 異物が胃の中にとどまっている
  • 形状的に内視鏡で掴んで取り出せる大きさ
  • 腸まで進んでいないと判断される

この場合、開腹せずに取り出せる可能性があります。
ただし、すべての病院で内視鏡設備があるわけではありません。

■ 開腹手術が必要な場合

  • 異物が小腸に詰まっている
  • ひも状異物で腸に巻きついている
  • 腸の一部が壊死・穿孔している疑いがある
  • 内視鏡での回収が困難と判断される場合

この場合、開腹手術で直接異物を取り出す処置 が必要です。


腸閉塞で行う開腹手術のイメージ

病院により細かな違いはありますが、大まかな流れは次のとおりです。

  1. 全身麻酔
  2. お腹を開けて、異物が詰まっている部位を確認
  3. 腸に小さな切開を入れて異物を取り出す
  4. 腸の状態(血流・壊死の有無)を確認
  5. 壊死している部分があれば、その腸管を切除して縫い合わせる
  6. お腹を閉じる

手術時間は症例によって異なりますが、
腸切除を伴うと時間とリスクは高くなります。

手術後の入院と回復の流れ

手術後は、以下のような経過をたどることが多いです。

  • 数日間の入院(点滴・痛み止め・抗生剤など)
  • 腸の動きが戻るまで、飲食は慎重に再開
  • 便が出るか、嘔吐がないかを確認
  • 傷口のチェック(出血・腫れがないか)

退院後も、

  • 食欲・嘔吐・排便の状態
  • 元気・痛がる様子がないか

を数日〜1週間ほど注意深く見守ります。

異物誤食を予防するためにできること

  • 紐・輪ゴム・ヘアゴム・ビニール袋は出しっぱなしにしない
  • おもちゃは遊ぶときだけ出し、終わったら片付ける
  • じゃらし系のおもちゃは「齧らせっぱなし」にしない
  • ソファやベッド下に落ちた小物をこまめに掃除する
  • 裁縫道具・手芸品は必ずケースにしまう
  • 子ども用のおもちゃと猫のスペースを分ける

「うちの子はなんでも口に入れるタイプかどうか」 を把握しておくことも大切です。

よくある質問(FAQ)

Q. 小さなおもちゃの破片を飲み込んだかもしれません。様子見でいいですか?

→ 元気・食欲・便が正常であれば、自然に出てくる場合もありますが、
 嘔吐・元気消失・食欲低下があれば受診をおすすめします。

Q. ひもを飲み込んで、口から少し出ています。引っ張っても大丈夫?

→ 絶対に引っ張らないでください。腸を傷つける危険があります。すぐに受診してください。

Q. レントゲンで何も写らなければ安心ですか?

→ 布・ひも・ビニールなどは写らないことも多く、症状や経過を合わせて判断します。

Q. 手術をしたら再発はしませんか?

→ 手術でその時の異物は取り除けますが、
 新たに別の物を飲み込めば再発します。環境対策が重要です。

まとめ

・猫はひも・おもちゃ・ビニールなどを誤飲しやすい

・異物が胃腸に詰まると「腸閉塞」で命に関わる

・嘔吐を繰り返す・元気がない・便が出ないときは要受診

・ひも状異物は特に危険で、自宅で引っ張るのは厳禁

・異物の場所と状態により、内視鏡または開腹手術が必要

・手術後は数日間の入院と、慎重な食事再開が必要

・予防のためには「危険な物を出しっぱなしにしない環境づくり」が最も重要

いつどんなことが起こるかわからないのがペットとゆうものです。

特に若い子犬子猫は、飼い主として初心者の方も多く、

予想もしないことばかりかと思います。

なるべく、注意すべきことと、起こってしまった際の流れをわかりやすくお伝えしようと思いますので、

少しでも参考に獣医と近い目線で犬猫と暮らしていただければ幸いです。

以下に獣医師の視点から、
治療中の猫に現実的に選ばれているフードをまとめまています。

誤食は食生活も関わっています。

▶︎ 猫に配慮したフードの考え方を見る

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