更新日:2025/12/12
「犬や猫にもコロナウイルスがあるの?」
「人の新型コロナと同じなの?」
こうした疑問を持つ飼い主は多くいますが、
犬・猫のコロナウイルスは 人の新型コロナ(SARS-CoV-2)とは全く違うウイルス です。
この記事では、
犬と猫のコロナウイルスの種類、症状、人にうつるか、治療、猫のFIPとの関係
を獣医師がわかりやすく解説します。
日本において新型コロナウィルス感染症に対して緊急事態宣言が発令された際、人々は多くの困難に直面しました。
一緒に生活しているワンちゃんネコちゃんは大丈夫でしょうか❔
新型コロナウィルスと犬と猫の関係について獣医学的な現時点での見解もお話しします。
犬猫にコロナウィルスは感染する!?
まず、犬猫にもコロナウィルス感染症は存在し
犬猫それぞれ様々な症状を起こしますが、頻度としてはあまり多い感染症ではありません。
ただし、これら犬猫にコロナウィルス感染症を引き起こすのはαコロナウィルス、今回問題となっている新型コロナウイルスはβコロナウィルスといい、種類が異なっているので、
同じコロナウイルスという名前でも別の病気としてとらえ考える必要があります。
また、犬と猫でもそれぞれ症状は異なっており、犬猫間の伝播も一般的ではありません。
犬猫で一般的にみられるコロナウィルス感染症については下記のコラムでまとめます。
犬にコロナウィルスは感染する?
猫にもコロナウィルスは感染する?
犬猫に新型コロナウィルスは感染する!?
まず、現時点で日本において新型コロナウィルスが人から犬猫に感染したという報告はありません。
でしたが、日本国内でも犬からコロナウィルスが検出されました。
また、香港において新型コロナウイルス感染者の家庭で飼われていた犬2頭から新型コロナウィルスの感染が認められたと香港政府から発表されました。
また、2020/4/6アメリカのニューヨーク市にある動物園で飼育されているトラ3頭ライオン3頭が咳や食欲不振を認め、新型コロナウィルスに感染していることが判明しました。

これらの動物な飼育員に新型コロナウィルス感染が認められていたことから、飼育員から動物に感染したのではないかと考えられています。これらの動物はいずれもネコ科の動物であり、猫への感染も否定できません。
現に、ベルギーにおいて飼い主から猫に新型コロナウィルスが感染したとの報告もあります。
ただし、現時点で世界的にみてもまだ極めて少数の報告であり、またいずれの報告も感染した人から濃厚接触した動物への伝播と考えられ、
動物がこれらのウィルスを媒介し人に伝播した報告はありません。
犬と猫のコロナウイルスは「別のウイルス」
犬と猫には、それぞれ固有の「腸管コロナウイルス」が存在します。
- 犬腸管コロナウイルス(CCoV)
- 猫腸管コロナウイルス(FCoV)
これらは 人のコロナとは全く別物で、互いに感染しません。
犬のコロナウイルス(CCoV)|主に下痢を起こす
特徴
- 小腸に感染する
- いわゆる「犬コロナ腸炎」
- 致死的になることは少ない
主な症状
- 下痢(軟便〜水様便)
- 嘔吐
- 食欲低下
- 元気がない
子犬や免疫力の弱い犬では重症化することがあります。
治療
- 対症療法(点滴・整腸剤・制吐剤)
- 食事管理
ウイルスを直接殺す薬はありませんが、
多くは数日〜1週間で回復します。
猫のコロナウイルス(FCoV)|多くの猫が保有しているウイルス
猫の腸管コロナウイルス(FCoV)は、
猫の多頭飼育環境では 60〜80%が感染歴あり といわれるごく一般的なウイルスです。
主な症状
多くは 無症状〜軽い下痢 で終わります。
- 軽い軟便
- 下痢
- 時々嘔吐
- ほとんどの猫は自然に回復
しかし、このウイルスが体内で突然変異すると
FIP(猫伝染性腹膜炎) に進行することがあり、これが非常に危険です。
猫のコロナとFIP(猫伝染性腹膜炎)の関係
FIPは FCoVが変異して発生する病気 で、
猫の致死性疾患として知られています。
FIPの2タイプ
- ウェットタイプ(腹水・胸水)
- ドライタイプ(神経症状・眼症状)
FIPは治療しないと高確率で命に関わりますが、
近年は MUTIANなどの抗ウイルス薬により治療可能 になってきています。
※腸管コロナ(FCoV)に感染しても、
すべての猫がFIPになるわけではありません。
人にうつる?犬猫のコロナと新型コロナの関係
結論:犬・猫のコロナは人にうつりません。
- 人の新型コロナとは種類が違う
- 犬と猫のコロナも互いに感染しない
- 生活の中で特別な隔離は不要
安心して同じ空間で生活できます。
犬・猫のコロナはどうやって感染する?
犬(CCoV)
- 便からの経口感染
- 多頭飼育・子犬の集団環境で感染しやすい
猫(FCoV)
- トイレの共有(便)
- 多頭飼育
- 外猫との接触
FIPは猫同士で直接うつるわけではなく、
あくまで“体内での突然変異” が原因 です。
動物病院で行う検査
必要に応じて以下を実施:
- PCR検査(ウイルス検出)
- 便検査
- 血液検査(FIPが疑わしい場合)
- 画像検査(腹水・胸水の確認)
治療と家庭でのケア
犬コロナ(腸炎)
- 食事管理
- 点滴
- 整腸剤
→ 多くは自然回復します。
猫コロナ(FCoV)
- 下痢がある場合は対症療法
- ストレス軽減
- トイレ環境の清潔化
- 多頭飼育の場合はトイレ数を増やす
FIPが疑われる場合
- 早急な精密検査
- 抗ウイルス薬による治療(早期ほど良い)
予防方法
犬
- ワクチンで予防可能(混合ワクチンに含まれている場合あり)
- 密な多頭飼育を避ける
- 清潔な飼育環境
猫
- トイレ数は「頭数+1」が理想
- ストレスを減らす環境づくり
- 多頭飼育では消毒を徹底
よくある質問(FAQ)
Q. 犬猫のコロナは人にうつりますか?
A. うつりません。全く別のウイルスです。
Q. 下痢が続いた場合は?
A. ウイルス以外の原因もあるため、早めの受診をおすすめします。
Q. 猫コロナは治りますか?
A. 多くは自然に回復します。ただしFIP化には注意が必要です。
Q. FIPは治るのですか?
A. 近年は治療薬が登場し、完治例も増えています。
まとめ
- 犬と猫のコロナウイルスは 人の新型コロナとは別物で感染しない
- 犬コロナは主に下痢を起こす
- 猫コロナは多くの猫が感染しうる一般的なウイルス
- 猫コロナが変異するとFIPになる場合がある
- FIPは重症だが、現在は治療選択肢が増えている
- 犬猫のコロナは基本的に過度に恐れる必要はない
正しい知識を持つことで、
犬と猫の健康をより良く守ることができます。
犬猫と新型コロナウィルスに関してはまだまだ不明な点が多いので、
飼い主の消毒はもちろん、犬猫の生活環境を清潔に保つことを心がけましょう。
飼い主さまは自覚を持って自らと動物たちを守る行動をとることが最善であると考えられます。
犬猫がウィルスを増幅し人に移すという報告もありませんし、犬猫が新型コロナウィルスで命を落とした報告もありません。
以下に獣医師の視点から、
治療中の犬猫に現実的に選ばれているフードをまとめまています。
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