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【推奨】おうちの犬猫肥満度チェック~基準は?フードは?なりやすい病気~

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肥満の犬猫は見た目はずんぐりと可愛らしいですが、

小さな体の犬猫にとって肥満は極めて病気や寿命の短縮に直結します。

おうちの犬猫ちゃんは太っていませんか?

この問いに対して正しく判断できていない方がほとんどです。

ヒトは身長をもとにして、体重からBMI等の体型評価を行えますが、

犬猫はその品種によって体型が大きく異なります。

また、同じ品種であっても骨格による個体差が大きいため、

Tプードルが3kgであっても5kgであっても健康体型でありうるので、体重で評価はできません。

では、犬猫ではどのように肥満度チェックを行い、

どのように解釈し、

どのような対策をするべきでしょうか?

今回は犬猫の肥満度の評価および肥満の危険性と対策についておはなしします。

肥満の原因

肥満の犬猫の飼い主さんにその旨を告げるとみなさん必ず、

『そんなに食べさせてないのになあ』

とおっしゃります。

もちろん食べ過ぎや偏食が肥満の原因であることは多いですが、肥満になる原因があることも多いです。

肥満の原因として犬猫で考えられるものは、

・食べすぎや偏食

・運動不足

・遺伝因子

・甲状腺機能低下症(犬に多い)

・副腎皮質機能亢進症

などです。

基本的に肥満は

摂取エネルギーが消費エネルギーを上回っていなければ起こりえません。

つまりは、摂取過剰なのかもしくは消費不足なのか、両方かになります。

犬猫に多い肥満に伴う病気

犬猫の肥満はヒト以上に多くの致死的な病気を引き起こす危険因子となります。

肥満によって引き起こされる病気として

・急性膵炎(犬に多い)

・脂肪肝/肝リピドーシス(猫に多い)

・2型糖尿病

・関節疾患

・呼吸器疾患

・熱中症

などがあり、肥満はこれらの病態を悪化させ寿命の短縮することが証明されています

特に熱中症糖尿病は発生が多く、命に関わります。詳しくは下記のコラムにまとめています。

命に関わる熱中症

犬猫の熱中症 ~症状・対策・なりやすい子~

肥満と糖尿病

猫の糖尿病 ~症状は?治療しないと?死ぬ?治る?~

では、肥満かどうかはどのように評価するのでしょうか?

肥満度チェック

犬猫において肥満の評価法として,ボディコンディションスコア(body condition score : BCS)が主に用いられます。

この評価には5段階評価と9段階評価があり,いずれも数字が大きいほど肥満度が高いと評価します(多くは5段階評価を行います)。

5段階評価ではBCS=3を適正とし.4を過体重,5を肥満と評価します。評価の方法は,

触診による「肋骨の浮き具合」

視診による「腰部のくびれ」

の2カ所を主に評価します。

標準体型から肥満までの評価方法をまとめると、

 BCS3(標準)

体脂肪率15~25%、適度な脂肪に覆われていて肋骨に触れることができ、上から見るとゆるやかにくびれが見られます

 BCS4(やや肥満)

体脂肪率25~35%、厚い脂肪に覆われていて見た目では肋骨の確認ができず、触診でかろうじて肋骨が触知されます。上から見るくびれはほとんどありません

 BCS5(肥満)

体脂肪率35%以上、厚い脂肪に覆われているため、見た目だけではなく触っても肋骨が分かりませんくびれもなく、腹部も垂れ下がっていて、いわゆる寸胴体型です。

BCSが4を超える犬猫は治療が必要と考えられ、特にBCS5の犬猫は十分に注意し治療を開始すべきです。

対策/治療

病気が原因でない肥満の治療は

エネルギー摂取量の抑制

または

消費量の増加

が基本治療となります。

①エネルギー摂取量の抑制は食事療法

②消費量の増加は運動療法

および両方に関与する薬物療法があります。

食事療法

犬においても猫においてもこの食事療法が減量のための最も重要な手段となります。

犬猫が摂取するエネルギー量の制限を行いますが、通常食の給与
量を単に減らすのは好ましくありません

理由は摂取するフードの体積が減少するので,動物が空腹感を強く感じストレスの原因となるからです。

肥満の療法食として利用される高繊維食は,エネルギー密度を下げて満腹感を与え,動物の物乞い行動を抑制します。

肉食動物である猫ちゃんにおいては,高蛋白/低炭水化物食も効果的でありおすすめです。

食事量は肥満度チェックをもとに算出した理想体重を参考に決定します。

BCS4の場合は今の体重は理想体重の1.1~1.2倍、

BCS5である場合は今の体重が理想体重の1.2倍以上であることを示すので、まずおおまかに理想体重を計算しましょう。

例えば、体重10KGでBCS4のわんちゃんの理想体重は約8~9kg前後であると考えられます。

ただし、この計算の理想体重はあくまで目安であり、減量しながら随時肥満度チェックを行い微調整します。

食事量は、まずはその理想体重に必要な量で1日給餌量を設定しましょう(量gはフードによって異なります)。

2週間ごとに体重測定を行い、週に1%前後の減量を目標に数カ月かけて理想体重を目指しましょう。

ヒトと同じで急な減量はしてはいけません。

運動療法

運動療法はエネルギー消費を冗進させる上で最も生理的な方法ですが、動物の状態や品種によってはうまくできないかもしれません。

理想的には、15~30分の運動を週に5回以上行うことが推奨されます。

しかし、生活環境等を加味して普段の生活の中で可能な範囲で実施するのが現実かもしれません。

まとめ

今回は、日常にありふれているものの軽視されがちな肥満についてお話ししました。

肥満は犬猫ともにヒト以上に大きな問題を引き起こし、寿命の短縮につながることは実は多く、軽視すべきではありません。

やれることは決して複雑ではなく、

肥満度チェック

理想体重に合わせたフードの種類と量の変更

この2つです。

防げる病気は多数ありますので、この機会にぜひまずは肥満度チェックから行ってみてください。

オススメ減量フードの例

【犬心 糖&脂コントロール】

『カナガンキャットフード』

ポイントは犬は低脂肪×低糖で、肉食動物である猫は良質な高タンパクです。

市販の安いフードは成分が理想の逆であり、太りやすいのです。

ヒトにおける炭水化物は安いしコスパはいいが太るし生活習慣病になりやすいのと同じです。

ただし、ずっと食べる食事なので、犬猫ちゃんへの許される食事代はご家庭によって異なることと思います。

少しでもご参考になりましたら幸いです。

【獣医師監修】ダイエットの秘訣

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