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獣医師が伝える犬猫の病気や治療の考え方

犬と猫の下痢|原因・症状・診断・治療・飼い主ができる対処法を獣医師がやさしく解説

更新日:2025/12/5

犬や猫が下痢をしたとき、原因は多岐に渡ります。一時的な胃腸の不調から、感染症、寄生虫、腫瘍、臓器疾患まで――。
軽く見ず、適切に原因を探り、適切な対処をすることが大切です。

この記事では「下痢」について、次の流れでわかりやすく解説します:

症状 → 原因 → 診断 → 治療 → 飼い主ができるケア → FAQ → まとめ

犬猫はさまざまな原因で下痢をし、来院頻度がとても多い理由のひとつです。

しかし、多くの場合は緊急性が低い一過性のことが多いですが、

様子を診てはいけない下痢も存在していますので注意が必要です。

お家の子は頻繁に下痢していませんか?

色調はどんな色をしていますか?

下痢とは?

下痢とは、通常より水分が多く、柔らかい便あるいは水様の便を複数回にわたって排泄する状態を指します。便や排泄の回数、便の状態によって、小腸性/大腸性/混合などに分類されます。
単なる食事の変化やストレスでも起こることがありますが、中には 感染症・寄生虫・腫瘍・臓器疾患 など重大な病気のサインであることもあります

犬猫でよくある下痢の原因

犬猫の下痢は原因が多岐に渡るため、以下のような原因が考えられます:

  • 食事の急な変更や消化に合わない食材(フードの切り替え、拾い食い、過食など)
  • 細菌・ウイルス・寄生虫による感染(腸炎、寄生虫症、ウイルス性胃腸炎など)
  • ストレスや環境の変化(引越し・ペットホテル・生活リズムの乱れ)
  • 異物誤飲/誤食(異物、腐った食べ物、毒性物質など)
  • 消化器以外の内臓疾患(肝臓、腎臓、膵臓などの病気)
  • 腫瘍や慢性腸疾患(腸管の腫瘍、慢性炎症性腸疾患など)

軽い原因であれば回復しますが、重症や慢性化する場合は詳しい検査が必要となります。

主な症状・注意すべきサイン

下痢の際、以下のような症状・変化が見られたら注意が必要です:

  • 軟便あるいは水様便、血便、粘液便
  • 便の回数が多い/排便の頻度が異常
  • 食欲低下、元気消失、体重減少
  • 嘔吐を伴う、脱水傾向(おしっこが少ない、口の乾き、ぐったり)
  • 排便時の痛がる様子、しぶり、トイレに何度も通う
  • 長期間(数日〜数週間)改善しない、または繰り返す

特に 血便・黒っぽい便・粘液便・下痢が数日続く・嘔吐を伴う・元気が下がる のような場合は、重大な病気の可能性があるため、早めの受診をおすすめします。

緊急性がある下痢かどうか?

多くの下痢は一過性のことが多く緊急性は高くありませんが、下痢以外の全身性の症状が伴う場合は注意が必要です。

下痢の際に注意すべき全身性の症状としては。

・意識レベルの低下

・重度の脱水(粘膜や鼻の乾燥)

・低体温

・粘膜が白い

などです。

これらは急性下痢の原因なのか結果なのかわかりませんが緊急性がありますので様子を見ずに動物病院に連れてきてください。

つまり、対症治療で様子を見てもいいのは、

元気や食欲があり、下痢以外は普段と変わらない場合です。

便に血液が付着する血便はヒトではあまり起こらないので、驚かれる方が多いですが、犬猫では緊急性がないことが多いです。

診断方法

下痢の原因を正確に特定するには、次のような検査や評価が必要です:

  • 問診と身体検査(便の様子、食事歴、誤食歴、ストレス状況など)
  • 便検査(寄生虫、細菌、便性状の観察)
  • 血液検査(全血・生化学・電解質・肝腎機能など)
  • 画像検査(レントゲン、超音波、必要に応じて造影や内視鏡)
  • その他の検査(ウイルス検査、腫瘍の有無チェックなど)

便や吐しゃ物は、病院受診時に持参すると診断がスムーズです。

下痢の色

下痢の色や臭いは内蔵の状態を示唆するのでとても重要です。

まず、正常な便の色茶褐色であり、あとは食事内容に伴い若干変化します。

【黒色タール便ー鉄臭】これは胃などの上部消化管での出血を示唆します。明らかに真っ黒のタール便である場合は様子を見てはいけません。

【赤色】小腸下部~大腸での出血を示唆します。腸炎の場合は軽度の出血を伴うことが多いです。

【黄色味が強いー腐敗臭】重度の腸炎の際に認められます。

【緑色便】消化不良や胆嚢や上部消化管に問題があるときにこのような便をします。

便の色は診断や治療を考える上で大切な情報になりますのでよく観察してください。

慢性下痢と多い病気

一過性な下痢ではなく慢性化する場合に隠れている病気で一般的に多い病気には以下のようなものがあります。

症性腸疾患(IBD) 

原因不明に発症する腸の病気です。診断には超音波検査や内視鏡検査が必要であり、継続的な治療を必要とします。自己免疫が病態に関与しているため免疫を調整する薬が必要となります。

食事反応性腸症

食事内容の影響(食事アレルギー等)で下痢になっており、食事変更によって下痢が改善する場合はこの病気です。

抗菌薬反応性腸症

腸内細菌叢のバランスが乱れ、抗生剤投与によって下痢が改善する病気です。

抗生剤投与をやめると下痢になるので、長期間の抗生剤投与が必要となります。

リンパ腫など腫瘍

高齢の犬猫が慢性的に下痢をし始めた場合は消化管に腫瘍が発生していることは少なくありません。

繰り返す下痢の治療

まず、元気食欲など全身状態が問題なく、一過性の下痢を疑う場合は対症治療から行います、

急性の下痢の場合は食事管理と整腸剤等の内服で様子見ます。

急性の下痢があった場合は半日から1日程度絶食を行います。

脱水を避けるために水はしっかり与えるようにします。

ビオフェルミンとディアバスタ―

市販で調達できる犬猫用の整腸剤としてはビオフェルミンがあります。

ビオフェルミンは乳酸菌なので投与に際する副作用等はありませんので安全に投与可能です。

犬猫用として

ビオイムバスター

を用います。

またこれに加えて、下痢止め(止瀉剤)として

ディアバスター

を併せて内服します。

通常はこの2剤を1日2回で3日間ほど内服することで、

一過性の軽度の胃腸炎であればほとんど治ります。

治療と対応方法

原因によって治療は大きく変わります。主な対応は以下の通りです:

● 一過性・軽度の下痢

  • 食事内容の見直し(普段慣れているフード、消化にやさしい食事)
  • 水分補給・整腸剤・消化促進剤などの対症療法
  • 安静とストレス軽減

● 感染・寄生虫が原因の場合

  • 抗菌薬・抗寄生虫薬による治療
  • 点滴などによる水分補給と脱水対策
  • 必要に応じて入院管理

● 胃腸以外の内臓疾患や腫瘍などが原因の場合

  • 原疾患に応じた治療(肝臓・腎臓ケア、腫瘍治療など)
  • 長期管理や内科治療、サポート療法が中心になることもある

● 慢性化・再発例

  • 食事療法(低刺激・アレルギー対応など)
  • 定期的な検査と経過観察
  • 必要に応じて内視鏡や生検など高度な検査

食事管理

食事が原因で下痢をしている犬猫は少なくありません。

お腹が弱い犬猫に対しての療法食は様々存在します。

どの食事にすればいいのか悩むことは少なくありません。

慢性的な下痢をしている場合に検討する食事は、

・高消化性(低残渣)食

・低脂肪(制限)食

・高線維食

・低アレルギー食

などがあり、一般的にはまず高消化性かつ低脂肪食から反応を見ます。

療法食として有名かつ費用的にもコスパが良いのは

ヒルズ i/d low fat

です。

嗜好性も高く小粒のため療法食では最も使い心地がよく、治療効果としてのデータも出ているフードです。

缶詰も存在しているので、嗜好性が落ちている場合や投薬の際も使いやすいです。

また、長期的な使用を検討する場合は値段も気になります。

軽度の症状である場合は市販の食事の中で低脂肪かつ高消化性の食事から試してみてもいいかもしれません。

市販のなかで飼い主様が比較的よく与えておられる消化フードとしては、

犬心 消化器ケア

などがあります。

選択肢の一つとして、ご参考までに。

ここまでの変更は各ご家庭で行ってみて頂き、

これらの食事に反応が乏しい場合には、

食事アレルギーを疑う場合はアレルギー食に変更し、

大腸性の下痢の場合は高線維食に随時変更します。

飼い主ができること/在宅ケアのポイント

  • 新鮮な水をいつでも飲めるように準備する
  • 便の状態(回数・性状・色など)を定期的に観察・記録する
  • フードの急な変更やおやつ・人の食べ物の与え過ぎに注意する
  • ストレスを減らす環境調整(静かな場所、安定した生活リズム)
  • 下痢が続く・血便・嘔吐・元気消失がある場合は早めに病院へ
  • 治療後も再発防止のため、定期的な健康チェックを

よくある質問(FAQ)

Q. 下痢がたまにあるけど、様子を見ても大丈夫?
→ 軽い食事の変更やストレスによるものなら一時的なこともありますが、便の状態・回数・全身状態を注意深く見ること。数日以上続く・繰り返す・血便・嘔吐ありの場合は受診をおすすめします。

Q. 市販の整腸剤だけで良くなる?
→ 軽度の場合は改善することもありますが、原因が寄生虫・感染・腫瘍などの場合は整腸剤だけでは不十分です。自己判断せず、獣医師に相談を。

Q. 子犬・子猫や高齢犬猫の場合は特に注意したほうがいい?
→ はい。免疫力が弱く、脱水や栄養不良に陥りやすいため、下痢・嘔吐が続く場合は早めの受診が重要です。

まとめ

  • 犬と猫の下痢は、軽い胃腸の乱れから深刻な病気まで原因が多岐にわたる
  • 食事・ストレス・感染・寄生虫・臓器疾患・腫瘍など、多くの原因を考える必要がある
  • 便の状態や継続期間、全身状態を観察し、異常があれば早めに動物病院へ
  • 軽度なら食事管理と水分補給で回復可能だが、重症や慢性化には適切な診断と治療が必須
  • 飼い主としてできるケアは「観察・記録・環境管理・早期受診」

――下痢は“風邪”のように軽くみられがちですが、侮らずに正しく対処することで、愛犬・愛猫の健康を守れます。



今回お話しした下痢は、おそらく日常の中でもっとも発生頻度が多い症状です。

同じ下痢でも様子を見て良いものから緊急性があるものまで様々です。

しかし、ほとんどの場合は対症治療で様子を見て良い下痢であることも事実です。

お家の子が下痢をした際は、今回お話しした知識を前提に様子を見て良いかどうか判断し、

適切に対症治療と経過観察してください。

一過性の軽度の下痢は2~3日以内には改善します。

改善がない場合や全身症状を伴う場合は様子を見ずに動物病院を受診するようにしてください。

獣医師の視点で、
治療中の犬に現実的に選ばれているフードをまとめまています。

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