更新日:2025/12/9
犬や猫が健康に長く生きるために欠かせないのが、
ワクチン・寄生虫予防・健康診断 といった「予防医療」です。
病気が発生してから治療するより、
予防のほうが安全で、費用負担も少なく、寿命の延長にも直結する ことが多くの研究で示されています。
この記事では、
犬と猫の予防を“これだけ見ればわかる”形で総まとめ しました。

ノミ寄生とノラ猫
ノミ・マダニは年中生息していますが、暖かくなってきた春から初夏に爆発的に増加します。
まずノミについてお話しします。
ノミは動物に寄生し、動物の体に卵を産み付けることで生きています。
ノミはかなり小さく動きも早いので動物についていてもなかなか見つかりませんが、
多くの卵を産み付けるので、1匹寄生している場合は多くのノミがうじょうじょと体に寄生していると考えられます。
おうちの近所にノラ猫はいますか?
ノミはさまざまな動物に寄生するので、犬猫はノラ猫からネコノミをうつされていることが多いです。
お家の近くにノラ猫がおられる場合、かなりの確率でそのノラ猫はノミを保有しています。まず、予防が必要です。

ノミが寄生すると?!
ノミに感染すると、ノミは血を吸って生きるので寄生している数が極めて多い場合は貧血になることもあります。
一番多いのは、ノミ寄生によるアレルギー性皮膚炎でとても痒がることです。
これは駆虫とシャンプーで治ります。
そのほかにもノミが媒介する病気も複数ありますので、ほかのコラムでまとめます。
マダニが寄生すると?!
マダニもノミと似た生活、寄生スタイルをとり野良猫を含む多くの野生動物に寄生しています。
草むらやノラ猫からお家の犬猫に寄生することがほとんどです。
マダニ寄生の最も怖い点は、マダニが媒介する感染症です。
マダニが媒介する命に関わる感染症として注意しないといけないのが犬ではバベシア症、猫および人ではSFTSウィルス感染症です。
これらの感染症は致死率が高く、特にSFTSは人にも感染しますので特に注意が必要です。
これらの感染症は日本においても多く存在しており、特に西日本では犬猫の報告も増えています。
最適な予防法
これらの感染症から犬猫および人の命を守るために必要かつ最大の治療は予防であり、
テレビCM等で宣伝されているフロントラインなどは簡便かつ有効で多くの獣医師が処方しています。
犬猫が舐めれない部位の皮膚に液体を垂らすだけで皮膚から吸収され、
1カ月間予防効果が持続しますので春から秋まで1カ月に1回使用します。
世はコロナであわただしいですが、暖かい春になり犬猫が健康に過ごせるようしっかりと予防は行い、
人も犬も猫もノラ猫も健康に暮らせる世の中となることを願っています。
マダニが媒介するヒトと猫の命に関わる猫の感染症「SFTSウィルス感染症」をまとめていますのでぜひ一度ご覧ください。
マダニが媒介する致死的なSFTSウィルスとは?野良猫被害を短期間でストップ【猫よけグッズの番人くん】
犬と猫の予防医療の全体像
犬猫に必要な予防は大きく次の5つです。
- 混合ワクチン
- フィラリア予防
- ノミ・ダニ予防
- 内部寄生虫(お腹の虫)対策
- 健康診断・血液検査
それぞれの目的と必要性を詳しく見ていきます。
混合ワクチン(年1回)
ワクチンは、命に関わるウイルス感染症を防ぐための基本です。
犬の混合ワクチン
6種・8種などがあります。
予防できる病気
- パルボウイルス
- 犬ジステンパー
- 犬アデノウイルス感染症
- 犬パラインフルエンザ
- レプトスピラ(種類により)
猫の混合ワクチン
3種・5種などがあります。
予防できる病気
- 猫ウイルス性鼻気管炎
- カリシウイルス
- 猫汎白血球減少症(パルボ)
- 猫白血病(ワクチンによる)
接種間隔
- 子犬・子猫:生後2〜3ヶ月で2〜3回
- その後:年1回
外に出ない室内飼いの猫でも、
ウイルスは衣服や靴に付着して持ち込まれるため、接種が推奨されます。
フィラリア予防(犬・猫ともに必要)
蚊が媒介する寄生虫で、
心臓や肺に寄生すると命に関わります。
予防期間
地域によりますが、
4月〜12月(または5月〜12月) が一般的です。
予防薬のタイプ
- チュアブル(おやつタイプ)
- スポットタイプ
- 注射(犬のみ、1年タイプ)
猫もフィラリアに感染します。
咳・突然死の原因になるため、猫の予防も必須 と考えられています。
ノミ・ダニ予防(通年または春〜秋)
ノミダニは皮膚病だけでなく、
人にも感染する病気を媒介する危険な寄生虫です。
感染すると起こる問題
- かゆみ・皮膚炎
- アレルギー性皮膚炎
- 貧血
- SFTS(ダニ媒介の重症熱性血小板減少症候群)
- 条虫感染(ノミ経由)
予防薬
- スポットタイプ
- 内服タイプ
- 一体型(フィラリア+ノミダニ)
犬猫とも 1年を通じた予防が推奨 されます。
内部寄生虫(お腹の虫)対策
子犬や外に出る猫で特に注意が必要です。
代表的な寄生虫
- 回虫
- 鉤虫
- 鞭虫
- 条虫(サナダムシ)
- 原虫(コクシジウム・ジアルジア)
症状
- 下痢
- 嘔吐
- 体重が増えない
- 毛並みが悪い
便検査で確認し、必要に応じて駆虫薬を使用します。
健康診断・血液検査(年1〜2回)
病気の早期発見は寿命を左右します。
おすすめの検査
- 一般身体検査
- 血液検査(肝臓・腎臓・血糖など)
- 尿検査
- 糞便検査
- レントゲン
- エコー検査
中年齢(6〜7歳〜)以降は 年2回 を推奨する動物病院が増えています。
特に猫は病気を隠すため、
健康診断の重要性が高い動物です。
室内飼いでも予防が必要な理由
- 蚊は室内に入る
- ノミは人の衣服に付いて運ばれる
- ダニは散歩中に付く(犬)
- ウイルスは靴や服で持ち込まれる
- 室内飼いの猫でも寄生虫感染は十分にあり得る
“うちの子は外に出ないから大丈夫” は誤解です。
年間の予防スケジュール(例)
犬
- 4〜12月:フィラリア予防
- 通年:ノミダニ予防
- 年1回:混合ワクチン
- 年1〜2回:健康診断
猫
- 年1回:混合ワクチン
- 通年:ノミダニ予防(室内でも必須)
- 年1〜2回:健康診断
- 必要に応じて寄生虫駆虫
よくある質問(FAQ)
Q. 猫は外に出ないのにノミダニ予防が必要ですか?
A. 必要です。ノミは衣服・物品で室内に持ち込まれます。
Q. フィラリアは猫も予防するべき?
A. はい。猫のフィラリア症は重症化しやすく、突然死の報告もあります。
Q. ワクチンは毎年打つ必要がありますか?
A. 重篤な感染症を防ぐため、年1回の接種が推奨されます。
Q. 予防薬を飲ませ忘れた場合は?
A. フィラリアは飲ませ忘れが危険です。早めに病院へ相談してください。
まとめ
- 犬猫には ワクチン・フィラリア・ノミダニ・寄生虫対策・健康診断 が必要
- 室内飼いでもリスクがあるため、予防は必須
- フィラリアは犬だけでなく猫も命に関わる
- ノミダニは皮膚炎だけでなく人へ感染する病気の原因にもなる
- 健康診断は病気の早期発見に有効
- 年間スケジュールを決めて確実に行うことが大切
予防は「健康寿命を延ばす最も効率の良い医療」です。
大切な家族を守るため、継続的な予防を行いましょう。
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