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獣医師が伝える犬猫の病気や治療の考え方

犬猫の妊娠と出産 ~緊急帝王切開をさけるためにすべきこと~

更新日:2025/12/9

ヒトも同じですが、わんちゃんも望まない妊娠や出産に加え、予想外の難産で母子ともに命に関わることが少なくありません。

犬の出産は自然に進むことも多い一方で、
難産(正常に出産が進まない状態) が起きることも珍しくありません。

特に近年では、
小型犬・短頭種(フレンチブルドッグ、パグ、チワワなど)で
帝王切開が必要になるケースが増えています。

この記事では、
犬猫の出産の流れ、正常・異常のサイン、帝王切開が必要な理由、事前に知っておくべき準備や費用、受診のタイミング
を獣医師がわかりやすく解説します。

妊娠について

犬猫は不妊されていない雄と雌が交配することで簡単に妊娠します。

そのため不妊されていない雌犬において、気づかないうちに妊娠していたり、望まない妊娠をしてしまうことは少なくありません。そのため、未避妊雌を飼われている方は特に注意が必要です。

同時に妊娠する頭数は1頭のこともあれば複数頭いることもあります。

まず犬の妊娠期間は約9週間(63日)であり、ほとんどの場合妊娠58日目~68日目の間に出産を迎えます。

そのため、妊娠したと予想される日から出産予定日を考え、十分な心構えと準備が必要となります。

妊娠の診断とすべきこと

まず、故意的な交配じゃない場合、妊娠直前までは妊娠に気づくことは困難です。

外見の変化

まず最初に妊娠を疑えるのはせいぜい出産の3週間前で、このころに見た目上お腹が大きくなり、体重が増加してきます。複数頭妊娠している場合はわかりやすいですが、1頭の妊娠の妊娠の場合はわからないかもしれません。また、同じころから乳腺も張ってきます。

行動面の変化として、出産数週前になると落ち着きがなくなり、神経質になります。

診断・来院すべきタイミング

血液検査等で妊娠を早期診断することはできません。一番早期に診断可能なのは交配後約1カ月で、超音波検査によって検出可能です。

超音波検査によって胎児の心拍を確認し、胎児が元気であるか確認します。

レントゲンで胎児の骨格を確認し、妊娠頭数確認ができるのは交配後45日以降です。この、妊娠頭数確認が何よりも大切です。そのため、このころに必ず動物病院を受診します。

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安全に出産するために3つの確認

交配後45日以降に動物病院を受診し

頭数の確認

胎児が元気であるか(心拍)の確認

胎児の頭が産道を出れるかの確認

を行います。妊娠頭数を確認するのは、自宅で自然分娩を行う際に、ちゃんと全頭出産したか確認するために必ず必要です。

ヒトと違い複数頭の妊娠であることが多いので、全頭が安全に出産されるかの確認が必要なのです。

例えば、3頭妊娠していて、2頭目まで産まれて出産を終えたが、3頭目が生まれてこずそのまま3頭目が息絶えてしまうことや、また胎児が遺残し母体の命を脅かすこともあります。

また、妊娠頭数が少ない場合、巨大胎児になることが多く、レントゲンで明らかに産道を頭蓋骨が通らないと判断される場合は、帝王切開による出産を計画します。

それをしなければ、結局出産の際に、難産になり、手術が遅れ胎児の命が失われ、また母体の命にも影響が出ます。

ヒトの医療比べ動物病院は数も人手も違うので常に緊急手術を受け入れられないことが多いです。そのため、予測できることは予測し、適切に計画、準備することが大切です。

犬猫の出産(分娩)の基本|妊娠日数と出産時期

犬の妊娠期間は 約63日(±2日)
交配日から60日前後を目安に、出産準備を始めます。

近年は 超音波検査やレントゲンで胎仔数・胎児のサイズ・出産予定日 が正確に予測できます。


犬の出産の流れ(3段階)

1. 第1期(陣痛の準備段階)

  • ソワソワ歩き回る
  • 巣作りをする
  • 食欲が落ちる
  • 体温が下がる(37.0℃前後)
  • 約6〜12時間続く

2. 第2期(胎児の娩出=赤ちゃんが出る段階)

  • はっきりしたいきみ
  • 10〜30分の間隔で子どもが生まれる
  • 最大で2時間ほど空くこともある

3. 第3期(後産)

  • 胎盤が排出される
  • 産後の処理を母犬が行う

これらの流れが大きく乱れる場合は、
難産(緊急事態) を疑います。


正常な出産のサイン

  • 陣痛が来てから1〜2時間で最初の子が生まれる
  • その後も一定の間隔で出産が進む
  • 母犬に体力があり、世話ができている
  • 胎盤が自然に排出されている

問題なく進む場合は、自宅で見守りが可能です。


危険なサイン(難産を疑う)|すぐに動物病院へ

以下のいずれかに当てはまる場合、緊急対応が必要です。

● 強いいきみが20〜30分続くが、子犬が出てこない

最も危険なサイン。すぐ受診を。

● 陣痛開始から2時間以上生まれない

胎児の位置異常・サイズ異常の可能性があります。

● 胎児は見えているのに出てこない

子宮収縮が不十分、胎児が引っかかっているなど。

● 途中まで生まれたのに止まった

中途停頓は急激に悪化するため非常に危険です。

● 黒緑色の出血があるのに子犬が出てこない

胎盤剥離の兆候。胎児が危険な状態の可能性。

● 母犬がぐったりしている

子宮破裂やショックの可能性があり緊急性が高い。

● 妊娠70日以上たっても産まれない

胎児死亡や遷延妊娠の可能性。

こうした異常が出た場合は、
時間との勝負 です。


帝王切開が必要になるケース

次のような状況では、帝王切開を選択します。

● 胎児が大きすぎる(特に小型犬)

チワワ・ポメラニアン・ヨーキーなどは胎児頭が骨盤を通らないことがあります。

● 短頭種(フレンチブルドッグ・パグなど)

骨盤が狭く、計画帝王切開が一般的です。

● 陣痛が弱い(子宮収縮不全)

何時間経っても進まない場合は手術が必要です。

● 胎児の位置異常

逆子・横向き・頭が引っかかっているなど。

● 母犬の体力低下

長時間のいきみで母体が危険な状態に。

● 多胎・巨大胎児

胎児数が多すぎる、1頭だけ巨大など。

● 出血が多い

胎盤剥離、子宮破裂のリスク。

帝王切開は母犬と子犬の命を守るための選択肢です。


計画帝王切開を行うことが多い犬種

  • フレンチブルドッグ
  • パグ
  • ボストンテリア
  • チワワ
  • ブルドッグ
  • ペキニーズ

これらの犬種は自然分娩が難しいことが多く、
出産予定日が近づく前に計画帝王切開を行うことが推奨されます。


帝王切開の流れ(動物病院)

  1. 血液検査・レントゲン・超音波で状態確認
  2. 麻酔
  3. 胎児の取り出し
  4. 新生児蘇生(体を温め、呼吸を促す)
  5. 母犬の縫合
  6. 回復室でのモニタリング

緊急の場合は迅速な判断が必要です。


出産前に準備しておくもの

  • 体温計
  • ウェットティッシュ
  • タオル・バスタオル
  • 子犬用ミルク(哺乳瓶セット)
  • 産箱(清潔なスペース)
  • ヒーター・湯たんぽ
  • 電話番号(24h対応の動物病院など)

また、万が一のために
出産可能な動物病院を必ず事前に確認 しておきましょう。


出産後の母犬と子犬のケア

  • 母犬の食欲・元気・発熱の有無
  • 乳腺炎が起きていないか
  • 子犬が十分に飲めているか
  • 体重増加(毎日確認)
  • 出血の量が増えていないか

異常があればすぐに病院へ。


よくある質問(FAQ)

Q. 自宅での出産は危険ですか?

A. 完全に安全とはいえません。異常時に対応できないため、病院と連携が必須です。

Q. 何頭生まれるか事前にわかりますか?

A. レントゲンでほぼ正確に確認できます。

Q. 帝王切開の費用はどれくらい?

A. 5〜15万円以上が一般的(地域・時間帯・緊急性で変動)。

Q. いつ病院に連絡すべき?

A. 強いいきみが20〜30分続いても生まれない場合はすぐ連絡。


まとめ

  • 犬の妊娠期間は約63日
  • 出産には「正常な進行」と「危険なサイン」がある
  • 強いいきみで生まれない場合は緊急事態
  • 小型犬・短頭種では帝王切開の可能性が高い
  • 計画帝王切開が必要な犬種もある
  • 出産前の準備と、病院との連携がとても重要
  • 母犬と子犬の安全を守るには早めの相談が鍵

安全な出産のために、
出産前から病院と相談し、状況に応じて最適な方法を選択することが大切です。

動物は言葉を話しません。

動物は気づかない所で交配行動しています。

ヒトと比べ難産が多いです(複数頭妊娠のため)。

そのため、不妊されていない雌犬を飼われている方は、適切な知識を持ち動物を観察し、万が一妊娠した場合は、適切に情報を集め予測し準備する必要があります。

犬の出産はとっても可愛く感動的でハッピーです。

そんな幸せな瞬間を母子ともに安全に迎えられるように、少しでもお役に立てればと思います。

以下に獣医師の視点から、
治療中の犬猫に現実的に選ばれているフードをまとめまています。

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