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獣医師が伝える犬猫の病気や治療の考え方

犬猫に「脂肪の多い食べ物」は危険?|膵炎・肥満・胃腸炎との関係を獣医師がわかりやすく解説

更新日:2025/12/7

犬や猫は、人間の食事に含まれる 脂肪分にとても弱い動物 です。
からあげ・焼肉・揚げ物・乳製品・脂身の多い肉などを食べることで、

  • 下痢・嘔吐
  • 膵炎(命に関わる病気)
  • 肥満・糖代謝異常
  • 慢性的な胃腸炎

といった健康トラブルにつながることがあります。

「少しだけだから大丈夫」
「喜ぶからあげてしまう」

こういった日常の“少し”が危険になるケースもあります。

この記事では、犬猫が 高脂肪食に弱い理由 と、脂肪の摂りすぎが引き起こす病気・対処法 をわかりやすくまとめました。

わんちゃんも猫ちゃんも肥満気味の子が大半で、よく飼い主様からのお悩み相談をお受けします。

・ご飯の量減らしているのに減らない

・診察の体重計に乗るたびになぜか増える体重

・この子は何グラムごはん食べればいいですか❔

見た目は可愛く、可愛がっていただいている証ですが、動物は栄養過多に弱く様々な病気につながってしまいます。

お家でできる肥満度チェック

飼い主様から理想体重をよく聞かれますが、理想体重はその子その子で異なります。

同じトイプードルでも6kgで理想体型の子もいれば肥満の子もいます。

それは骨格や筋肉量による差です。

まずはうちの子が肥満なのか肥満気味なのかを正しく評価し、理想の体重と食事量計算をしていきます。

肥満度チェックを下のコラムでまず行ってください。

うちの子の肥満度チェック

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肥満につながる3つの要因

まず、肥満になるのは食事のせいだけではありません。

肥満につながる要因は大きく分けて3つあります。

動物個体の問題

・年齢

・生理的な状態(避妊手術後など)

・病気(甲状腺機能低下症など)

食事内容

・栄養組成(太りやすい食事)

生活環境

・食事頻度や時間

・おやつ

・運動量

・生活環境や同居動物

これらさまざまな要因が絡みあって今の体型が成り立っています。

そのため、食事を適切に管理できていてもうまく痩せれないことは存在し、飼い主様の責任ではありません。

しかし実際に飼い主様に食生活を伺うと、

9割以上の場合は、おやつや間食含めた栄養過多によって肥満になっており、

正しく食事管理や食事量計算ができていないことがほとんどです。

なので、まず必要な食事量計算の方法をお伝えします。

理想の食事量計算方法

まず理想の食事量は体重を用いてカロリーで計算します。

電卓を準備してください。

まず、安静にしている(運動なし)時に、

その体重を維持するために1日に必要なカロリー(RER)を計算します。

簡易な計算方法である

1日必要カロリーRER = 30 ✖ 体重 + 70 kcal

で、まず安静時カロリー(RER)を求めます。

つぎに、その子の状態に合わせて以下の係数を掛けます。

犬の場合

・成長期 2. 5倍

・維持期 1.8倍

・肥満/高齢  1.4倍

 

猫の場合

・成長期 2.0倍

・維持期 1.4倍

・肥満/高齢 1.0倍

例えば、、

5Kgの犬が肥満で減量したい場合は、

RER=30 ✖ 5kg + 70 =220kcal

肥満係数を掛けて 220 ✖ 1.4 =308kcal

なので、運動をしながら1日合計308kcalの食事量にすれば計算上少しずつ痩せることになります。

しかし、これはあくまで理論上の計算なので、まずこの数字を参考に食事量を調整し、1ヵ月ごとに体重を測定し微調整します。

1日合計なので、間のおやつも含めたカロリーであることに注意します。

肥満傾向の子はヒトのご飯やおやつなどがカロリーオーバーの原因であることが明らかになります。

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犬猫が「脂肪の多い食べ物」に弱い理由

犬猫は、人より 脂肪の処理能力が低い 動物です。

  • 膵臓への負担が大きい
  • 一気に大量の脂肪が入ると炎症を起こしやすい
  • 体の小さな個体では少量でも影響が大きい

特に 小型犬や高齢猫 は脂肪分に弱く、症状が重く出やすい傾向があります。

高脂肪食が引き起こす主な病気

■ ① 急性膵炎(もっとも危険)

脂肪の多い食事は 膵炎の最大のリスク とされています。

症状

  • 激しい嘔吐
  • 下痢
  • 強い腹痛
  • 食欲廃絶
  • 元気消失
  • 高熱

重症の場合は命に関わることもあります。


■ ② 下痢・嘔吐(胃腸炎)

脂肪は胃腸を刺激し、急性の胃腸炎を起こします。

特に

  • 唐揚げの衣
  • 脂身の多い肉
  • 揚げ物

は消化が悪く、軟便〜重度の下痢の原因になります。


■ ③ 肥満

脂肪は、同じ量でも 炭水化物の2倍以上のカロリー があります。

肥満になると、

  • 糖尿病
  • 心臓病
  • 関節炎
  • 呼吸器疾患
  • 寿命の短縮

など多くの病気のリスクが上がります。


■ ④ 脂質代謝異常

血液中の 中性脂肪・コレステロール が上昇しやすく、
特に猫では無症状でも慢性病の引き金となることがあります。


■ ⑤ 慢性炎症の悪化(腸・膵・肝)

脂肪の多い食事が続くと、
消化器の慢性的な炎症を招き、栄養吸収が悪くなることがあります。

危険な食べ物(具体的に)

犬猫に与えてはいけない、または与えるべきでない脂肪の多い食材は以下です。

  • 唐揚げ
  • 天ぷら
  • 焼肉の脂
  • ソーセージ・ハム
  • チーズ
  • クリーム系の料理
  • バター
  • ケーキ類
  • ラーメンのスープ
  • 牛脂・豚脂
  • サーモンの脂が多い部位(猫は特に注意)

“少しだけ” でも急性膵炎につながることがあります。

高カロリーのおやつにも注意

  • ジャーキー
  • チーズ入りスナック
  • 高脂質タイプの犬猫用おやつ
  • ご褒美として頻繁に与えるおやつ

気づけば 1日の摂取量の30%以上をおやつが占める という例も珍しくありません。

おやつは総カロリーの 10%以内 が理想です。

体重が増えやすい犬種・猫種

  • ミニチュアダックス
  • パグ
  • 柴犬
  • ポメラニアン
  • ビーグル
  • ラブラドール

  • スコティッシュフォールド
  • マンチカン
  • アメリカンショートヘア

遺伝的に太りやすい子は、脂肪の多い食べ物で体重上昇が急激になることがあります。

飼い主が気づきやすいサイン

脂肪過多の食事をしたあとに以下の症状が出た場合は注意が必要です。

  • 軟便・下痢
  • 嘔吐
  • 食欲の低下
  • いつもより元気がない
  • お腹を触るのを嫌がる
  • 水をたくさん飲む
  • 震える

膵炎の初期症状と重なるため、早めの受診がおすすめです。

動物病院で行う検査

  • 血液検査(膵臓、肝臓、脂質)
  • 膵炎の専用検査(Spec cPL / fPL)
  • 超音波検査(膵臓・腸の炎症)
  • レントゲン(誤食や閉塞の鑑別)
  • 体重・BCSの評価

特に嘔吐と元気消失がある場合は、膵炎を除外するための検査が必要です。

日常生活でできる対策

  • 人の食べ物を与えない
  • 脂肪の少ないフードを選ぶ
  • おやつの量を見直す
  • 体重を月1回チェック
  • 食後に急な運動をさせすぎない
  • 高齢犬猫は特に注意する
  • ストレスが強い環境を避ける

特に高齢の子、慢性腸症・肝臓病・膵炎歴のある子は脂肪管理が重要です。

よくある質問(FAQ)

Q. 少量でも膵炎になりますか?
→ はい。個体によっては本当に少量で膵炎を起こします。

Q. 魚の脂も危険?
→ 量によっては胃腸炎の原因になります。猫では特に注意が必要です。

Q. ゆでた肉なら大丈夫?
→ 脂肪をしっかり取り除けば比較的安全です。

Q. 体重管理フードに切り替えたほうがいい?
→ 肥満気味の子・避妊去勢後の子には有効です。

まとめ

  • 犬猫は人より脂肪を処理する力が弱く、 高脂肪食で急性膵炎を起こすことがある
  • 唐揚げ・揚げ物・脂身・クリームなどは特に危険
  • 少量でも下痢・嘔吐・膵炎につながることがある
  • 高カロリーのおやつの与えすぎにも注意
  • 体重が増えやすい犬猫種は脂肪管理が必須
  • 脂肪過多のサイン(下痢・嘔吐・腹痛)が出たら受診する
  • 日常的に「脂肪を控える習慣」が健康維持に大きく役立つ

食事内容や食事量は動物と生活するうえでとても大切になります。

それは、動物はヒト以上に”今を生きる”生き物であり、人生の最大の楽しみと目的のひとつは食事であり、

その食事がそのまま健康状態に反映されるからです。

また、自分でその食事量や内容を制御することができないので、

感覚ではなく、いかに理論に基づいて食事管理をしてあげられるかは、飼い主として最低限の役割になります。

おやつで可愛がるあまり、肥満になり糖尿病や熱中症を引き起こすことは短命に繋がります。

この計算式は、知識として知られてないことが多いのでお伝えしました。

以下に獣医師の視点から、
治療中の犬猫に現実的に選ばれているフードをまとめまています。

▶︎ 犬猫に配慮したフードの考え方を見る

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