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獣医師が伝える犬猫の病気や治療の考え方

犬の口腔腫瘍(口の中の腫瘍)|症状・診断・治療法・予後を獣医師が徹底解説

更新日:2025/12/5

ヒトも犬猫も年齢を重ねると腫瘍の発生率は上がります。

これは避けられない遺伝子変異の確率論です。

特にわんちゃんの場合は高齢になると、口の中にできものができることが少なくありません。

見たことなければちらっと覗いてみてください。

綺麗な歯茎でしょうか?

もし口の中にできものがある場合はどのようなことが考えられ、

どうすればいいでしょうか?

犬の「口の中にできる腫瘍(口腔腫瘍)」は、歯ぐき、口腔粘膜、舌、口蓋などに発生し、
良性から悪性まで多くの種類があります。悪性腫瘍では進行によって 痛み・出血・食事困難・顎骨の破壊・転移 を起こすことがあり、早期発見と治療が重要です。

この記事では、犬の口腔腫瘍について
症状 → 診断 → 治療 → 予後 → FAQ → まとめ
の流れでわかりやすく解説します。

悪そうな見た目

犬の口の中のできもので悪性腫瘍にはツートップあります。

ひとつは圧倒的に多いメラノーマ(悪性黒色腫)

つぎに扁平上皮癌です。

メラノーマは、メラニン(シミのようなもの)をもった細胞の腫瘍なので写真のような黒い見た目をしています。

メラノーマの肉眼写真

つぎに多い扁平上皮癌はメラノーマの黒さと対照的に

下の写真のようにピンク色をしています。

扁平上皮癌の肉眼写真

悪性かどうか??

うえのツートップの写真でわかるように、悪性のものは肉肉しく、

元々のその部位の姿と大きく異なっています。

このようなできものを認める場合は待たずに腫瘍がよく診れる動物病院の診察を受けてください。

犬の口腔腫瘍とは?

犬に発生する口腔腫瘍は、口の中の組織(歯ぐき、粘膜、舌、口蓋、歯根まわりなど)にできる腫瘍の総称です。

腫瘍には

  • 良性腫瘍(局所にとどまりやすい)
  • 悪性腫瘍(浸潤・転移のリスクがある)
    があり、見た目だけでは判断できません。

特に多い悪性腫瘍は次の3つです:

  • 口腔内メラノーマ(悪性黒色腫)
  • 扁平上皮癌
  • 線維肉腫

これらは進行すると食事や呼吸に影響することがあり、早期診断が重要です。

よくみられる口腔腫瘍の種類

口腔内メラノーマ(最も多い)
・悪性度が高い
・転移しやすい(肺、リンパ節など)

扁平上皮癌
・歯ぐきや口腔粘膜に多い
・局所浸潤が強く、骨破壊を起こすことがある

線維肉腫
・歯ぐきや軟部組織に発生しやすい
・局所再発しやすい

■ その他の腫瘍
・良性ポリープ
・歯原性腫瘍 など

主な症状

口腔腫瘍は初期症状が歯周病と似ているため、見逃されやすい病気です。

よくみられる兆候

  • 口臭が強くなる
  • よだれが増える(血が混じることもある)
  • 歯ぐきの腫れ、しこり、できもの
  • 歯がぐらつく・自然に抜ける
  • 食べにくそう、片側で噛む
  • 口を触ると痛がる
  • 出血が続く
  • 顎や顔の腫れ・形の変形

特に しこり・腫れ・出血 は腫瘍の重要なサインです。

腫瘍診察の一般的な流れ

口の中にできものを見つけた場合はまず口腔内まわりの状況を観察します。

他の部位になにもないか、歯周病がひどくないかなど。

つぎに、肉眼からどのような腫瘍かを推測します。

写真のように悪い腫瘍の可能性がある場合は、

細胞診検査と呼ばれる針吸引の検査を行います。

この検査によって、うえのツートップの悪い腫瘍であればある程度診断がつきます。

もし、悪性の腫瘍の可能性がある場合はつぎに、以下の全身精査を行います。

・血液検査

・レントゲン検査

・エコー検査

これらを行う理由は転移や全身の状況を確認するためです。

悪性の腫瘍を疑う場合

上記の検査を進め、悪性を疑われる場合はつぎに、全身麻酔をかけてCT検査、生検検査(病理検査)を行います。

CT検査では数㍉レベルで腫瘍の広がりや転移の状況を確認します。

診断方法

正確な診断には以下の手順が必要です。

1)口腔内の視診・触診
腫瘍の有無、出血、痛み、歯の状態を確認します。

2)画像検査(レントゲン・CT)

  • 腫瘍の広がり
  • 顎骨への浸潤
  • 歯根への影響
  • 顔面の変形の有無
    を詳細に評価します。

3)病理検査(細胞診・生検)
腫瘍の種類を確定するために必須です。
メラノーマ・扁平上皮癌・線維肉腫では治療法が大きく異なります。

4)全身検査(血液・胸部画像など)
転移の有無、全身状態を評価し、治療計画を立てます。

治療方法

治療は腫瘍の種類・位置・進行度・年齢・全身状態により選択されます。

外科手術(最も基本の治療)
腫瘍が限局している場合、広範囲切除により根治が期待できます。
顎骨に浸潤している場合は、顎の一部を切除することもあります。

放射線治療
手術で取り切れない場合や、外科が難しい部位の腫瘍に有効です。
痛みや出血が強い場合の緩和治療としても用いられます。

化学療法(抗がん剤治療)
腫瘍の種類によって併用が検討されます。
転移リスクが高い腫瘍では全身療法が重要です。

緩和ケア(支持療法)
進行がんや積極的治療が難しい場合に行います。
・痛みの管理
・食事サポート
・口腔内の感染コントロール
など、生活の質の維持を目的とします。

予後(どれくらい生きられる?)

予後は腫瘍の種類・ステージ・治療方法で大きく変わります。

  • 口腔内メラノーマ:転移が多く予後が厳しい傾向
  • 扁平上皮癌:局所再発や骨破壊が問題。放射線や手術が重要
  • 線維肉腫:局所浸潤が強く、再発しやすい

早期に発見し、適切な治療を行えば「食べる」「噛む」「生活する」機能を保ちながら過ごせる期間が延ばせる可能性があります。

飼い主ができるケア

  • 日常的に口の中を観察する習慣をつける
  • 歯周病と似た症状でも放置せず、早めに受診する
  • 治療後は口腔ケア・痛み管理・食事環境の調整が重要
  • 犬が食べやすい柔らかい食事・食器の高さ調整も有効
  • ストレスを減らし、落ち着いた環境を整える

よくある質問(FAQ)

Q. 口腔腫瘍は歯周病とどう違いますか?
歯周病でも腫れや出血が起こりますが、腫瘍では“しこり”や“増殖性の病変”が特徴です。

Q. 悪性腫瘍でも治療できますか?
はい。腫瘍の種類によって外科手術・放射線・化学療法の組み合わせで治療が可能です。

Q. 高齢犬でも手術できますか?
全身状態を評価したうえで可能な場合があります。麻酔リスクは個別に検討します。

検査麻酔の不安がある方は↓をご覧頂き適切に検討してください。

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生検(病理)検査では、腫瘍が何なのかを確定します。

最終的には、これらの検査をもとにどのような治療を行っていくかをその腫瘍ごとに、進行具合ごとに相談します。

万が一メラノーマ、扁平上皮癌のツートップであった場合は治療方法は様々で複雑です。

第一選択となる手術もとてもリスクが高い手術であり悩まれる飼い主さまも多いです。

以下のコラムをご参考にその子にとってなにが最善かをじっくり考えてあげてください。

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まとめ

  • 犬の口腔腫瘍は、口の中にできる腫瘍の総称
  • メラノーマ・扁平上皮癌・線維肉腫が代表的
  • 初期は歯周病と似ているため見逃されやすい
  • 診断には画像検査・病理検査が不可欠
  • 治療は外科・放射線・化学療法から総合的に選択
  • 適切な治療により生活の質を改善し、安定した期間を目指せる

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