毎日数多くの猫ちゃんを診察していますが、調子を崩す原因や、年齢を重ね命に関わるのは大半が尿路疾患です。
腎臓と尿路を守ることが直接猫ちゃんの長寿につながるといっても過言ではありません。
その理由は、
・猫はもともと乾燥地帯の生き物で水をあまり飲まない
・トイレが神経質であり尿路疾患になりやすい
・腎臓は左右2つあるので元気いっぱいでも気づかずに腎不全が進行している
などのために脱水しがちであり腎臓や尿路の問題を引き起こしやすくなるのです。
10歳まで尿路の問題や腎臓の問題を引き起こさずに過ごせている猫ちゃんは、
飼い主様の管理・飼い方が極めて適切であるといえます。
つまり、この疾患は飼い方で人生が変わる病気のひとつです。
今回はそのなかで、猫にいかにして水を飲ませるか、についてお話ししますので、この機会に生活環境を見直すきっかけにしてください。
水入れの容器
まずポイントは猫は千差万別であることを心得ることです。
一般的な猫の嗜好はありますが、実際その子によって異なります。
容器はいろいろな形状を試して最も飲みやすいものを探ります。
一般的には、
・プラスチック容器
ガラスや金属、セラミックは嫌がる猫ちゃんが本当は多い。
・平べったくて、広い容器
猫はひげが当たるのを嫌がりますし、頭を突っ込まなくても飲めるものを好みます。
・タンブラータイプを好む子もいる
これらの容器に常に水はいっぱいにしておきます。
水入れの数
猫ちゃんは日中あらゆる場所をうろちょろします。
そのため、水入れは可能な限りあちこちに用意し、
飲みたいときにすぐに飲めるようにします。
また、多頭飼いの猫ちゃんは、なおさら多くの水入れをあちこちに配置しましょう。
これはトイレと同じで猫ちゃんは水もかなり神経質なので、ほかの猫ちゃんが汚した水を飲みたがらなかったりもします。
水入れの場所
猫ちゃんは落ち着いた場所で水は飲みたいので、水飲みの置く場所も重要です。
まず、食器とは離して置き、
静かな場所に複数設置します。
おうちの中で猫ちゃんが普段から落ち着く場所を見つけ、そこに水を設置するようにします。
水の種類
猫の水の成分はとても大切です。
それはミネラル成分によって尿の性状や結石の形成に影響するためです。
基本的には水道水よりもミネラルウォーターや市販の水が好ましいです。
理由は、水道水は地域によりミネラル成分に差があり結石生成等に影響を与えるためです。
その他の水を飲ます工夫
その他に、水を室温に温めることで違和感をなくしたり、
猫によっては流水を好むことがあるのでその場合は流れる容器を用いることもひとつです。
また、WETフードを食べている猫の方が水分摂取量が断然に多くなりますので、WETフードを増やしたり、フードをふやかすのもいいです。
まとめ
猫に水を飲ますことは簡単そうでとても難しいです。
しかし、日常からいかに水分摂取できているかで
猫ちゃんの人生=腎生は変わります。
いきなりすべてを変える必要はありませんが、この正しい知識をもって、
この機会に一度おうちの猫ちゃんの水回りと食事内容を見直し、
快適におしっこをして過ごしていただけたら幸いです。
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