落としてしまった果物を食べてしまった!
机の上に置いておいた餃子がなくなっていた!
このような経験をされたことはありませんか?
犬猫は身近に存在するあらゆるものを誤食する可能性があり、誤食に伴う急性の中毒はよく起こります。
では、どのような食べ物は犬猫に中毒を引き起こすのでしょうか?
食べてしまった場合はどのような症状に気を付けどうすればいいのでしょうか?
今回は犬猫の日常よく遭遇する中毒についてお話しします。
発生の多い中毒の原因
中毒を引き起こす多い原因として以下のものがあります。
農薬系薬剤:昆虫駆除剤、除草剤
ヒトの食品:タマネギ、チョコレート、キシリトール、ブドウ、レーズン
自然毒:植物毒(ソテツ、ポインセチア、アジサイ、キョウチクトウ、ツツシ科植物)
↪日常よく遭遇する植物ではユリ、スズラン、スイセン、ヒガンバナ、アサガオ、たばこなど。球根もNGです。
飼い主の服用中の薬品:あらゆる薬剤が犬猫にとって中毒量になります。特に解熱鎮痛剤など。
中毒症状
中毒症状は誤食した毒・薬剤の種類や量によりさまざまです。
もっとも致死的な症状は腎障害による腎不全や神経症状です。
代表的な中毒物質の特徴的な症状を下記にまとめます。
殺鼠剤中毒の症状
摂取後1~3日後に発症し、鼻出血、口腔内出血、皮下出血、タール便、
吐血、眼底出血などを呈します。
出血した場所により症状が異なり、脳神経での出血の場合は神経症状が現れます。
チョコレート中毒
摂取数時間後に、落ち着きの消失、活動性の充進、尿失禁、嘔吐、下痢、呼吸促拍、高体温など。
摂取量が多く重度の場合は痙攣などの神経症状を呈し、死に至ることもあります。
キシリトール中毒
主に低血糖を引き起こし、ふらつきや低血糖痙攣を呈する。また、肝酵素値の上昇や凝固系の異常が認められる場合もあり、急性肝不全を引き起こす。
タマネギ中毒
最も多く遭遇しますので、下記のコラムにまとめています。
犬猫を飼われている方は皆さんタマネギは食べてはいけないとご存じかと思います。しかし、タマネギ以外は?どんだけ食べたら、いつ、どんな症状が出て、どうすればいいのかについてはご存じないことが多いです。これを知っていなければいざ[…]
ブドウ(レーズン)中毒
摂取後6~12時間で嘔吐で、下痢や腹部痛、食欲不振などを引き起こし、数日で急性腎不全になり命に関わることもあります。
除草剤など農薬系薬剤中毒
含まれる薬剤により症状はさまざまですが、よだれや呼吸困難、嘔吐、下痢や神経症状が多いです。
中毒誤食してしまったら?
中毒物質を誤食してしまった場合にすべきことは、
・全身状態の安定化
・吸収の阻害
・解毒薬/拮抗薬の投与
・排泄の促進
の4つであり、いずれも自宅でできることは少なくすぐに動物病院に駆け込みます。
最も大切なことは吸収を最小限にすることするために全力を尽くします。
その方法は、誤食を見つけた場合可能な限り早くに催吐処置、胃洗浄を行ってくれる動物病院を探すことです。
数時間経過すると中毒物質は吸収されてしまいますので、まずすぐに対応可能か動物病院に電話で事前に確認する方がいいでしょう。
拮抗薬が存在する中毒物質の場合は拮抗薬を投与しますが、拮抗薬が存在する中毒物質は限りなく稀ですのでほとんど不可能に近いです。
まとめ
犬猫の中毒は軽度の症状で済む場合もあれば、若くして命を落とすことも少なくありません。
その危険性を左右するのは、食べてしまった中毒物質の種類、量、初期対応速さによりさまざまです。
犬猫は自分にとって有害かどうかを判断し、食べるか否かを考えることはできません。
今回多くの中毒物質をご説明しましたが、私たちの身の回りは犬猫にとって中毒となりうるものにあふれています。
タマネギを食べてはいけないことは皆さんご存じなので、臨床上実はあまり大ごとになりません。
過去に中毒で亡くなってしまった子たちは、ユリの花粉を舐めただけであったり、飼い主の痛み止めをひとつ飲んだだけなど、
あまり知られておらず重く考えないところに落とし穴があります。
犬猫の正しい知識をもって日々生活していただくことの重要さを思い知らされます。
少しでも参考にしていただければ幸いです。
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