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犬猫輸血ドナー ~動物の命を左右する血液バンク~

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うちの子が急にぐったり、駆けつけた動物病院で重度の貧血が見つかりました。

これは、臨床上非常によく遭遇します。詳細は下記のコラムをご覧ください。

犬猫の貧血と輸血 ~病気や副作用、費用は?~

この場合、緊急的な輸血なしに いま を助けることはできません。

ここで、ぶち当たる大きな壁がドナーの問題です。

犬や猫は貧血を引き起こす病気が多いのに対して、ドナーが圧倒的に足りません。

理由として

・日本は中~大型犬が少ないこと

・猫はストレスから供血が難しいこと

・動物は献血バンクが存在しないこと

・一度供血した動物は当分の間供血ができないこと

(動物病院には供血犬猫はせいぜい1~2頭)

などが挙げられ、

なによりも、動物の輸血が困難なこの現状が認知されていないことが問題となります。

今回は犬猫のドナーに関する情報を共有し、

おうちのわんちゃん猫ちゃんの命を守るために、

各地域の飼い主さまの連携の大切さをお伝えしたいと思います。

輸血の準備から実施の流れ

動物に重度の貧血が見つかり、輸血をしないといけなくなった場合、次のステップで行います。

①まず動物病院の供血犬猫が供血可能かどうか

大きな動物病院であっても供血犬猫は1.2頭です。

供血は本人の健康が第一であり、また、約5歳前後でドナーを引退しますので、引退後の生活も考慮しないといけません。

そのため、動物病院に十分に供血動物は存在せず、その場合は②へ進みます。

②飼い主様の同居動物やお知り合いのドナーに協力頂く

実際のところ、このパターンが最も多いです。

貧血は緊急状態であるので、迅速にドナーをお探しいただく必要があります。

輸血ができ、命が助かるか否かはここまでが最も重要になります。

そのため、いかに万が一に備えてドナーの確保、つながりを作ることや、ドナー登録の協力体制を構築しておくことが極めて大切となります。

無事にドナーが確保できた場合は

③血液型の一致確認と輸血適合試験を行う

ヒトと同様に犬猫にも血液型が存在します。

犬の場合は初めての輸血の場合はほとんどの場合は輸血は可能となりますが、

猫の場合はA型B型AB型の3つの血液型が存在するため、輸血可能かはこの検査に委ねられます。

適合試験がNGの場合は①②に戻りドナーの再探しとなります。

無事に適合試験がOKの場合

④供血ドナーからの採血

を行います。

この際多くの場合は首の頸静脈という太い血管に太い針を刺して採血を行います。

採血は順調であれば数十分で終わりますが、供血動物が動いてしまうと危険であり、時間がかかるため、麻酔を使い不動化する場合があります。

採血後は貧血の犬猫に輸血していきます。この際に注意する副作用等は別のコラムをご覧ください。

犬猫の貧血と輸血 ~病気や副作用、費用は?~

輸血ドナーの条件

目の前で苦しむ動物を何としてでも助けたいですが、輸血の際に大切なことはドナーの健康が保たれることです。

ドナーとして献血可能な条件は

・1~8歳程度の健康な成犬猫

・過去に輸血を受けたことがない

・ワクチン接種済み

・感染症に罹患していないこと

・中~大型(犬で最低でも20kg以上、猫で3kg以上が望ましい)

・1か月以内に供血していない

以上の条件がドナーの条件となります。

ひとつでも満たさない場合は安全が確保されませんのでドナーとしてはふさわしくありません。

まとめ

ヒトも動物も輸血とはとっても大切な治療になり、代わりとなる治療がありません。

その中で獣医療における輸血は極めて難しく、飼い主様の相互協力や理解、サポートが必要不可欠となります。

ドナーが見つからずなくなく命を落とした犬猫を数多く見てきました。

今回のコラムを最後まで読んでいただき本当にありがとうございます。

このコラムを機会にペットの献血の重要さに少しでも関心と理解を持っていただき、

ひとつでも小さな命が救われることを願っています。

また、若い元気な大型犬を飼われている飼い主様、

大人しい健康な大きめの猫ちゃんを飼われている飼い主様は、

ドナーとして協力可能である意思表示をしていただければ幸いです。

しかし、これはあくまで任意です。

ひとつひとつの小さなつながりが今後の貴重なつながりとなると認識しております。

本サイトのコメントや掲示板、また、ごん太先生のTwitterコメント欄等を利用していただいて構いません。

ご理解ご協力よろしくお願い致します。

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