更新日:2025/12/9
猫の「目やに・鼻水・くしゃみ」は、
猫風邪(ウイルス性鼻気管炎) で最もよく見られる症状です。
主な原因は ヘルペスウイルス(FHV) と カリシウイルス(FCV)。
多くの猫が保有しており、子猫・多頭飼育・保護猫では特に発症しやすくなります。
この記事では、
猫風邪の症状、ウイルスの特徴、治療、家庭でできるケア、感染を防ぐ方法
を獣医師がわかりやすく解説します。
春になり花粉症の時期になると、
鼻のムズムズ、目の不快感がひどい方も多いかもしれません。
お家の猫ちゃんは大丈夫でしょうか?
目やに、くしゃみは出てませんか?
猫ちゃんに目やに、くしゃみに対する考え、自宅でできる対応をお話しします。

目やに、くしゃみの原因は?!
猫ちゃんに目やに、くしゃみを引き起こす原因の多くは
ヘルペスウィルスと呼ばれるウィルス感染症です。
これは前回お話しした予防ワクチンに含まれている猫ちゃんに重要な3種のウィルスのひとつです。
これらのウィルスは結膜や鼻粘膜などで増殖し、
結膜炎や鼻炎を引き起こします。
このウィルス感染症が直接的に命に関わることは稀ですが、
多くは細菌やカビが二次感染し重篤化します。
鼻炎や結膜炎がひどくなると猫ちゃんは不快感や嗅覚の低下から食欲が低下したり、
目を掻きすぎて目に傷がついたり、ときに眼に穴が開くこと(角膜穿孔といいます)もあります。
猫の目やに・鼻水の原因はウイルスが多い
猫の風邪のほとんどは、次の2つのウイルスが原因です。
● ヘルペスウイルス(FHV)
- 強い結膜炎
- ドロッとした目やに
- 激しいくしゃみ
- 食欲低下
- 再発しやすい(ストレスで悪化)
● カリシウイルス(FCV)
- 鼻水
- くしゃみ
- 口内炎
- 発熱
- 元気がなくなる
- 重症化すると肺炎
どちらも 一度感染すると体内に潜伏し、ストレスで再発 することがあります。
猫風邪の主な症状(初期〜重症化)
- 目やに(黄色・緑色・粘つく)
- 鼻水(透明 → 白色 → 黄色)
- くしゃみ
- まぶたの腫れ
- 涙が止まらない
- 食欲低下
- 発熱
- ぐったりする
- 子猫では呼吸困難に進行することも
特に 目やにが急に増える・片目だけ悪化している 場合は、ヘルペスが強く疑われます。
動物病院で行う検査
症状から診断することが多いですが、必要に応じて:
- 眼科検査(角膜潰瘍のチェック)
- PCR検査(ウイルス検出)
- 血液検査(脱水・炎症の確認)
- X線検査(肺炎の疑いがある場合)
猫風邪の治療方法
猫風邪はウイルス性のため、
「ウイルスそのものを消す薬」はありません。
治療は次のような「対症療法」が中心です。
抗生剤
細菌感染を併発している場合に使用。
点眼・点鼻薬
- 抗生剤点眼
- 抗ウイルス点眼
- 角膜保護剤(潰瘍があるとき)
インターフェロン
ウイルスに対する免疫をサポート。
点滴
脱水や食欲低下がある場合に実施。
栄養管理
食べられないと悪化しやすいため、
強制給餌が必要になることもあります。
子猫や高齢猫では入院が必要なケースもあります。
二次感染が重篤化している場合は、点眼、点鼻だけでなく全身的な治療が必要ですが、
軽症の場合は下記のような市販の目薬でもほとんど治癒します。
1日2~3回、両目両鼻(鼻の穴に滴々と1滴)
ただし、明らかな緑色の目やにが出ている場合や症状が重度の場合は動物病院の診察を受けてください。
ウィルス以外の二次感染には抗生剤や抗真菌剤が必要です。
基本的にこのヘルペスウィルスは自己の免疫力により治癒します。
画期的な治療はなく、二次感染を防御しながら免疫力を高め、自然治癒を待ちます。
また、ヘルペスウイルスにできるだけ感染しないように、また症状をできるだけ緩和する目的で、
ヒトと同じくワクチン接種を行います。
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● 目やに・鼻水を優しく拭き取る
温かい濡れタオルで優しく拭くと楽になります。
● 加湿する
乾燥は症状を悪化させるため、加湿器を使うのがおすすめ。
● 温かいごはんにする
匂いが強くなると食欲が出やすいです。
● ストレスを減らす
環境の変化はヘルペスを再発させる要因です。
● 薬は獣医師の指示通りに
自己判断で中断すると悪化します。
放置するとどうなる?
- 角膜潰瘍
- 角膜穿孔(失明の危険)
- 肺炎
- 重度の脱水
- 慢性鼻炎
- 子猫では命に関わることも
「ただの風邪」と思って放置すると重症化するため、
症状が長引く場合は必ず受診しましょう。
他の猫への感染力が強い
猫風邪ウイルスは非常に感染力が強く、
- くしゃみ
- よだれ
- 目やに
- 接触
によって簡単に広がります。
特に多頭飼育の場合は、
隔離・手洗い・消毒 が重要です。
ワクチンで予防できる
3種混合ワクチンには、
ヘルペス・カリシウイルスが含まれています。
ワクチンの効果
- 100%発症を防ぐわけではない
- でも「重症化を防ぐ」効果が高い
- 子猫では特に重要
ワクチン未接種の猫は猫風邪が重症化しやすいため、
早めの接種が推奨されます。
受診した方がいい症状
- 目やにが急に増えた
- 片目だけ閉じている
- 呼吸が荒い
- 3日以上治らない
- 食べない
- 子猫の症状
特に 角膜潰瘍(目が白い・痛そう) は放置すると失明の危険があります。
よくある質問(FAQ)
Q. 大人の猫でも猫風邪になりますか?
A. なります。ストレスや免疫低下で再発することがあります。
Q. 人にうつりますか?
A. 猫風邪のヘルペス・カリシは人にはうつりません。
Q. 市販の目薬で治りますか?
A. おすすめできません。悪化するケースもあります。
Q. 食欲が落ちるのは危険ですか?
A. 非常に危険です。早めの受診が必要です。
まとめ
- 猫の目やに・鼻水・くしゃみは猫風邪が最も多い
- 主な原因はヘルペスウイルスとカリシウイルス
- ウイルスは体内に潜伏し再発しやすい
- 治療は点眼・抗生剤・点滴・インターフェロンなどの対症療法
- 放置すると角膜潰瘍・肺炎・重症化の危険
- ワクチンで重症化を予防できる
- 多頭飼育では感染対策が重要
猫風邪はよくみられる病気ですが、
放置すると命に関わることもあるため早めの受診が大切です。
以下に獣医師の視点から、
治療中の猫に現実的に選ばれているフードをまとめまています。
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