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獣医師が伝える犬猫の病気や治療の考え方

猫がかゆがる・体を舐める・毛が抜ける原因は?皮膚のかゆみの理由・検査・治療を獣医師がわかりやすく解説

更新日:2025/12/9

猫が体をかゆがる、しきりに舐める、毛が抜ける、フケが出る——。
これらは「皮膚がかゆい」サインです。

猫の皮膚トラブルは非常に多く、
アレルギー・寄生虫・感染・ストレス・ホルモン異常 など原因はさまざまです。

かゆみの原因によって治療方法が全く異なるため、
正しい診断と継続的なケア がとても重要です。

この記事では、猫がかゆがる代表的な原因、
検査・治療・日常ケアを獣医師がわかりやすくまとめています。

猫は犬と違い痒い場合は”掻く”ではなく”舐める”です。

お家の子は体をよく舐めたりしていませんか?

猫が体をかゆがる主な原因

猫のかゆみが起こる理由は大きく次の5つに分類できます。

  1. ノミ・ダニなどの寄生虫
  2. アレルギー(食物・環境)
  3. 皮膚の感染症(細菌・真菌)
  4. ストレスによる過度のグルーミング
  5. ホルモンや代謝の異常

それぞれ詳しく解説します。

おうちの子は痒い?

猫ちゃんの痒みの評価はとても難しく、

気づいたころには毛が抜けていたり、ただれてしまっていたりします。

そのため、『猫が痒がります』という稟告はとても少ないです。

痒みを気づくために必要なことは、

猫は痒い場合は舐めるという認識をすることと、

グルーミングとの違いに気づくことです。

猫は全身を舐めるグルーミングによって毛繕いを行いますが、そのグルーミングはある一定の流れで全身を行います。

その流れは猫ちゃんによって異なるので、普段から猫の様子をよく観察しグルーミングの仕方を知っておく必要があります。

痒い場合は、同じ部位を舐め続け、その部位の毛は裂毛といって途中でちぎれています。

また、グルーミングやストレスによる舐めとは違い、皮膚病によって痒くなりやすい部位が存在しているので、

舐めてる部位によってさらに絞り込みます

痒みを伴う多い皮膚病

痒みを伴う猫に多い皮膚病は以下のものがあります。

アレルギー性皮膚炎:ノミ、食べ物、環境、蚊

外部寄生虫感染:疥癬、ツメダニ、耳ダニ

皮膚糸状菌症(カビ)

膿皮症(細菌)

痒みを伴う原因は、ほとんどの場合はこの4つのどれかに当てはまります。

4つのうちアレルギー以外の3つの皮膚病は感染症なので、正しく診断し治療することで確実に治ります。

治りが悪い場合

治りが悪い場合に考えるべきことは、

・診断と治療が間違っていないか

感染症は皮膚検査で確実に診断されます。

治りが悪い場合は皮膚検査をしっかりしてもらいましょう。

・アレルギーのように治る皮膚病ではない場合

アレルギーの考え方は後述します。

・4つ以外の稀な病気である場合

稀な病態である場合は免疫を抑えるなど、特殊な治療を必要とする場合があります。診断のために皮膚生検検査などを必要とすることもあります。

最も多いアレルギー

アレルギー(食物・環境)

猫の皮膚病で増えているのが アレルギー です。

■ 環境アレルギー(アトピー性皮膚炎)

・花粉
・ハウスダスト
・カビ

季節性で悪化する猫もいます。

症状:
・顔まわりのかゆみ
・首・胸・お腹の赤み
・舐めすぎて薄毛になる

■ 食物アレルギー

鶏肉・牛肉・乳製品など特定の食材に反応することがあります。

皮膚のかゆみだけでなく、
嘔吐・下痢などの消化器症状が出ることもあります。

とても多い悩みであるので猫のアレルギー性皮膚炎については別のコラムでまとめます。

犬と猫の皮膚アレルギー治療まとめ|薬・スキンケア・食事・生活環境を獣医師がわかりやすく解説

寄生虫感染症

疥癬:疥癬はヒゼンダニという皮膚に潜り込むダニが感染しとても強い痒みを生じます。

このダニは肉眼では見えず、皮膚検査で顕微鏡にて検出されます。

耳を中心に顔まわりに限局し、ふけが多くなります

耳ダニ:耳が痒い場合は猫は顔を振ったり後肢で掻いたりします。耳ダニは耳に寄生するダニでよく見ると肉眼でもかろうじて見えます。

耳周囲に掻爬痕があり過剰な茶色い耳垢がたまっている場合は疑います。

ツメダニ:ツメダニは比較的大きく活発に動くダニで、背中周りを中心に広く病変があります。感染動物からの接触によって簡単に感染します。ヒトにもうつります。

ノミ:最も多い理由です。腰回りやお腹周りが痒い場合はまずノミが歩いていないか確認します。ノミは黒いゴマ粒のようみ見え、体を走り回っています。

ノミアレルギー性皮膚炎については別のコラムでまとめます。

これらの寄生虫感染症のほとんどはノラ猫に由来しています。お住いの近くにノラ猫が多い場合は、猫の外出の有無にかかわらず注意します。

細菌感染・真菌感染(皮膚の感染症)

かゆみ・脱毛・赤み・フケが出る原因になります。

■ 細菌性皮膚炎

引っかき傷や免疫低下で細菌が増えることで発症。

■ 真菌(カビ:皮膚糸状菌)

・丸い脱毛
・赤いリング状の病変
・多頭飼育や子猫で多い

人にうつることがあるため注意が必要です。

皮膚糸状菌症

猫の皮膚糸状菌症は耳や鼻、口周りの末端に多く発生し、左右非対称であることが多いです。ふけを伴った一部赤みを伴う脱毛が特徴です。ヒトにもうつります。

詳しくは別のコラムでまとめます。

ストレス性脱毛との見分け

猫は痒みがないのにストレスなどにより体を舐めまわす心因性脱毛症が多く、アレルギー性皮膚炎との見分けが非常に難しいです。

猫はストレスがかかると、
同じ場所を舐め続けて毛が抜ける ことがあります。

原因:
・引っ越し
・環境の変化
・多頭飼育のストレス
・新しい猫や人の存在

見た目はアレルギーと似ているため、
診察と問診が重要になります。

この病態に関しては別のコラムでまとめています。

猫のストレス性脱毛(舐めハゲ)とは?|本当の原因・診断方法・治療・家庭でできる対策を獣医師が徹底解説

ホルモン異常・全身病

まれにかゆみや脱毛の原因となります。

・甲状腺の病気
・副腎皮質機能の異常
・免疫疾患

皮膚が薄くなる、左右対称の脱毛などが特徴です。

動物病院で行う検査

皮膚病は原因が多いため、
「順番に除外していく」診断が必要です。

■ 皮膚検査

・被毛のチェック
・真菌検査
・ダニ検査(皮膚掻爬)

■ 細胞診

炎症・感染の有無を調べる。

■ 血液検査

全身病(甲状腺・副腎・アレルギーの背景)の確認。

■ 食事試験(食物アレルギー評価)

約6〜8週間、特別な食事に切り替えます。

治療方法(原因別)

皮膚病は「原因に合った治療を行うこと」が最も重要です。


■ ノミ・ダニ

・駆除薬(スポットタイプ・内服)
・同居猫全員の予防


■ アレルギー

・アレルギー対応食
・抗ヒスタミン薬
・ステロイド(短期使用)
・免疫調整薬
・保湿スキンケア

長期的には“環境整備+食事管理”がポイントです。


■ 細菌・真菌感染

・抗生剤
・抗真菌薬
・薬用シャンプー
・塗り薬


■ ストレス

・環境改善(隠れ場所・高い場所の確保)
・フェリウェイなどフェロモン製品
・生活リズムの安定


■ 全身病

原因となるホルモン異常や内臓疾患の治療が必要です。

自宅でできるスキンケア・予防

・定期的なブラッシング
・部屋の掃除と換気
・加湿器で湿度を保つ
・ストレス管理
・高品質なフード
・ノミダニ予防を毎月継続

皮膚は全身の健康状態を反映するため、
生活全体の見直しが改善につながります。

病院へ行くべきサイン

・皮膚を噛む・かき続ける
・赤み・かさぶた・湿疹
・急に毛が抜ける
・耳を強くかく
・黒い耳垢
・全身のフケ
・同居猫にも症状が出てきた

皮膚病は早めの対処で改善しやすくなります。

よくある質問(FAQ)

Q. かゆみ止めだけでは治りませんか?

→ 一時的に良くなりますが、原因治療が必要です。

Q. 家でシャンプーしてもいいですか?

→ 皮膚病の種類により逆効果となることがあるため、診断後に行うのが安全です。

Q. 完全室内飼いでもノミはつきますか?

→ はい。外出する人の服や靴から侵入します。

Q. アレルギーは治りますか?

→ “完治” ではなく “上手にコントロールする” 病気です。

まとめ

・猫のかゆみは「寄生虫・アレルギー・感染・ストレス・全身病」など原因が多い
・原因によって治療方法が完全に異なる
・早期診断で再発を防ぎやすい
・ノミダニ予防は全年齢で必須
・アレルギーは食事・環境・薬の組み合わせで管理
・ストレスケアが改善の鍵となる猫も多い

今回まとめた皮膚病は猫の皮膚病の一部であり、まだまだほかにも存在しています。

しかし、臨床上遭遇する皮膚病の多くは今回お話ししたいずれかであることがほとんどです。

ポイントは、猫の皮膚病は難しいということです。

理由は、

・多くの猫の痒みは気づけておらず、病院に来る頃には二次感染を伴いひどくなっていること

・猫の継続的な投薬が難しいこと

などです。

いかに、正しい知識をもって普段からよく観察してあげれているかが何よりも大切です。

少しでも参考になり、猫ちゃんが快適な時間を過ごせたらと思います。

次にアレルギー治療についてお話しします。

以下に獣医師の視点から、
治療中の猫に現実的に選ばれているフードをまとめまています。

▶︎ 猫に配慮したフードの考え方を見る

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