動物業界では夏は皮膚病のシーズンと言われるほど、夏は動物の皮膚にとって悩ましい時期になります。
また、猫ちゃんの皮膚病はとても難しく、治療もだらだらと難航することがあり、正しい知識が必要となります。
どのようなことがストレスになり、
どのような症状がでるのでしょうか?
おうちの子は頻繁に手先や体を舐めまわしていませんか?
猫の脱毛の原因の中で実は比較的多く、見逃されがちなストレス(心因)性脱毛についてお話しします。
猫の脱毛の原因
猫で脱毛を伴う皮膚病がある場合、臨床上よく遭遇するのは、
・感染性皮膚炎(細菌、カビ、寄生虫)
・ノミアレルギー
・アレルギー性皮膚炎(食事や環境抗原)
・ストレス(心因)性脱毛
この4つが圧倒的に多いです。
そのなかでストレス性脱毛は原因の特定が難しく、アレルギー性皮膚炎との鑑別が難しくなります。
しかし、治療として生活環境改善が必要となりますので、正しい知識をもっていただくべき病気になります。
原因や症状は?
ストレス性脱毛は過剰に体を舐めまわし、自分で体を掻きまくることで生じる自虐性の皮膚病です。
原因として考えられることは、
・環境の変化 - 同居動物や引っ越し、季節の変化など
・身体への刺激による分離不安 - 体の不快感やどこかの痛み
・強迫性障害など精神的要因 - 飼い主との関係、投薬ストレス、監禁など
がありますが、原因がわからないこともあります。
症状として、持続的あるいは長期にわたって、繰り返し身体の1カ所あるいは数カ所を固執して舐めまわすもしくは搔きまくります。
病変部位は体のあらゆる部位で起こりますが、
手先や腰回り、お腹周りが多いです。
診断は、ほかの皮膚病を除外するほかはありません。
動物病院で皮膚の検査を行い、その他の原因が除外され、考えられるストレスがある場合はストレス性脱毛を疑うことになります。
治療は?
治療は基本的に原因を考え、考えられるストレス源(ストレッサー)を除去する必要があります。
例えば、
・同居動物との相性が悪い場合は部屋の別居をする
・どこかに痛みがある場合はその治療をする
・敷物やトイレなど環境変化があったならば元の環境に戻す
・近所の騒音等があればその対策をする
などなど様々です。
しかし、思うように改善が析ない場合や、原因が特定できない場合は治療薬に頼ることもあります。
治療薬は?ステロイド?
この脱毛の場合は、ストレスで過剰なグルーミングをしていることが原因であり、痒みがあるわけではありません。
そのため、ステロイドなどの痒みを抑える治療は有効ではありません。
また別のコラムでお話ししますが、
猫へのステロイドの使用はよく注意して行うべきです。
環境改善などの原因治療がうまくいかない、または長引く場合にストレスを緩和するために、
向精神薬の飲み薬を使うことができます。
しかし、原因治療ではありませんので、無目的に長期使用することは避けるべきと考えています。
まとめ
猫ちゃんの皮膚病はとても難しい。
それは診断も治療もです。
今回はその中でも難しいストレス性の脱毛についてお話しましたが、
実はとても多く潜んでいる病気です。
弱みを見せない猫ちゃんの小さなサインに気づき、
少しでも生活が改善すれれば幸いです。
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