更新日:2025/12/12
世界の人々が新型コロナウィルス感染症で命に関わる影響が出ていましたが、
一緒に暮らしているわんちゃんはコロナウィルスに感染するのか❔
「犬にもコロナウイルスがあるの?」
「人の新型コロナと同じなの?」
こういった誤解が多いですが、
犬のコロナウイルスは 人の新型コロナとは全く別のウイルス であり、
種類も性質も異なります。
この記事では、犬に見られる2種類のコロナウイルス:
- 犬腸管コロナウイルス(CCoV)
- 犬呼吸器コロナウイルス(CRCoV)
について、
症状・治療・予防・人や猫への感染の有無 を
獣医師がわかりやすく解説します。

犬にコロナウィルスは感染する?
犬にもコロナウィルス感染症は存在し、
犬の場合は腸で感染し腸炎を引き起こします。
症状は通常1週間前後つづく下痢であり、
軽症なことが多く命に関わることはまれです。
ただし、小型犬や若/老齢犬やほかの腸炎との混合感染の場合は適切な治療が行われなければ命に関わることもあります。
治療は点滴や胃腸薬による支持治療をおこない、
時間経過することにより多くの場合は自然回復します。
体力がないわんちゃんや混合感染等により症状が重篤な場合は、
入院下での点滴や栄養供給を必要とする場合もあります。
また、コロナウイルスを予防するために、ヒトと同様にワクチン接種を行うことも可能です。
わんちゃんの場合は命に直接的に関わることは少ないですが、感染を予防するために考慮します。
犬のコロナウイルスは「2種類」ある
犬に感染するコロナウイルスは以下の2つです。
● 犬腸管コロナウイルス(CCoV)
小腸に感染し、下痢を中心とした胃腸症状 を引き起こす。
● 犬呼吸器コロナウイルス(CRCoV)
気道に感染し、咳・鼻水などの呼吸器症状 を起こす。
どちらも 人の新型コロナ(SARS-CoV-2)とは別種 のウイルスであり、
人には感染しません。
犬腸管コロナウイルス(CCoV)とは?
子犬に多く、下痢が主症状となるウイルス性腸炎 です。
主な症状
- 水様性の下痢
- 嘔吐
- 食欲低下
- 元気がない
- 腹部の不快感
単独感染では比較的軽症で済むこともありますが、
パルボウイルスや寄生虫と混合感染すると重症化しやすく危険 です。
感染経路
- 下痢便との接触
- 多頭飼育(ブリーダー・ペットショップ)
- 子犬の集団環境
環境中にウイルスが長く残るため、
一度広がると多頭環境では感染しやすい傾向があります。
犬呼吸器コロナウイルス(CRCoV)とは?
犬の風邪(ケンネルコフ)の原因ウイルスのひとつ です。
単独で重症化することは少なく、
多くは「ケンネルコフ」の中の一因子として存在します。
主な症状
- 咳
- くしゃみ
- 鼻水
- 発熱
- 元気がない
犬同士が密集する環境(ドッグラン、ペットホテル、保護施設)では
特に感染しやすくなります。
犬コロナは人にうつる?猫にうつる?
結論:犬のコロナウイルスは人にも猫にも感染しません。
- 人の新型コロナ → 犬には感染しない
- 犬コロナ(CCoV・CRCoV) → 人にはうつらない
- 犬コロナ → 猫にもうつらない
ウイルスの種類が全く異なるため、
生活の中で過度な心配は不要です。
動物病院で行う検査
症状に応じて、以下の検査を行います。
● 下痢がある場合
- 便PCR検査(CCoVやその他ウイルス検出)
- 便検査(寄生虫)
- 血液検査(脱水・炎症評価)
● 咳や鼻水がある場合
- レントゲン検査(肺炎の有無)
- 血液検査
- PCR(呼吸器病原体パネル)
治療方法|どちらも「対症療法」が中心
犬コロナはウイルス感染のため、
ウイルスを直接消す薬はありません。
治療は症状に合わせた対症療法となります。
下痢が中心(腸管コロナ)
- 点滴
- 整腸剤
- 吐き気止め
- 食事療法
- 二次感染予防の抗生剤(必要に応じて)
特に子犬は脱水しやすいため、
早めの治療が重要です。
咳が中心(呼吸器コロナ)
- 咳止め
- 気管支拡張薬
- 吸入療法
- 抗生剤(細菌混合感染時)
通常は数日〜1週間ほどで落ち着くことが多いです。
自宅でのケアのポイント
● 脱水を防ぐ
新鮮な水をいつでも飲める環境に。
● 食事は消化の良いものに変更
下痢の子には特に重要。
● 咳があるときは乾燥を避ける
加湿器で湿度を保つ。
● 多頭飼育は隔離が理想
便や唾液を介して感染しやすいため。
予防方法|ワクチンで予防できる場合も
● 犬腸管コロナウイルス(CCoV)
一部の混合ワクチンに含まれています。
ただし必須ではなく、
病院や地域の流行状況によって接種を判断します。
● 犬呼吸器コロナウイルス(CRCoV)
こちらはワクチンが存在しませんが、
ケンネルコフの他の要因を防ぐワクチン(パラインフルエンザなど)は有効です。
危険なケース(必ず受診を)
以下の状況では早めの受診が必要です。
- 子犬がぐったりしている
- 下痢や嘔吐が続く
- 血便が出ている
- 咳が止まらない
- 呼吸が苦しそう
- 他の犬も同時に下痢や咳をしている
特に パルボウイルスと区別が必要 であり、
似た症状でも緊急性が全く異なることがあります。
よくある質問(FAQ)
Q. 犬が新型コロナを人からうつされることはありますか?
A. 基本的にはありません。通常の生活では心配不要です。
Q. 子犬が感染しやすいのはなぜ?
A. 免疫力が弱く、腸が未成熟なためです。
Q. 自然治癒しますか?
A. 軽症なら数日で回復しますが、子犬は重症化リスクがあります。
Q. 多頭飼育ですが隔離は必要?
A. 下痢や咳がある場合は感染拡大予防のため隔離が望ましいです。
新型コロナウィルスとのちがい
この腸炎を引き起こすのはαコロナウィルスとよばれ、
新型コロナウィルス感染症を引き起こすβコロナウィルスとは異なります。
そのため、このコロナウィルスが犬に重度の肺炎を起こしたりはしません。
また、流行中の新型コロナウィルスが犬と人を行き来することは現時点では否定されていますが、
新型コロナウイルスを保有した犬の報告はあり、
将来的にはまだ不明な点が多いのが現状です。
ウィルスは人においてもワンちゃんにおいても悩ましい存在です。
人と同じようになによりも消毒や犬混みを避けるなど予防が大切ですので頑張りましょう。
犬猫の投薬の必殺技
下痢をしてしまった場合は、下痢止めなどの治療を必要とします。
下痢止めは一度の点滴注射だけで治すことは難しく、
飲み薬の内服が避けられません。
お腹を壊していて内服が困難な場合は参考にしてください。
犬・猫の薬(投薬ガイド)|安全な使い方・注意点・よく使う薬を獣医師が徹底解説~お薬が飲めない?内服困難な犬猫にできる㊙簡単投薬方法~
まとめ
- 犬のコロナウイルスは 腸管型(下痢) と 呼吸器型(咳) がある
- 人の新型コロナとは別物で、人にも猫にも感染しない
- 子犬では重症化することがあるため注意
- 治療は点滴や対症療法が中心
- ワクチンで予防できるタイプもある
- ぐったり・血便・呼吸困難は受診が必須
犬のコロナウイルスは過度に怖がる必要はありませんが、
子犬や多頭飼育環境では早期治療と予防が特に重要 です。
以下に獣医師の視点から、
治療中の犬に現実的に選ばれているフードをまとめまています。
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※本記事は獣医師の視点から、毎日安心して与えられるドッグフードを厳選して紹介します。病気の治療ではなく、将来の健康を守るための食事選びを目的としています。普段我々は病気の療法食としてロイヤルカナンやヒルズなどの療法食を処方しますが[…]