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獣医師が伝える犬猫の病気や治療の考え方

犬の熱中症は何度で危険?症状・予防・応急処置・死亡リスクを獣医師が徹底解説

更新日:2025/12/9

犬の熱中症は、最短10分で命に関わる 非常に危険な病気です。
近年は気温上昇により、毎年多くの犬が熱中症で病院に運ばれています。

犬は人より暑さに弱く、
「気温25〜28℃」「湿度60%以上」 で危険度が急上昇します。

この記事では、
熱中症が起こる温度、初期症状、重症化のサイン、応急処置、散歩・車内・室内での予防策、危険な犬種
を獣医師がわかりやすく解説します。

まずは命を落としてしまったフレンチブルドッグのお話をします。

熱中症になった原因

白いフレンチブルドッグの3歳の子でした。

来院された際はほとんどもう意識はなく、ヨダレとパンティングがひどく駆け込んで来られました。

このようになった理由を尋ねると、

お盆でわんちゃんと一緒にお墓参りに行かれたとのことでした。

しかし、熱中症には十分注意し、クーラーのきいた車で、こまめに水分補給も行っておられましたが、

炎天下のお墓に数分外に出て、車に戻ってきてからおかしくなったとのことでした。

特にフレブルやパグ以外にも、チワワやシーズー、ペキニーズなどのわんちゃんは体温調節が極めて苦手ですので、

短時間でも今の異常な暑さでは熱中症の引き金になります。

また、もともとの体調や朝からの水和状態もわからないし、外に出る時間以外も車のストレスや車酔い等、気づいてないことも多いでしょう。

駆け込み~症状

来院され熱中症を疑い体温を測ると41.6℃でした。

すぐに気管に管を通し、人工呼吸をつなぎ、

体を水と氷で冷やし、血液検査を行いました。

お尻からは赤黒い下痢があふれでてきました。

体温は30分ほどで39.0まで下がりましたが、

意識は回復してきませんでした。

血液検査と後遺症

血液検査では重度の脱水症状と、ショック状態により重度の腎不全を引き起こしていました。

また、神経の検査を行うと重度の不可逆的な(回復する見込みが乏しい)脳障害を引き起こしていました。

また、赤黒い下痢が止まることなく肛門からで続けていました。

この理由は、熱中症により重度の脱水、循環不全、高体温により血流が豊富な臓器である脳や腎臓や消化管が強いダメージをうけ、

不可逆的な損傷を負ってしまったからです。

腎臓や脳は強いダメージを受けると回復できずに命に関わる臓器です。

熱中症も軽度や短時間であればすぐに回復しますが、少しでも対応が遅れたり、

重度の場合はこのように急激に多臓器不全に陥ります。

熱中症の最期

このフレブルちゃんは数時間人工呼吸を行い集中治療を全力で行いました。

しかし、意識は回復せず(回復の見込みがない神経症状)、尿が全く作られなくなりました。

その後体のバイタルサインが悪くなり、予後不良となり亡くなりました。

まとめ

人は暑いなぁとか、喉が乾いたとか言葉に出し、

熱中症にならないように塩分をとったり、

無理やり水分をとったりします。

わんちゃんはそのようなことはできませんし、

言葉を発することもできません。

また、今回の飼い主さまのように熱中症に十分注意していても熱中症になることがあります。

しかし、専門的な立場で見ると防げるポイントはあったし、小さなサインは出ています。

ポイントは正しい知識をもって生活を管理してあげるかが大切です。

素人判断であることが多いと日々感じます。

熱中症の細かな知識に関しては下記のコラムをご覧ください。

更新日:2025/12/9犬は人より暑さに弱く、わずか10〜15分で熱中症になることもある危険な動物 です。特に以下の犬は重症化しやすく、毎年多くの命が失われています。短頭種(フレブル・パグ・シーズーなど)[…]

犬は何度で熱中症になる?(危険温度)

犬の熱中症は湿度の影響も大きいため、
「温度+湿度」のセットで考える必要があります。

危険ライン

  • 気温25〜28℃ × 湿度60%以上 → 熱中症のリスク大
  • 気温30℃以上 → いつでも危険
  • アスファルトは50〜60℃まで上昇する日がある

特に蒸し暑い日は、
曇りや室内でも熱中症が起きやすいため注意が必要です。


熱中症になりやすい犬の条件

以下に当てはまる犬ほど危険です。

  • パグ、フレンチブルドッグ、シーズーなど 短頭種
  • 高齢犬
  • 黒い毛色(熱を吸収しやすい)
  • 太っている犬
  • 心臓病・呼吸器疾患のある犬
  • 興奮しやすい性格の犬
  • 子犬

短頭種は
「呼吸がしにくい=体温が下がりにくい」
ため、熱中症の死亡率が高いことが知られています。


熱中症の初期症状(早く気づくためのチェックポイント)

初期の段階で気づくことが、命を守る最大のポイントです。

  • 激しいパンティング(ハアハアが止まらない)
  • 呼吸が荒い
  • 舌が真っ赤
  • ぐったりしている
  • 落ち着かない
  • ふらつく
  • よだれが多い
  • 体が熱い

この段階で対応すれば、重症化を防げることがあります。


危険度が高い“重症のサイン”

以下の症状は 命に関わる緊急事態 です。

  • 嘔吐・下痢
  • 意識がもうろう
  • けいれん
  • 歩けない
  • 舌・歯茎が青白い or 紫色
  • 体温が40℃以上
  • 反応が鈍い

1分1秒が勝負となるため、
すぐに応急処置を始めて病院に向かう必要があります。


熱中症時の正しい応急処置(自宅・外出先)

1. 涼しい場所へ移動

エアコンの効いた部屋、車内はエアコンMAX。

2. 体を冷やす

  • 首・脇・股を中心に冷やす
  • タオルを巻いた保冷剤を使用
  • 水を体にかけて扇ぐ
  • ぬるま湯のシャワーで体を濡らす(氷水はNG)

冷やす場所は「太い血管が通る場所」がポイントです。

3. 水を飲ませてもOK(意識がある場合のみ)

意識がない場合は誤嚥の危険があるため飲ませない。

4. 体温が下がっても必ず動物病院へ

熱中症は体温が一時的に下がっても、
臓器障害(腎不全・肝障害・DIC)が後から出る危険性 があるため絶対に受診してください。


動物病院での治療

  • 点滴
  • 酸素吸入
  • 体温管理
  • 血液検査(腎臓・肝臓・電解質・凝固系)
  • 冷却処置
  • 入院管理

重症例では DIC(播種性血管内凝固) を合併し、
命に関わることがあります。


散歩で熱中症になる理由と対策

アスファルト温度は50〜60℃になる

犬の体高は低いため、地面の熱を直接受けます。

対策

  • 夏の散歩は 早朝・深夜のみ
  • 影の多いコースを選ぶ
  • 肉球保護のために暑い日は散歩自体を避ける
  • 舌を長く出して歩くようなら休憩

「飼い主が暑くなくても犬は危険」 という状況が多いです。


室内でも熱中症は普通に起こる

  • 風通しが悪い部屋
  • エアコンを切った留守番
  • 扇風機だけの冷房
  • ハウスやケージ内の熱こもり

エアコンは
25〜27℃設定、湿度50〜60%
が安心です。


車内は10分で致死的温度に上がる

夏の車内は 真夏なら5分、春秋でも10分で危険温度 になります。
窓を少し開けても意味はありません。

「ちょっとだけ」は絶対に禁物です。


熱中症を確実に防ぐためのポイント(総まとめ)

  • 早朝・夜に散歩する
  • 室内はエアコンで温湿度管理
  • 留守番時はエアコンを必ずつける
  • 水をいつでも飲めるようにする
  • 短頭種は特に慎重に
  • 太りすぎはリスクを上げる
  • 暑い時期は激しい運動を避ける
  • 年齢・持病に合わせたケアを行う

熱中症は 100%防げる病気 です。
「大丈夫だろう」は命取りになります。


よくある質問(FAQ)

Q. 熱中症は何分で危険ですか?

A. 状況によりますが、10分以内で重症化 することがあります。

Q. 体温を測るべき?

A. 測れる場合は有用ですが、応急処置を優先してください。

Q. 氷水で冷やしてもいい?

A. 急激な冷却は逆効果です。水・濡れタオル・保冷剤が適切です。

Q. 冷房が苦手な犬はどうすれば?

A. 冷房+除湿、クールマット、直風を避けるなどで調整します。


まとめ

  • 犬は 25〜28℃・湿度60% で熱中症の危険
  • 短頭種は特に注意が必要
  • 初期症状は「パンティング・ぐったり・舌が赤い」
  • 重症化すると嘔吐・けいれん・意識障害が出る
  • 応急処置は「冷やす+早期受診」が基本
  • 室内・散歩・車内、どこでも発生する
  • 熱中症は“正しい予防”で確実に防げる

以下に獣医師の視点から、
治療中の犬に現実的に選ばれているフードをまとめまています。

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