最近は猫ちゃんを飼われている方が多く、飼育頭数は犬を上回り始めています。
なかでも、写真のような垂れ耳のスコティッシュちゃんはとても愛嬌があり可愛いので、好きな品種のひとつです。
ただ、この垂れ耳のスコティッシュちゃんは可愛いものの、垂れ耳遺伝子と関節の病気が関連しており、悩ましいことが多いですので、今回はこの病態に関して病態や治療、予防についてお話しします。
垂れ耳遺伝子と関節の病気
スコティッシュフォールドはスコットランドの農家の猫とブリティッシュショートヘアーの間に生まれた突然変異の雌猫を起源として交配され始めた純血種です。
スコティッシュフォールドは垂れ耳と立ち耳がいますが、垂れ耳の遺伝子と軟骨形成異常の疾患が遺伝的に強い関連があり、垂れ耳どおしの交配によって産まれた猫ちゃんは強くこの症状がでます。
そのため、最近は垂れ耳のスコティッシュどおしの交配はなるべく避けるようにしています。
この垂れ耳のスコティッシュフォールドが罹患する関節の病気を進行性の骨軟骨異形成症といいます。
骨軟骨異形成症とは
この骨軟骨異形成症は、骨の成長と軟骨の形成異常を引き起こす病気であり、程度の差はありますがすべてのスコティッシュフォールドはこの異常を起こすことになります。
症状は、歩様異常や痛み、あまり動きたがらないなど様々です。
この症状は5カ月齢から6歳の間に発現することがほとんどで、その罹患年齢や重症度、進行速度はその子のよって様々です。
つまり、垂れ耳遺伝子をもつスコティッシュフォールドは遅かれ早かれ、軽度から重度様々な関節の問題を引き起こすことになるのです。
治療は?
遺伝子にコードされる病気ですので、完全に起こさなくする予防/治療法は基本的にありません。
治療のメインは症状の緩和ケアになります。
まず生活の質が低下するほどに重度の骨変形を起こしており、内科的な治療に反応が乏しいほど痛みが激しい場合は、痛みを引き起こす骨を除去する外科的な手術や、痛みを緩和するための放射線治療があります。
この放射線治療は近年報告され始めた治療であり、2~4週間に一度の放射線照射を計6回行うことで、約2年以上痛みを起こさなくなったとの報告があります。費用は施設により異なりますが、一回当たりおよそ5~10万円が相場でしょうか。
しかし臨床経験上ここまでの治療を必要とすることは少なく、多くの場合は飲み薬やサプリメントによって痛みや運動性を緩和することによって生活の質を保てることがほとんどです。
そのため、骨軟骨異形成症を起こしているスコテイッシュちゃんは症状をみながら痛み止めの薬と関節を守るサプリメントを内服されています。
まとめ
猫ちゃんはとても強い動物なので、ヒトや犬のようにあまり弱みを見せません。スコティッシュちゃんも可愛らしい外貌の反面、とても心が強い品種なので、痛みがあっても症状に気づけていないことがほとんどです。
動きづらさや運動量の低下は加齢ではなく、関節の痛みであることが多いです。
動物は言葉を話せませんので気づけていないことがとても多いです。
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