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獣医師が伝える犬猫の病気や治療の考え方

犬と猫の皮膚アレルギー治療まとめ|薬・スキンケア・食事・生活環境を獣医師がわかりやすく解説

更新日:2025/12/9

犬や猫の皮膚アレルギーは、
「薬だけでは良くならない」「季節で悪化する」「繰り返す」という特徴があり、
治療の組み合わせ がとても重要です。

皮膚科診療では、

  • 薬(かゆみ止め)
  • スキンケア
  • 食事
  • 環境改善

この4つをバランスよく整えることで、
症状を長期的に安定させることを目指します。

この記事では、犬猫の皮膚アレルギーの治療方法を、
飼い主にわかりやすく体系的に解説します。

犬猫の皮膚病の多くは何かしらのアレルギーが関与していることは多いです。

慢性的な痒みや皮膚病を繰り返している犬猫は、

アレルギーなのか適切に診断し、

適切に治療を行う必要があります。

では、どのような検査を行い、

どのような治療方法があるでしょうか❔

アレルギーの治療薬はここ1~2年でもさらに増えていますので、

ステロイドに勝る新薬についてもお話しします。

アレルギー性皮膚炎とは❔

アレルギー性皮膚炎は、外的アレルゲンへの免疫の反応により、皮膚に痒みが出てしまう病気です。

その外的アレルゲンとは、食物アレルゲンと環境アレルゲンの2種類があります。

食事にアレルギーがある場合は年中症状が認められ、

環境中の抗原(花粉など)にアレルギーがある場合は季節性に強く症状が認められることが多いです。

主な症状:

  • かゆみ
  • 赤み
  • 脱毛
  • フケ
  • 皮膚がべたつく
  • 耳のかゆみ

繰り返しやすく、慢性化しやすい病気です。

アレルギー性皮膚炎の症状と好発部位

アレルギー性皮膚炎はまず、

必ず痒い

です。

また、その痒い部位が特徴的です。

約50%が外耳炎を起こし、

66%が細菌感染症を併発し、

33%が酵母(マラセチア)感染症を併発しています。

つまり、皮膚病は1つの原因ではなく、アレルギーを背景に二次感染により複雑化していることが多いです。

痒い好発部位は、

耳60% 腋窩(脇)60% 腹部70% 前肢80%

後肢80% 口唇40% 会陰部40% と言われています。

皮膚アレルギーの種類

代表的なアレルギーには以下があります。

■ 食物アレルギー

特定のタンパク質に反応するタイプ。

■ アトピー性皮膚炎

環境アレルゲン(ダニ、花粉、埃など)に反応。

■ ノミアレルギー

1匹のノミでも強いかゆみを起こす。

■ 接触アレルギー

植物、カーペットなど特定の物質に接触すると反応。

多くの犬猫は 複数のアレルギーが重なっている ため、
治療は総合的に行う必要があります。

アレルギー性皮膚炎の診断

食物アレルギーは除去食試験というアレルゲンとならないであろうフードを8週間食べることにより、

症状の緩和や改善が見られるかどうかで判断します。

アトピー性皮膚炎の約半数は食物アレルギーを併発していると言われています。

アトピー性皮膚炎の診断はホルモンの病気を否定し血液検査やアレルギー検査ではなく、

以下の項目を埋めることによって行います。

以下の項目が5項目以上当てはまる場合は8割以上の確率でアレルギー性皮膚炎が疑われます。

◻︎発症年齢が3歳未満

◻︎主に室内飼育である

◻︎ステロイド反応性の掻痒

◻︎発症時に病変が伴わない掻痒

◻︎前肢に病変あり

◻︎耳介に病変あり

◻︎耳介辺縁に病変なし

◻︎背部〜腰部に病変なし

その他の補助的なアレルギー検査として、

・抗原特異的IgE検査 

・リンパ球活性化試験 

・アレルギー強度試験 

・ 皮内反応 

などがありますが実際には診断の精度は高くなく、費用がかかるのみであまりおすすめはしません。

アレルギー性皮膚炎の治療薬

アレルギーの治療薬としてここ数年で様々な新薬が出現し、

アレルギー治療も変化しています。

最近よく用いられる治療薬としては、

・ステロイド(プレドニゾロン)

・アポキル

・サイトポイント

・シクロスポリン

などがあります。

それぞれの特徴と副作用をご説明します。

ステロイド(プレドニゾロン)

<特徴>

炎症を抑え、9割以上の治療反応率で、古くから使われる第一選択薬。

長期投与では副作用が問題となるため、週2回までの減薬が目標。

<副作用>

短期的なものとして多飲多尿、抑うつ、興奮、消化器症状

長期使用においては、糖尿病、肝障害、皮膚石灰化

命に関わる重大な副作用としては、血栓、心不全

などがあります。

アポキル

最近新しく開発された新薬であり、ステロイドと比較して副作用が少ないことがメリットとして最近よく用いられます。

1日2回2週間で内服を開始し、治療反応率は 70 %以上です。

<特徴>

炎症を抑える効果は低く、痒みを抑える。

<副作用>

重大な報告は現時点ではない。

サイトポイント

これも最近開発された新薬であり、

1ヶ月1回投与する注射薬です。治療反応率 は70%以上と言われています。

まだ取り扱っている動物病院は少ないかもしれません。

<特徴>

炎症を抑える効果は低く、痒みを抑えることが治療目的となる。

<副作用>

重大な副作用の報告は現時点ではない。

シクロスポリン

免疫抑制薬であり、1日1回の内服薬で反応率は約 70 %です。

<特徴>

炎症を抑えアレルギーを抑える。慢性期にはステロイドは長期投与では副作用の面から使用しづらいため免疫抑制剤が用いられる。長期内服での安全性が確立されている。

<副作用>

約半数の子でで何らかの消化器症状が出ることがある。

“薬だけで治らない理由”

皮膚アレルギーは慢性疾患で、
薬だけでは根本改善が難しいことが多いです。

理由:

  • 皮膚のバリア機能が弱っている
  • アレルゲンが生活環境に常に存在する
  • かゆみが続くと皮膚がさらに悪化する
  • 薬をやめると再燃しやすい

薬は 症状を抑える役割 ですが、
“治療のひとつの柱” にすぎません。

薬以外の大切な治療(スキンケア・食事)

■ シャンプー療法

皮膚の炎症を抑え、バリア機能を回復させるために重要です。

  • 薬用シャンプー
  • 保湿シャンプー
  • フケ対策
  • 殺菌タイプ

皮膚の状態に合わせて種類を選びます。


■ 食事療法(食物アレルギーが疑われる場合)

  • 限定アレルゲン食
  • 加水分解タンパク食
  • 動物病院専用フード

自己判断のフード変更では改善が難しい ため、
獣医師の指示のもとで行います。


■ サプリメント

  • オメガ3脂肪酸
  • プロバイオティクス
  • 皮膚バリア補助成分

薬の効果を補強する目的で使用します。

環境改善も重要

アトピー性皮膚炎の場合、
環境整備が治療の効果を大きく左右します。

  • 室内のホコリ・ダニ対策
  • 布製品(ベッド、毛布)の洗濯
  • カーペットの清掃
  • 空気清浄機の使用
  • 季節に合わせた保湿
  • ノミ予防の徹底

アレルゲンを減らすことで、
薬の量を減らせるケースもあります。

再発を防ぐために

皮膚アレルギーは 完治ではなくコントロールする病気

再発を防ぐためには、

  • 定期的な通院
  • 症状が軽いうちの治療
  • 保湿やシャンプーの継続
  • 季節ごとの悪化パターンの把握
  • ストレス管理
    が大切です。
  • よくある質問(FAQ)
  • Q. アポキルの長期使用は大丈夫?
  • → 多くの犬で安全に使用できます。獣医師の管理が必要です。
  • Q. 完治しますか?
  • → アレルギーは完治が難しいため、長期的な管理が目的になります。
  • Q. シャンプーはどのくらいの頻度?
  • → 状態により週1〜月2回程度です。
  • Q. 食事でよくなることはありますか?
  • → 食物アレルギーの場合は大きく改善することがあります。

まとめ

犬猫の皮膚アレルギーは薬だけでは改善しにくい

アポキル・サイトポイント・ステロイドなど複数の薬を使い分ける

スキンケア・食事・環境改善を組み合わせて治療

二次感染の治療も重要

アレルギーは“コントロールする病気”であり継続的なケアが大切

早期対応で薬の量を減らせることがある

犬猫においてアレルギー性皮膚炎は極めて発生が多い皮膚病です。

また、生涯付き合っていく病気でもありながら、その治療方法も複数存在していますので獣医師ごとの治療の手腕も問われます。

治りが悪い皮膚病を患っている犬猫ちゃんや、皮膚が痒い犬猫ちゃんは、今回説明した内容を踏まえ、

一度セカンドオピニオンされるのもいいと思います。

以下に獣医師の視点から、
治療中の犬猫に現実的に選ばれているフードをまとめまています。

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