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獣医師が伝える犬猫の病気や治療の考え方

犬と猫の黄疸(おうだん)とは|原因・症状・検査・治療・危険サインを獣医師が徹底解説

更新日:2025/12/6

犬猫が食欲不振や嘔吐を示す際に皮膚や粘膜を見てあげてください。

皮膚や粘膜が黄色い場合は黄疸と呼ばれ、血液中のビリルビンが1.5mg/dL以上に上昇しており、命に関わる緊急状態であることを示します。

犬や猫の目や口の中、皮膚が黄色く見える——。
それは 「黄疸(おうだん)」 と呼ばれる状態で、体の中で重大な異常が起こっているサインです。

黄疸は病名ではなく、
肝臓・胆のう・胆道・赤血球の異常など、多くの病気で起こる“結果” です。
放置すると命に関わるケースも多く、原因の特定と治療のスピードが非常に重要になります。

この記事では、犬と猫の黄疸について
原因・症状・検査・治療・注意すべき危険サイン をわかりやすくまとめています。

黄疸とは?

体内でビリルビンという黄色い物質が増え、

  • 眼(白目)
  • 歯ぐき
  • 耳の内側
  • 皮膚

などが黄色く見える状態です。

黄疸は 命に関わる病気の初期サイン のこともあり、早急な検査・治療が必要です。

黄疸が起こる仕組み

ビリルビンは、古くなった赤血球を分解するときに生じる物質です。
体内では通常、

  1. 赤血球の分解でビリルビンが作られる
  2. 肝臓で処理される
  3. 胆汁に混じり、腸へ排泄される

という流れで処理されます。

黄疸は、この流れのどこかで異常が起きることで発生します。

➤ 黄疸が出る原因は大きく3つ

(1)溶血性黄疸

赤血球が 破壊されすぎている 状態
例:免疫介在性溶血性貧血、感染症、毒物など

(2)肝性黄疸

肝臓での 処理能力が低下 している状態
例:肝炎、肝臓腫瘍、脂肪肝、肝硬変

(3)閉塞性黄疸

胆のう・胆管が 詰まって排泄されない 状態
例:胆石、胆嚢炎、胆管閉塞、腫瘍による圧迫

原因で治療が大きく異なるため、正確な診断が不可欠です。

次に更に詳しくまとめます。

黄疸の原因

犬猫に黄疸を引き起こす原因は大きく分けると以下の3つあります。

①溶血性(肝前性)黄疸(血が壊れる)

②肝性黄疸(肝臓の病気)

③肝後性黄疸(胆嚢~十二指腸の病気)

犬猫の黄疸が血液検査にて診断された場合は、さらに超音波検査を追加検査として実施し、この3つのどこが原因であるか調べる必要があります。

ではそれぞれについてどのような病気が考えられるかまとめていきます。

溶血性(肝前性)黄疸

黄疸の原因であるビリルビンはもともと血液の成分であるヘモグロビンから作られています。

そのため血液が壊される病気になると黄疸になり、これを溶血性黄疸といいます。

多い病気として、免疫介在性溶血性貧血や輸血実施後の副反応があります。

肝性黄疸

肝性黄疸は肝臓に何か問題が起こり肝臓の機能が低下することで起こります。

考えられる病気として

・感染(ウィルス、寄生虫など)

・腫瘍

・変性(肝硬変や肝リピドーシス)

・中毒

などが考えられます。

肝臓自体になにか問題を有する場合は、肝臓から逸脱する肝障害のGPT,GOTと呼ばれる数値が血液検査で高くなり、エコー検査において肝臓の見え方に異常を起こしていることがあります。

肝臓自体に何が起こっているかは細胞や組織の検査、CT検査など複数の検査を組み合わせないと原因をはっきりさせることは困難です。

肝後性黄疸

肝臓で生成された胆汁は肝内胆管から胆嚢へ貯留、濃縮されて総胆管という細い管を通って十二指腸に流れていきます。

この通路のどこかに異常を起こした場合に起こる黄疸を肝後性黄疸といいます。

この異常を検出するためには詳しい超音波検査が必須であり、また血液検査においてALP,GGTと呼ばれる数値が上昇します。

肝後性黄疸を引き起こす病気として多いものから、

・胆石症
・胆管/胆嚢炎
・胆嚢粘液襄腫
・隣接臓器の炎症(十二指腸カタル、膵炎)
・膵臓、肝臓、胆嚢、胆管、十二指腸の腫瘍
・胆管狭窄(硬化性胆管炎)
などです。

症状:どんな変化が見られる?

黄疸は病名ではなく“結果”なので、症状は原因によって大きく異なります。

● もっとも多い見た目のサイン

  • 白目(結膜)が黄色い
  • 歯ぐき・口の中が黄色い
  • 耳の内側や皮膚が黄色い

● 一緒に起こりやすい症状

  • 食欲不振
  • 元気がない
  • 嘔吐、下痢
  • 体重減少
  • 発熱または低体温
  • 腹痛
  • お腹の張り(胆管や肝臓の異常)
  • 尿の色が濃い(赤茶〜オレンジ色)

黄疸が見える頃には病気が進行していることが多く、急いで受診すべき症状です。

原因となる主な病気

黄疸を引き起こす病気は多岐にわたります。

■ 溶血性の病気

  • 免疫介在性溶血性貧血(IMHA)
  • 猫のマイコプラズマ感染
  • バベシア症(犬)
  • 中毒(玉ねぎ、金属、薬物など)

■ 肝臓の病気

  • 肝炎
  • 脂肪肝(特に猫)
  • 肝臓腫瘍
  • 肝硬変
  • 先天性疾患

■ 胆のう・胆管の異常(閉塞性黄疸)

  • 胆石
  • 胆嚢炎
  • 胆嚢粘液嚢腫
  • 腫瘍による胆管圧迫
  • 外傷

重症例では、胆のう破裂や肝不全などの緊急性を伴うこともあります。

診断に必要な検査

黄疸の原因を特定するには、多角的な検査が必要です。

● 血液検査

  • 肝酵素(ALT、AST、ALP、GGT)
  • ビリルビン(総/直接)
  • 貧血の有無
  • 炎症マーカー
  • 凝固機能

● 超音波(エコー)

  • 肝臓の形や大きさ
  • 胆のうの状態(炎症、胆石、破裂)
  • 胆管の閉塞
  • 腫瘍の有無

● X線検査

お腹全体の形の異常を確認。

● CT検査(必要に応じて)

腫瘍性疾患・胆道閉塞の評価に有用。

● その他

  • 感染症検査
  • 免疫疾患の検査
  • バイオプシー(肝臓の組織検査)

黄疸の診断は難しく、複数の検査の総合判断が必要です。

治療方法

治療は 原因により大きく異なる ため、診断が何より重要です。

■ 溶血性黄疸の場合

  • 免疫抑制剤(ステロイドなど)
  • 輸血
  • 感染症の治療
  • 点滴

■ 肝性黄疸の場合

  • 肝臓を休ませる治療
  • 点滴で代謝サポート
  • 肝保護剤
  • 栄養管理
  • 脂肪肝では積極的な栄養補給が必要

■ 閉塞性黄疸の場合

  • 抗生剤
  • 点滴
  • 胆のう・胆管の手術(胆石除去・胆嚢摘出など)
  • 腫瘍なら外科または抗がん剤治療

閉塞性黄疸は救急になることも多く、早期介入が命を左右します。

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家で注意すべきポイント

  • 白目・歯ぐきの色を毎日チェック
  • 尿の色の変化
  • 食欲・元気の低下
  • 嘔吐・下痢
  • お腹が張っている
  • 隠れる・ぐったりする

「黄疸が見えたら危険」という意識がとても重要です。

早期発見=治療の選択肢が広がる
進行後の発見=治療が難しくなる

判断が遅れるほどリスクが上がるため、気になればすぐ動物病院へ。

よくある質問(FAQ)

Q. 黄疸は自然に治りますか?
→ いいえ。必ず何らかの病気が原因で、自然に消えることはありません。

Q. 食欲があれば様子見でいい?
→ 黄疸が出ている時点で危険です。早急に受診を。

Q. 黄疸=肝臓の病気?
→ 肝臓以外の血液の病気や胆道疾患でも起こります。


9. まとめ

  • 黄疸は 目や皮膚が黄色くなる危険なサイン
  • 肝臓・胆道・赤血球の異常など多くの病気で起こる
  • 原因により治療が大きく異なる
  • 検査は血液・エコー・画像診断など多角的に必要
  • 早期介入で救命率が大きく変わる

黄疸が少しでも見えたら、「緊急性がある可能性」をまず考えてください。

以下に獣医師の視点から、
治療中の犬猫に現実的に選ばれているフードをまとめまています。

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