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獣医師が伝える犬猫の病気や治療の考え方

犬と猫の麻酔って安全?|全身麻酔の仕組み・リスク・飼い主が知るべきこと~避妊去勢と歯石除去して大丈夫?~

更新日:2025/12/5

生後半年での避妊去勢手術や

高齢になってからの歯石除去など、

犬猫に麻酔の不安は避けて通れません。

ヒトの何倍も体の小さい犬猫に全身麻酔をかけても大丈夫でしょうか?

死んでしまったりしないか?

多くの不安があると思います。

手術や処置で「麻酔をかけます」と言われたとき、飼い主さんは誰しも不安を感じるものです。
麻酔にはリスクがありますが、適切に管理されれば安全性は高く、多くのペットが無事手術を終えています。

この記事では、犬と猫が麻酔を受けるときの流れ、起こりうるリスク、事前準備、飼い主ができることを、獣医師の視点でわかりやすく整理します。

麻酔はなぜ必要か?

動物にとって、

  • 手術(腫瘍摘出、避妊去勢、歯科処置など)
  • 詳細な画像検査(CT、MRIなど)
  • 歯石除去や歯科処置

などを行う際には、「痛みやストレスを与えず、安全に処置を行うため」に麻酔は非常に重要です。

特に口腔ケアや腫瘍の摘出、内臓手術などは、全身麻酔なしではほぼ不可能 であり、麻酔があるからこそ可能になる医療行為は多くあります。]

麻酔の流れと種類

動物医療で用いられる麻酔には、主に次のような流れがあります。

  • 術前評価・検査 — 健康状態、血液・臓器機能、心肺の状態をチェック
  • 導入 — 鎮静剤や誘導麻酔薬で眠らせる
  • 維持麻酔 — ガス麻酔などで手術中の麻酔状態を管理
  • 術後管理と覚醒 — 麻酔を止め、呼吸・循環・体温・痛みなどを回復させるまでモニタリング

麻酔方法は、動物の状態や手術内容により変えられ、最適な薬剤や方法を獣医師が選択します。

麻酔の主なリスクと注意すべき合併症

麻酔は安全性が向上してきているものの、100%安全ではありません。  気をつけるべきリスクは以下の通りです。

● 循環・呼吸系の問題

  • 血圧低下、心拍異常、不整脈
  • 呼吸抑制、酸素不足

● 臓器の負担

  • 肝臓や腎臓への負荷(薬剤の代謝・排泄)
  • 全身麻酔薬の影響による臓器不調

● 低体温・体温管理不良

麻酔中および術後は体温が下がりやすいため、体温管理が重要

● 麻酔から覚醒しない、あるいは覚醒後の合併症

特に高齢や持病がある子は、術後の急変や合併症のリスクが上がる

● 歯科処置などでの問題

麻酔なしで歯石除去などを行うと、痛みや口内の損傷、重大な病気の見逃しにつながる可能性がある

安全に麻酔を受けるための“事前準備と検査”

麻酔のリスクをできるだけ下げるために、以下の準備・検査は非常に重要です。

  • 血液検査 — 肝臓・腎臓の機能、電解質、貧血の有無などを確認
  • 画像検査(レントゲン・超音波など) — 心臓・肺・臓器の異常を見つけるため
  • 心電図や心臓チェック(必要に応じて) — 心疾患がある場合のリスク評価
  • 麻酔前の身体状況の安定 — 脱水の補正、体調を整える

こうした“麻酔に耐えられる状態か”のチェックによって、安全性が大きく改善されます。

全身麻酔の死亡率

全身麻酔や鎮静は決して安全な処置ではなく、

合併症や死亡事故を生じる可能性はあります。

では、そのリスクはどの程度でしょうか?

そのリスクは麻酔前の全身状態によって異なります。

そのため多くの動物病院では全身麻酔前には術前検査を行います。

術前検査(血液検査やレントゲン検査)を行わず全身麻酔を行う動物病院では麻酔は控えたほうが懸命です。

術前検査で健康な場合の麻酔関連死亡率は、

犬で0.17~0.9% 猫で0.24~0.43%

と報告されています。

全身状態が悪い場合での手術ではこのリスクは変わります。

避妊去勢手術や歯石除去手術では麻酔に関連して死亡する確率は極めて低いとわかります。

ドクターデンタルワン

麻酔のリスク因子

術前検査や全身状態によっては、

麻酔をためらう場合があります。

それは、麻酔に強く関連する臓器に異常がある以下のような場合です。

・心臓が悪い(不整脈や弁膜症ステージB2以上)

・腎不全がある(麻酔中の血圧低下が悪化させる)

・肝機能不全がある(麻酔の覚めが悪い)

などです。

避妊去勢手術ではこのような異常を持っている場合は少ないと思いますが、

高齢になり歯石除去を行う場合は上記の点を注意し、

十分に術前検査を行います。

術前検査で大きな異常を認めない場合は、麻酔リスクは0.1%前後であり、

大きな心配はいりません。

ただし、その確率を大きいととらえるか小さいととらえるかはヒトそれぞれです。

その麻酔リスクと治療の必要性と照らし合わせてしっかり吟味して行うとよいでしょう。

麻酔かけてまでその治療はすべきか?など

麻酔を迷うときの考え方↓

犬猫の全身麻酔とリスク~CT・MRI・手術するか迷うとき~

術後の管理と飼い主ができるケア

麻酔から覚めた後も、次のような管理が大切です。

  • 呼吸・心拍・体温の確認
  • 痛みのコントロール・安静の確保
  • 水分補給・栄養管理
  • 吐き気・嘔吐のチェック
  • 異変に気づいたら早めに動物病院へ

手術直後は特にリスクが高いため、飼い主さんの観察と対応が非常に重要です。

麻酔を受けるか迷ったときの考え方

麻酔を使った処置に迷うときは、次の点を獣医師とよく話してみてください:

  • 麻酔の リスク vs 効果 はどれくらいか
  • その処置は麻酔なしでは代替できないか
  • その子の年齢・持病・体力は麻酔に耐えられるか
  • もし麻酔が難しい場合、他の選択肢(緩和ケア、局所麻酔など)はあるか

完璧な安全はないものの、情報をもとに最善の判断をすることが大切です。

よくある質問(FAQ)

Q. 高齢だから麻酔は無理?
→ 年齢だけで麻酔できないとは限りません。体の状態や検査次第で、安全に麻酔することは可能です。

Q. 歯石取りは麻酔なしでもできる?
→ 麻酔なしは“見た目の汚れを取るだけ”に限られ、歯の根元や歯茎の下の歯石は除去できなかったり、重大な病気を見逃す可能性があります。

Q. 麻酔は毎回同じリスク?
→ その子の年齢や健康状態、麻酔薬・手術内容によってリスクは変わります。事前の検査と管理が重要です。

まとめ

  • 麻酔にはどうしてもリスクがあるが、適切な準備と管理で安全性は高まる
  • 血液検査や画像検査で事前の状態をしっかり確認することが大切
  • 術後ケアや飼い主さんの観察も重要な役割を果たす
  • 麻酔を受けるかどうかは、リスク/メリットをよく考えて判断を

麻酔は、ペットにとってつらい処置を安全に行うための手段。
不安があれば、獣医師とよく相談して、「この子にとって最善か」を一緒に考えてください。

また以下に獣医師の視点から、
治療中の犬猫に現実的に選ばれているフードをまとめまています。

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