猫ちゃんは腎臓が弱い。
一度は耳にしたことがあるかと思います。
猫ちゃんの人生は腎生に等しい。
間違いではないような気がします。
そんななかで若くして腎不全になりおしっこがでなくなり生死をさまよう中で透析治療で助かった猫ちゃんをご紹介します。
腎不全の原因
その猫ちゃんは3歳のスコティッシュフォールド。
特に原因はわからないが急におしっこがでなくなり、
食欲不振、嘔吐を繰り返し病院に来ました。
血液検査で腎臓の数値が
BUN140以上 CRE12.0と極めて高く命が脅かされていました。
エコー検査など検査をしても腎不全の原因はわかりません。
何度も飼い主様にお話しを聞き直すと原因が明かになりました。
お家に飾ってあるゆりの花粉です。
つまり中毒物質を摂取したことで急性腎不全を引き起こしたのです。
犬猫はタマネギやチョコレートなど有名なもの以外に、
あまり知られていないものも含めかなり多くの中毒物質が存在しています。
詳しくは別のコラムで紹介していますので一度はご覧ください。
犬猫の中毒物質
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腎不全発覚から透析治療
原因が中毒物質の摂取であるとわかった時点で、まず治療方法はなくなります。
つまり、手術や薬の投与で腎不全を治すことはできず、
治るのを、おしっこがでるまで待つことになります。
しかし、おしっこは数日でもでなければ命は持ちません。
身体に毒素が急激に溜まり心臓が急に止まるのです。
そこで、透析を開始することになりました。
透析とは?
透析とは機械の腎臓と身体を管でつなぎ血液中の毒素を分解する治療です。
猫ちゃんの血管に管をいれ、外の機械とつなぎ合わせ、
1日あたり数時間血液の毒素抜きを行います。
この際、ヒトと違い猫ちゃんは大人しくできないという問題点があります。
動いてしまうとうまく血液を交換することができないので、猫ちゃんの性格によっては不可能または鎮静剤の投与が必要となります。
透析治療から回復まで
透析を開始し7日が経った頃、猫ちゃんが1週間ぶりにおしっこをしました。
おしっこが出たということは、腎臓が尿を作り始めたことを意味します。
つまり、腎臓が回復し始め、毒素を排泄できるようになったのです。
ここから、利尿期と呼ばれる腎臓の回復期に入り、今までを取り返すかのようにたくさんのおしっこが出始めました。
おしっこがでる分多くの点滴を行い毒素を身体から排泄し、瞬く間に腎臓の数値は正常になりました。
若い猫の急性腎不全
今回の子のように、
若い猫の急性腎不全はなにか原因があることがほとんどです。
明らかに違和感があります。その原因の多くは、
・中毒物質の摂取(植物や消炎鎮痛剤)
・尿路結石
です。
見逃されていることも多くありません。
若い猫ちゃんの腎不全で原因がわからない場合は腎臓に詳しい獣医師にセカンドオピニオンを求めることをおすすめします。
かかりつけの全獣医師は全力で考え治療していますが、
ヒトと違い犬猫ウサギなど多岐に渡る品種の、
外科、歯科、眼科、内科、泌尿器科、、、すべてひとりで診ています。
その現実を知っていただき、みなさんの子が最善の治療を受けていただけたら嬉しく思います。
セカンドオピニオンの大切さ
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