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中高齢犬がくしゃみ?それって歯周病のサインでは?今からでもすべきデンタルケア

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ここ最近花粉症でくしゃみが止まりません。

コロナの注意すべき症状にくしゃみはないそうですね。

ご自宅のわんちゃんはくしゃみしていませんか?

わんちゃんが続けてくしゃみする場合、

ヒトと同様に鼻炎の可能性もありますが、

中高齢のわんちゃんで最近になって増えてきたくしゃみは歯周病が原因であることがとっても多いです。

今回はわんちゃんのくしゃみや鼻水の原因となる歯周病について、

その予防と治療についてお家でできることと、できないことをお話しします。

くしゃみ鼻水の原因は歯?!

まず、なぜ歯周病でくしゃみ、鼻水につながるのでしょうか?

わんちゃんも人と同じで年を取ると歯周病になります。

歯周病が進行し重度になると、

歯根部分の感染によって顎の骨を溶かしていきます。

そうすると、上あごの歯周病は上あごの骨を溶かしていき、鼻と口がつながります。

これを口鼻瘻(こうびろう)といいます。

そのため歯で起こっていた感染が鼻の中にも波及し、

くしゃみや青っぱなが出始めるのです。

おうちのわんちゃんにくしゃみが続いている場合、一度口の中を覗いてみてください。

これは重度の歯周病を起こしたわんちゃんの歯です。

重度に歯石が付着し、歯肉が赤く腫れています。

この歯によって感染を引き起こし、くしゃみや鼻水、

また眼の下(眼窩)に膿が溜まっていました。

あなたは毎日歯磨きしますか?歯医者に行ったことはありますか?

多くの方が両方とも「はい」ではないでしょうか。

では、おうちのわんちゃんはどうですか?

わんちゃんは唾液も多く、口の形態的に、

ヒトよりも歯周病になりやすいにもかかわらず、半分近くのかたは「いいえ」ではないでしょうか。

治療と予防

では、本題ですが、その歯周病に対してどうすればいいのでしょうか?予防するにはどうすべきでしょうか?

まず、先ほどの写真で示すような重度の歯周病になり、症状が出ている場合は、

自宅でのデンタルケアでは絶対に治りません。

歯茎の骨を壊している歯は抜歯と抗生剤による感染の治療が必要となります。

放置すると、歯からの細菌感染により命に関わることもあります。

まず、症状が出ている場合、くしゃみ、鼻水(片側、青っぱなは要注意)

がひどい場合は様子を見ずに動物病院での治療が必要です。

まれに、無麻酔で歯石だけとる治療されていますが、

必ず麻酔下での治療が必要です。

無麻酔で歯石を割る処置は一見綺麗になったように見えますが、

表面の歯石を剥がし歯に傷をつけ余計に今後の歯周病を悪化させます。

無麻酔で可能なのは人だけです。

基本的には日帰りまたは1泊の入院で治療でき、

治療の重症度にもよりますが、相場はすべてで5万円前後でしょうか。

このように歯周病を起こすと、麻酔下での処置は避けられません。

では歯周病を起こさないようにするにはどうすればいいでしょうか?

ヒトと同じです。日々のデンタルケアの一択です。

お家でできるデンタルケア

そのデンタルケアのやり方、選択肢をお伝えします。

まず、一番のベストは歯ブラシです。

下のようなわんちゃん専用の360度式の歯ブラシが使いやすいです。

磨き方は人と同じです。歯よりも歯周ポケットを磨くイメージです。

ここで問題となるのが、

「先生、うちの子は歯ブラシ嫌がってさせてくれません」です。

デンタルケアの指導をすると10人に9人はこう答えます。(笑)

実は、デンタルケアもしつけと同じです。

いきなり口に棒を突っ込まれて嬉しいわんちゃんはいませんよね。

嫌がるわんちゃんやはじめて歯ブラシを始めるわんちゃんは、

まず、歯ブラシ=ご褒美で気長に訓練です。

数日から数カ月かけて地道に焦らずします。人生は長いです。

具体的には、はじめは指におやつをつけ、口の中に指を入れられることに慣らす(おやつと関連づける)。

許容してくれるようになれば、歯ブラシにおやつをつけて歯ブラシの抵抗をなくす。

最終的には歯ブラシに犬用の歯磨き粉をつけて磨くようになります。

最近は、わんちゃんが好むチキンフレーバーの歯磨き粉もあるので初期には特に使えます。

どう考えても、歯ブラシは不可能なわんちゃんには、

指サック型の歯ブラシを試します。

それも無理なら、デンタルガムなどを噛んでもらい、歯を物理的に研磨します。

やらないよりは十分に効果はあります。

歯周病予防フード

歯周病がひどいわんちゃんは、フードに問題があることが多いです。

柔らかいものや歯に付着し残りやすいフードは歯周病になりやすくなります。

逆に噛みごたえがあり、硬さや大きさが調整されたデンタルフードは歯周病の予防や進行を遅らせることができます。

歯周病予防として有名なフードとしては

『カナガンデンタルドッグフード』

などがあります。

先々のことを考えると嗜好性が合えば試してみてもいいかもしれません。

デンタルケアサプリ

歯周病は口腔環境が関与しています。

そのため口腔環境を整えるためのサプリメントも存在し、効果が期待できます。

しかし、まずは歯ブラシなどのデンタルケアを優先し、どうしてもできない場合や、

さらに口腔環境を整えたい際には検討します。

自分が知っているデンタルサプリメントとしては

【キュアペット】

があります。

ぜひご参考にしてください。

まとめ

わんちゃんもヒトと同じように(ヒト以上に)デンタルケアを必要としており、歯周病はとても怖い病気です。

しかし、ここまで挙げてきた選択肢の中から日々デンタルケアができているわんちゃんは、

歯周病で全身麻酔をかける処置が避けれる可能性があります。

デンタルケアはヒトと違いとても難しいように思えますが、

報酬としつけの概念をうまく利用することで解決できることがほとんどです。

これはわんちゃんのしつけ全般に言えることです。

うまくわんちゃんと付き合い、苦痛のない日々が過ごせる一歩目になることを願っています。

このサイトでは、日々よく起こりうることで皆様に知っていていただきたい知識をかいつまんでお伝えしていきます。

ご参考になれば幸いです。

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