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【猫の心筋症】おうちの子の心臓は大丈夫ですか? ~原因・症状・寿命~

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猫ちゃんは自由な性格であるもののとても可愛らしく日々私たちを癒してくれます。

そんな猫ちゃんが1日でも長く元気で走り回ってくれるように、しっかり健康管理をしてあげたいですね。

今回は、猫ちゃんで若くからでも多く潜んでいる心筋症のおはなしをしようと思います。

心筋症とは

心筋症は猫のおよそ7頭に1頭が罹患している心臓病で、

その多くは症状を示さないので、進行して症状がでるまで気づかないことがほとんどです。

年齢を重ねた猫では約3割の猫が心筋症に罹患しています。

雑種猫で多く認められていますが、心筋症がとてもよく発生する品種も存在します。

よく発生するのは

メインクーン・ラグドール・ブリティッシュ・ペルシャ・ベンガル』などです。

心筋症はそのタイプによって大きく以下の4つに分類されます。

・肥大型心筋症 HCM

原因のない全体または部分的な心筋の肥大を認める

・拘束型心筋症 RCM

心筋の肥厚はないが心房の拡大(うっ血)がある。

・拡張型心筋症 DCM

心臓の左室の収縮力が低下し、心臓が大きくなる。

・不整脈源性右室心筋症 ARVC

心臓右室右房の重度の拡張と不整脈・右心不全が起こる。

これらのなかで猫で最も多いのは肥大型心筋症で、7頭に1頭の猫がこの心筋症に罹患していると言われています。

これらの診断は主に心臓のエコー検査で行います。

その他心筋症の検査としては、遺伝子検査、レントゲン検査、バイオマーカー、心電図、血圧測定を行い総合的に評価します。

心筋症の症状

症状は進行具合によりさまざまな症状を呈します。

猫の心筋症の進行段階は下記の4段階に分けられます。

Stage A : 心臓病を発症するリスクが高いが、心臓病は確認されない


Stage B : 心臓の構造異常はあるが、心不全の臨床徴候は呈していない
 B1構造異常あるが心房拡大なし
 B2構造異常と心房拡大がある


Stage C : 現在または過去に、心不全の臨床徴候を呈したことがある


Stage D : 心不全の臨床徴候が標準的な治療では治療困難

心筋症で最も恐れることは心不全大動脈血栓塞栓症(いわゆる脳梗塞や心筋梗塞みたいなもの)であり、

ステージB2以降のステージではこの病態の発生率が高くなり注意が必要です。

またこの病態は無症状から急に発症しますので、

ステージB2以降の心筋症の猫では要注意して経過観察を行い、進行を遅らせる治療が必要です。

心不全の症状

・頻呼吸

・肺の音の変化

・低体温

心臓がうまく動かず循環が悪くなり急にこのような症状を呈し、元気消失が起こります。

大動脈血栓塞栓症の症状

急に大声で叫び痛みを感じ、後肢の麻痺と冷感を呈します。

これは初期治療開始までの時間がとても大切ですので、万が一心臓が悪い可能性がある猫でこれらの症状を呈する場合はすぐに病院を受診しましょう。

心筋症の猫の寿命

多くの場合は、症状を示さないので、気づかずに進行しています。

そのため、見つかった時点での進行ステージによってその後の寿命は様々です。

つまり、無症状で心筋症ステージB1と診断された猫ちゃんと、症状を呈して心筋症ステージCと診断された猫ちゃんでは大幅に寿命が異なります。

参考までに、無症状の心筋症の猫の5年間以内の死亡率は約23%という報告があります。

無症状の若い猫では心筋症であっても長期生存できる可能性があり、

逆に心不全や大動脈血栓塞栓症を発症した猫は極めて予後は悪いと言われています。

そのため、早期発見早期治療が極めて重要となります。

心臓サプリメント

ヒトの心臓サプリメントと同様に、心筋に対するコエンザイムや血液をさらさらにするタウリンなど、

心臓を保護する成分を含むサプリメントです。

内服が困難な猫では心臓の薬を優先し、無理する必要がありません。

内服が可能であれば検討します。

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まとめ

動物は言葉を話せないので、気づかずに進行したり発症したりしている病気はとても多いです。

特に心筋症など発症初期に症状を呈さないタイプの病気は、症状がでて病院で見つかった時にはすでに手遅れであったり、短命に終わってしまうことが多いのです。

かといって毎月のように健康診断の血液検査をするのは負担にしかなりません。

そのためなるべく小さなサインや、一緒に暮らす上でのポイントを押さえ、知識を備えておいていただくことが最も大切であると思います。

そのため、今後もなるべく皆様に知っておいていただきたい、かつ盲点のような内容を獣医師および飼い主観点でお伝えしていこうと思います。

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