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獣医師が伝える犬猫の病気や治療の考え方

長毛種の猫の正しいお手入れ|毛玉対策・ブラッシング方法・皮膚トラブル予防を獣医師が解説

更新日:2025/12/9

長毛の猫は美しい被毛が魅力ですが、
毛玉・皮膚トラブル・飲み込んだ毛による嘔吐 など、
短毛種とは別の注意点が必要です。

この記事では、
長毛猫に必要なお手入れ・ブラッシングの頻度・毛玉の防ぎ方・シャンプーのポイント・注意すべき症状
を獣医師がわかりやすく解説します。

猫の毛球症という言葉を聞いたことはありますか?

猫は日常生活において日々グルーミングといって、舌で全身の毛繕いを行っています。

猫の舌はザラザラしているのでグルーミングの際に毛が体内に取り込まれやすいのです。

そのかき集まった毛玉が消化管内で問題を引き起こします。

毛球症の症状、どうなる?

グルーミングによって消化管の中に取り込まれた毛は、通常は糞便として排泄されますが、一部は胃の中で毛玉を作ります。

この毛玉はすぐに吐き出されることもあれば、雪だるまのように、どんどん大きな塊となることがあります。

すると症状として

・慢性の嘔吐

・食欲不振

・体重減少

などを引き起こします。

また、大きくなった毛玉が胃から流出し、腸の細い部分で詰まり腸閉塞を引き起こすこともあり、あまり軽視すべきではありません。

では、どのような子は注意した方がいいのでしょうか?

なぜ起こる?

上記のような症状を引き起こす毛球症は、まず長毛種であることがほとんどです。

また、すべての長毛種が毛球症になるわけではありません。

毛球症になりやすい(グルーミング時間が増える)素因として、下記の原因が考えられます。

・皮膚の痒み(ノミ寄生やアレルギー)

・どこかの痛み

・ストレスや不安

・消化管の動きの低下

繰り返す毛球症や重度の毛球症の猫ちゃんの多くはこれらの何かしらの原因を抱えていることが多いです。

では、よく舐めよく吐く長毛種の子はどうすればいいでしょうか?

長毛猫に毛玉ができやすい理由

長毛種は毛質と毛量の特徴から、毛玉(もつれ)ができやすい体質です。

  • 柔らかく細い毛が絡まりやすい
  • 抜け毛が体に留まりやすい
  • 自分で毛づくろいしきれない部分が多い
  • 季節の換毛期は抜け毛量が急増

毛玉を放置すると、
皮膚の炎症・蒸れ・フケ・痛み・細菌感染 の原因になります。

特に脇、内股、お腹、胸などは毛玉ができやすい場所です。


毎日または週数回のブラッシングが必要

長毛種のケアで最も重要なのが ブラッシング です。

1. 頻度

  • 理想:毎日
  • 忙しい場合でも 週3〜4回以上

ブラッシングが少ないほど毛玉のリスクは高くなります。

2. おすすめのブラシ

毛質により使い分けるのがベストです。

  • スリッカーブラシ(もつれ除去)
  • コーム(仕上げ、深部まで通す)
  • ラバーブラシ(表面の抜け毛取り)

始めは優しく行い、
猫が嫌がる場合は時間を短くして慣らしていきましょう。


正しいブラッシングのポイント(ダメージを減らすコツ)

  • 毛の流れに沿って優しく
  • 毛玉は無理に引っ張らず、根元を押さえてほぐす
  • もつれは「先端→根元」の順にとく
  • 痛がる・怒る場所は無理しない(脇・内股など)
  • 毎日少しずつ、短時間で行うのが成功のコツ

毛玉が大きく、硬くなっている場合は
無理に取ると 皮膚を傷つける危険性が高い ため、動物病院やトリマーに任せましょう。


飲み込んだ毛による「吐き戻し」対策

長毛種では毛づくろいの際に毛を飲み込みやすく、
その毛が胃にたまることで 嘔吐・食欲不振・便秘 を引き起こすことがあります。

対策

  • 定期的なブラッシング
  • 毛玉ケア用フードへの変更
  • 毛玉排出サプリ(オイルタイプなど)
  • 水分摂取を増やす

毛玉ケアフードは便の滑りを良くし、
飲み込んだ毛の排出を助けてくれます。


シャンプーは必要?頻度の目安

長毛種は毛が絡みやすいため、
シャンプーも毛玉防止として有効です。

シャンプー頻度

  • 1〜2ヶ月に1回
  • 皮脂が多い・フケが出る場合は月1回程度
  • ストレスに弱い猫は無理にしない

※ブラッシングと違い、猫にとって負担になりやすいため、
その子の性格に合わせて調整します。

シャンプーの注意点

  • 洗いすぎは逆効果
  • 完全に乾かす(湿りは皮膚炎の原因)
  • 低刺激・猫用を選ぶ
  • 毛玉は濡らすと固くなるため、事前に取っておく

毛玉ができやすい部位とケア方法

毛玉が多い場所ほど重点的にケアが必要です。

  • 胸 → 毛が長く絡みやすい
  • お腹 → 触られるのが苦手な猫が多い
  • 内股 → 摩擦で毛が固まる
  • 脇 → 毛が密集して蒸れやすい
  • 尻尾・後肢 → 毛づくろいが届きにくい

毛玉を見つけたら早めに取り除くことで皮膚トラブルを防げます。


長毛種で注意すべき皮膚トラブル

長毛種は毛が長く、皮膚が見えにくい分、症状を見逃しやすい傾向があります。

注意すべき症状

  • 強いフケ
  • 赤み
  • ベタつきやにおい
  • 掻く・舐める行動が増えた
  • 急に毛玉が増える(皮膚炎のサイン)
  • 毛が部分的に抜ける
  • 毛割れ(毛が開く)

これらが続く場合は、
アレルギー・皮膚炎・マラセチア感染・寄生虫 などが隠れている可能性があります。


動物病院を受診した方がよいケース

  • 毛玉が皮膚に張り付き、切れない
  • 痛がる・怒る・触れない
  • 何度も嘔吐している
  • 食欲が落ちている
  • 皮膚が赤い・湿疹がある
  • 自宅ケアで改善しない
  • 急に毛玉が大量に増えた

長毛種は皮膚病に気づきにくいため、
軽度の症状でも早めの相談が安心です。

毛球症の治療

毛球症によって慢性的な嘔吐を示している猫ちゃんは胃の中の毛玉を取り出す必要があります。

小さな毛玉であれば、自分で吐き出せますが、大きくなった毛玉は麻酔下で取り出すしかありません。

その取り出す方法は、内視鏡もしくは外科的な胃切開を行い摘出します。

毛玉が胃の中だけではなく小腸に詰まっている場合は、内視鏡では取り出せないので手術をする必要があります。

全身麻酔下ではありますが、この処置自体はそこまで侵襲度も難易度も高くありません。

摘出後は再発をしないように、原因のケアや予防を行います。

では、手術をしなくて済むように普段からできることは何でしょう?

予防的にできること

予防としてできることのポイントは3つです。

①グルーミングのコントロール

痒みやストレスなどグルーミングが多くなる原因が多くはありますので、まずそのケアを行います。

②被毛のケア

大量の長い毛を取り込むことを防ぐために、日頃から定期的なブラッシングや場合によってはライオンカットなどの毛刈りを考慮します。

③消化管のケア

胃の中の毛玉をうまく便から排泄させるために流動パラフィン(ラキサトーン)などの内科薬を投与したり、

食物繊維を多く含む食事療法に切り替えます。

よくある質問(FAQ)

Q. 長毛猫は毎日ブラッシングが必要ですか?

A. 毛玉予防には毎日が理想です。最低でも週3回は行いましょう。

Q. どのブラシを使えば良い?

A. スリッカー(もつれ用)+コーム(仕上げ)が基本です。

Q. 毛玉を自分で切るのは危険?

A. 非常に危険です。皮膚が薄く、簡単に切れてしまいます。

Q. 毛玉を吐くのは病気?

A. 毛づくろいによる生理的なものもありますが、多すぎる場合はフード変更やケアの見直しが必要です。

まとめ

  • 長毛種は毛玉ができやすく毎日のブラッシングが重要
  • 毛玉放置は皮膚炎・感染・痛みの原因になる
  • 飲み込んだ毛は嘔吐・便秘・食欲低下の原因に
  • シャンプーは1〜2ヶ月に1回が目安
  • 毛玉が取れない・皮膚が赤い場合は病院でのケアが必要

正しいケアができると、
長毛猫の皮膚と被毛は驚くほど美しく健康に保てます。

長毛種の毛球症は軽視すると手術につながる病気ですが、

適切な知識を持って日々のケアをしていただければ必ず防ぐことができる病気です。

実際にはこのようなちょっとした知識と日々のケアで避けることができる病気はたくさんあります。

以下に獣医師の視点から、
治療中の猫に現実的に選ばれているフードをまとめまています。

▶︎ 猫に配慮したフードの考え方を見る

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