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獣医師が伝える犬猫の病気や治療の考え方

猫の鼻腔リンパ腫|鼻血・鼻づまりが治らない理由と治療・余命を獣医師が解説

猫の鼻腔に発生する腫瘍はほとんどが悪性で、リンパ腫がも っとも多く、その他に腺癌 扁平上皮癌 未分化癌という上皮系腫瘍が続きます。

稀に軟骨肉腫線維腫,骨肉腫などの非上皮系腫瘍の発生も認められ。多くの猫の鼻腔腫瘍は犬の鼻腔腫瘍と同様に局所で悪さをしますが、一部の鼻腔リンパ腫では腎臓などに転移を認めたり、治療中に急速に遠転移が進行することもあります 。

■ 鼻腔リンパ腫って何?

鼻腔リンパ腫とは、鼻(鼻腔・副鼻腔)にリンパ球由来の腫瘍(リンパ腫)が発生したもの。猫で最も多い鼻腔内悪性腫瘍のひとつ。

鼻腔内腫瘍のうち、リンパ腫と上皮性腫瘍(腺癌など)が約多くを占める。

鼻腔リンパ腫の年齢は8~11歳と報告されていますが 、2~3歳という若齢での発生も認められます。

以前はFeLV(猫白血病ウイルス)感染に関連する前縦隔型や多中心型リンパ腫が多くを占めていましたが、ワクチンの普及や飼育環境の変化により減少しています 。

鼻腔リンパ腫の猫のほとんどは FeLV陰性で、猫の鼻腔リンパ腫の免疫表現型はほとんどが B細胞型です。

特徴的な症状

初期は風邪や慢性鼻炎と似た軽い症状が多く、見過ごされやすい:

  • 鼻水(粘液性〜膿性)、くしゃみ、鼻づまり
  • 時に片側性の鼻汁・鼻出血
  • 呼吸時に鼻から音がする、いびきのような呼吸音
  • 鼻汁・鼻血の持続/再発
  • 進行すると、顔の腫れや形の崩れ、呼吸困難、元気・食欲低下、体重減少 など

症状として、数週~lカ月前から徐々に症状が進行し,主な臨床症状は鼻汁、鼻出血、顔面変形、食欲不振、眼脂・流涙、くしゃみなどです。

鼻の症状は抗菌薬.ステロイド薬の使用で一過性に改善することがあるため.薬剤に対する反応を認めるからとい って腫瘍ではないとは限りません。

さらに子猫の時から細菌・ウイルス性の慢性鼻炎が認められている場合は、腫瘍の診断が遅れることがあり、数力月にわたり持続する鼻徴候また片側の鼻からの症状や顔面変形などを認めた際は,腫瘍を考え、明らかな顔面変形は,一部のカビ感染を除き腫瘍が疑われます。

まり、「ただの鼻炎と思っていたら…」ということが起こりやすい。 特に 片側性の鼻汁や鼻血、治りにくい鼻炎 は要注意。

診断のための検査

鼻腔リンパ腫を確定するには、以下の検査が基本:

  1. 画像診断(CT/MRI 推奨)
    • 鼻腔内の腫瘍の広がり、骨破壊、左右差、頭蓋内や副鼻腔への浸潤の有無を評価。単純レントゲンでは見落としやすい。
  2. 組織診または細胞診(生検または針生検)
    • 腫瘍の種類(リンパ腫か上皮性かなど)を確定。特に治療方針を決める際に不可欠。
  3. 必要に応じて全身の評価(他臓器の転移チェック、血液検査など)

――鼻腔内腫瘍の鑑別疾患(慢性鼻炎、真菌性鼻炎、異物など)もあるため、安易に抗菌薬・対症治療で済ませず、精査を検討することが重要。

肺や胸腔内リンパ節への転移を確認するために胸部レントゲン検査も実施しますが、診断時には多くの症例で転移はしていません。

腹部エコー検査は、腎臓やリンパ節への転移の有無を確認するために行います。

腎臓転移の典型的な画像としては、両側腎臓の不整と腫大,被膜下の低エコー層を有するなどです。

麻酔を必要としない検査で腫瘍を疑うもしくは否定できない場合には全身麻酔下で病理組織学的検査およびCT検査を早期に実施することを検討します。

全身麻酔下での CT検査の主目的は腫瘍の転移の評価である腫瘍の進行度によりさまざまであるが、鼻甲介の破壊、上顎骨、鼻中隔の破壊が認められます。

重度の細菌性鼻炎や真菌性鼻炎によ っても鼻甲介が破壊されることもあり、特にクリプトコ ックス性鼻炎は腫瘍と類似し、画像のみでの鑑別はできません。

通常腫瘍周囲には炎症や鼻汁も認められ、腫瘍が大きい場合には壊死も伴います。

麻酔下での鼻腔生検による病理組織学的検査で腫瘍は確定される。その際に採取される細胞診検査によってもリンパ腫を診断することが可能な場合も多い。

リンパ腫の場合、正常のリンパ球と比べて大きなリンパ球がたくさん採取されます。この所見はリンパ腫と確定的です。

鼻腔腫瘍の生検は発生部位によって外鼻孔からのストロー生検、皮膚膨隆部のパンチ生検、鼻咽頭経由内視鏡下生検などを用い、生検の前には血が止まるかどうかの血小板数測定および血液凝固線溶検査を必ず実施します。

治療として放射線?抗がん剤?ステロイド?

鼻腔リンパ腫の治療は、局所制御(放射線治療)全身治療(化学療法) を組み合わせるのが基本。

  • 放射線治療(RT)
    鼻腔という構造上、手術での完全切除は困難なため、まず局所制御に有効。局所病変に限局していれば放射線で良好なコントロールが期待される。
  • 化学療法(抗がん剤)
    鼻腔リンパ腫はリンパ球由来のため、全身性疾患としての特性もあり、化学療法は重要な治療手段。報告では奏効率は約 67〜73%。
  • 放射線+化学療法の併用(集学的治療)
    多くの報告で併用療法が最も良好な予後とされる。
  • 支持療法
    鼻づまり・鼻汁・鼻血の緩和、呼吸補助、栄養管理、QOL維持のための環境調整など

なお、手術は基本的には根治目的では使われず、また外科単独での根治はほとんど期待できない。

治療は進行ステージによって考えます。

鼻腔リンパ腫の進行ステージとは、

ステージ1 片側に鼻腔に限局し、骨破壊はない

ステージ2 骨破壊がある

ステージ3 眼など多臓器へ浸潤

ステージ4 し板(鼻と脳の境目)の破壊がある

である。

猫の鼻腔リンパ腫の治療の軸は、放射線治療と抗がん剤となります。

  • ステージが進行していない、鼻腔に限局したリンパ腫

この場合は放射線治療がまず優先される。リンパ腫の放射線治療の反応性はよく、ステージ1の鼻腔リンパ腫の場合は放射線照射によって約半数で長期間元気に過ごすことができ、根治的な経過をたどることも多いです。約半数は1~2年以上の生存が可能となります。

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放射線治療はおよそ週に1~2回で1回につき6~8Gyという強さで照射する。この合計照射が32Gy以上あてれる方が長生きできます。

しかし、鼻腔腫瘍は約1/3~半数で早期に全身、特に腎臓に転移し、

その場合は、抗がん剤を組み合わせた治療が必要となります。

  • 多臓器にも転移している場合

腎臓に転移をしている場合は放射線のみで腫瘍をコントロールすることは困難であり、他のリンパ腫同様、抗がん剤治療が推奨されます、ただし、①と比べると予後は限られており、抗がん剤のみの治療で約3~5ヵ月と報告されています。

しかし、抗がん剤の効果はその子によって様々であるので長生きする子もいれば、効果が少ない子もさまざまであることが事実であり諦めるべきではありません。

鼻詰まりで呼吸が苦しい場合

鼻詰まりによって呼吸が苦しいことがほとんどです。生活するうえではお家に酸素室がある必要があります。



抗がん剤の治療や流れについては下記のコラムにまとめています。

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予後(どれくらい生きられる可能性があるか)

治療内容と反応で大きく変動するが、いくつかの報告がある:

  • 局所限局で放射線治療を受けた猫では、中央値生存 約922日(=約2.5年) の報告あり。
  • 化学療法のみだと、報告によっては 中央値生存 約320日 の例。
  • 放射線+化学療法併用では、治療に良く反応した場合、1.5〜3年レベルの長期生存が報告されている。
  • 一方、無治療・支持療法のみだと、数週間〜数ヶ月で状態が悪化することが多い。

――つまり、早期発見・適切治療・継続管理が予後を大きく左右する。

■ 飼い主さんが気をつけたいこと・ケア

  • 鼻水やくしゃみなど「慢性鼻炎と思われる症状」が数週間以上続く場合は要注意
  • 片側性の鼻汁・鼻血、改善しない鼻炎は精密検査を検討
  • 診断がついたら、放射線治療・化学療法 を主軸に治療内容を獣医師とよく相談
  • 通院頻度、副作用、生活の質(QOL)を含めた治療プランの立案が重要
  • 治療中は栄養・水分・ストレス管理、快適な住環境の維持

■ よくある質問(FAQ)

Q. 鼻炎みたいな軽い症状でも鼻腔リンパ腫の可能性はある?
→ はい。特に片側の鼻水・鼻血、治りにくい鼻炎は要注意。精密検査で診断がつくことがあります。

Q. 手術で腫瘍を取れば治る?
→ 鼻腔の構造的に根治手術は難しく、外科単独での治癒はほとんど期待できません。主な治療は放射線+化学療法。

Q. 完治できる?
→ 術後の経過は個体差が大きく、「完治」は難しい例が多いですが、適切な治療と管理で 1〜3年の安定した生活 を目指すことは十分可能。

Q. 鼻炎みたいな軽い症状でも鼻腔リンパ腫の可能性はある?
→ はい。特に片側の鼻水・鼻血、治りにくい鼻炎は要注意。精密検査で診断がつくことがあります。

Q. 手術で腫瘍を取れば治る?
→ 鼻腔の構造的に根治手術は難しく、外科単独での治癒はほとんど期待できません。主な治療は放射線+化学療法。

Q. 完治できる?
→ 術後の経過は個体差が大きく、「完治」は難しい例が多いですが、適切な治療と管理で 1〜3年の安定した生活 を目指すことは十分可能

呼吸が荒く酸素室が必要なことも多いです。

そのような状況の場合は以下を参考にしてください。

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