近年、猫ちゃんはとても長生きであり15歳を超えて元気な子も珍しくなくなってきました。
しかし、高齢化猫社会になるとともに腫瘍で悩む猫も増えています。
なかでもリンパ腫と並んで猫に多い腫瘍に
『扁平上皮癌』があります。
扁平上皮癌はとても悩ましい腫瘍でありますが、
早期に診断し治療することで克服することも期待できます。
今回は、猫の扁平上皮癌について早期発見のために、または診断後にできることについてお話しします。
扁平上皮癌の特徴・発生部位
猫の扁平上皮癌の特徴は、
・口腔内での発生が多い
・局所浸潤性が強く、骨の破壊もしやすい
・転移は比較的少ない
などが挙げられます。
中高齢(平均9歳)以降で発生することが多いです。
猫の口腔内腫瘍の約75%はこの扁平上皮癌であると言われています。
早期発見のための肉眼と症状
発生が多い場所は、
・歯肉
・舌下
であり、
肉眼的には白~ピンク色の結節またはカリフラワーのような見え方をします。
また、極めて初期は、腫瘤ではなく赤い潰瘍として見えることもあります。
早期発見のポイントは、
過去に口内炎などで悩んでなかった高齢猫が、
口腔内の歯肉や舌の下に赤いできものがあり、よだれが多い場合は一度早めに動物病院を受診しましょう。
多い症状としては、
・食欲の低下(採食困難)
・よだれ
・食べこぼし
・口臭
・歯のぐらつき
・口腔内からの出血
などです。
扁平上皮癌は初期は局所の症状しか呈さないのが特徴です。
口内炎と症状がほとんど同じですので、
初期は口内炎と思い治療されていることが多いです。
口内炎との違和感がある場合はセカンドオピニオンを希望してください。
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診断
腫瘍の診断には、まず肉眼所見で扁平上皮癌を疑い、
細胞診断または生検による病理組織検査を行い確定診断します。
また、転移は少ないですが、口腔内の骨を破壊していることが多いのでレントゲンやCT検査で骨破壊の有無を確認します。
初期の根治的治療
まず、腫瘍の治療は基本的に外科、抗がん剤、放射線の3本柱が存在しますが、
扁平上皮癌と闘う場合は、
まず可能な限り外科です。
手術は、腫瘍から、少なくとも2 cm多く切除すべきなので、一部の顎の骨ごと切除します。
口の先の方にできた場合は.外科的切除および放射線治擁により完治が見込める場合もありまず。
根治を目指す場合は、一時的な侵襲や外貌の変化は避けることはできません。
しかし、無治療で様子を見た場合は更に辛い経過をたどるため先を見据えて選択いただくべきです。
無治療の場合どうなる?
様々な理由で腫瘍の摘出手術を行わなかった場合は、
数週間から数か月以内に腫瘍は増大していき、口腔内を大きく占拠し始めます。
そのようになると口腔内の痛みや口の開け閉めができなくなり、採食困難や呼吸困難になります。
とても痛々しいため、早期からできることを前もって考え、治療を選択すべきです。
では、手術以外にできることはなんでしょうか。
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末期に手術以外にできること
まず、腫瘍に対してできることとして手術以外で最も強力な治療は放射線です。
放射線治療はヒトと違い麻酔は必要となりますが、手術と違い外貌の変化を伴わず治療可能であり、
扁平上皮癌は放射線が効く可能性がある腫瘍なので、
縮小や増大のペースを遅らせたり、鎮痛効果に期待できます。
しかし、週に1回以上の全身麻酔という負担から末期の緩和治療として希望される飼い主様は多くはありません。
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放射線治療を行わない場合にできることは、
疼痛管理と栄養管理になります。
扁平上皮癌は急に転移を起こし命に関わるというよりは、
口腔内の腫瘍が徐々に増大し痛みや採食困難となり衰弱してしまうことが多いです。
そのため、しっかりと痛み止めを投与してあげることと栄養管理をしてあげることが大切になります。
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栄養管理としては、自力での食事が困難になる場合は、
経鼻カテーテルや食道や胃瘻チューブを設置し栄養管理をしてあげることができます。
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扁平上皮癌への内科治療と抗がん剤
扁平上皮癌のもうひとつの腫瘍治療に内科治療つまり抗がん剤もあります。
詳しくは下記のコラムでまとめていますのでご参考になれば幸いです。
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まとめ
高齢になった猫ちゃんにとって腫瘍は避けれない敵となります。
裏返すと、多くの場合腫瘍での悩みは長生すきしてきた証とも考えられます。
そのなかで、猫の扁平上皮癌はとても発生が多く、治療と経過が悩ましい存在です。
何が正解ということはありません。
今回のお話が、おひとりでも参考になり、よりよい生活となることを願っています。
口の扁平上皮癌のケアとしてできることのひとつに食事管理も大切です。
腫瘍のフードや口腔環境をケアしたフードもあります、少しでも選択肢の参考になれば幸いです。
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