更新日:2025/12/9
猫が突然トイレに何度も行く、座り込んで力むのに尿が出ない、痛そうに鳴く——。
こうした症状がある場合、尿路結石や尿道閉塞(尿閉) が疑われます。
尿閉は猫にとって 命に関わる緊急疾患 で、
数時間〜1日で腎不全・高カリウム血症を起こし、
最悪の場合は心停止に至る非常に危険な状態です。
この記事では、
早期に気づくための症状、危険なサイン、緊急性、治療、予防 を
獣医師がわかりやすくまとめています。
猫ちゃんはもともと乾燥地帯の生き物であり、水分調節がうまくありません。
そのため腎臓や尿路系の病気を引き起こすことがとても多いのです。

猫の尿路結石(尿管結石と尿道結石)
■ 尿路結石とは
尿に含まれるミネラルが固まり、
膀胱や尿道に石・砂状の結晶ができる病気です。
代表的な結晶
・ストルバイト
・シュウ酸カルシウム
■ 尿閉(尿道閉塞)とは
結石や炎症、粘液などが詰まり、尿が完全に出なくなる状態 を指します。
特にオス猫は尿道が細く長いため、詰まりやすい体質です。
ヒトやわんちゃんも同じですが、猫ちゃんは特に尿路結石に悩みやすく、その症状は突然起こるので最低限の知識と注意が必要です。
尿路結石には大きく分けると尿管結石と尿道結石が存在します。
尿管結石は、腎臓で作った尿を膀胱に送る管である尿管が結石などによって閉塞する病態であり、腎臓の尿が膀胱に送れなくなるため、尿が出なくなります。
この病態に関してはまた、別のコラムでまとめます。
一方、尿道閉塞とは、膀胱に溜まった尿を外へ排泄する通り道である尿道が石などによって閉塞する病態を指します。
この尿道閉塞はほとんどの場合は男の子で起こります。
猫ちゃんの男の子の尿道は陰茎の先でとても細くなっているため、小さな石などでも詰まって流れなくなってしまうのです。
そのほとんどの原因は結石(または尿道栓という尿中の汚れ)であり、食事や生活環境が原因となります。
それ以外の原因として、老齢になった場合は腫瘍などが尿道に発生し、尿が出なくなることがあり、これは女の子でも起こりえます。
いずれにしても、尿管は左右1つずつの計2本あるので1本が詰まっても急に尿が出なくはなりませんが、
尿道は詰まると1滴も尿が出なくなりますので命に関わります。
その注意すべき症状をお話しします。
緊急を要する症状
この尿路系の病気を患う猫ちゃんで緊急を要する症状は
”尿が1滴もでない”
です。
尿道の閉塞が起こっている場合は、トイレに行って排尿ポーズをとるのに、一滴も尿が出ません。
似た症状に、膀胱炎等による頻尿があります。
頻尿の場合は、尿の回数が非常に多くなるので、1回あたりの尿が極めて少なくなり、一見、トイレでずっといきんでいるのに尿がでないように見えます。
この場合も緊急性は少し落ちますが治療は必要になりますので来院は必要です。
一方で、尿道閉塞の場合は一分一秒の緊急性があります。
踏ん張って尿が出てない時点で膀胱はある程度ぱんぱんなので、
これが出せなくなると腎臓に負荷がかかり、急性腎不全を起こし、治療が遅れると急に心停止が起こり命に関わります。
予防するために何ができるのか、なってしまった際の初期対応をお話しします。
尿路結石でよく見られる初期症状
以下の症状はすべて“危険なサイン”です。
・トイレに何度も行く
・少量ずつしか出ない
・砂をかく時間が長い
・痛そうに鳴く
・血尿
・陰部をしきりに舐める
・落ち着きがなくなる
・急に怒りっぽくなる
この段階で受診すれば、
多くのケースは比較的軽度な治療で改善します。
尿が全く出ない場合は「緊急事態」
次の症状が見られたら、すぐに病院へ(時間外でも受診推奨) です。
・尿が全く出ない
・力むが何も出ない
・嘔吐する
・ぐったりする
・呼吸が苦しそう
・体温が低い
・触ると痛がる
尿が出ない状態が続くと——
12〜24時間で腎不全、カリウム上昇による不整脈 → 心停止
につながります。
飼い主が最も気づきにくく、
しかし最も危険な病気の1つです。
動物病院での治療(緊急処置)
尿閉の治療は以下のように進められます。
■ ① 診断
・腹部触診
・尿検査
・レントゲン
・超音波検査
■ ② 尿道カテーテルで詰まりを解除
オス猫の場合、細いカテーテルを入れて詰まりを取り除きます。
痛みやストレスが大きいため、鎮静・麻酔を併用することが多いです。
■ ③ 点滴治療
腎不全・脱水・電解質異常を改善します。
■ ④ 入院管理
状態が安定するまで、1〜数日入院することが一般的です。
重症例では、
稀に手術(尿道造瘻術)が必要になることもあります。
尿路結石の治療(閉塞していない場合)
尿が出ている場合は、以下の治療が中心になります。
・食事療法(療法食)
・抗生剤(細菌感染がある時)
・鎮痛薬
・尿を流れやすくする薬
・点滴治療
特にストルバイト結石は 療法食で溶ける 場合があります。
尿閉を放置するとどうなる?
・急性腎不全
・高カリウム血症(心停止の原因)
・ショック
・けいれん
・死亡
症状が急激に悪化するため、様子見は禁物 です。
尿路結石が起こりやすい猫の特徴
・オス猫
・肥満気味
・水をあまり飲まない
・ストレス環境
・完全室内飼育で運動不足
・やや若い〜中年齢の猫
生活習慣の影響も大きい病気です。
自宅でできる予防方法
・水を飲む量を増やす(複数の水飲み場)
・ウェットフードを併用
・ストレスを減らす
・太らせない
・トイレを清潔に保つ
・定期的な尿検査
再発率が高い病気のため、継続的な管理が重要です。
治療と生活環境
まず、排尿ポーズをとっているのに、一滴も尿が出ていない、男の子は、すぐに動物病院に連れてきてください。
本当に一滴も出ていない場合は、夜中であっても夜間救急に行くべきです。
食欲不振や吐き気等が出てからでは手遅れになりますので、尿に関してはシビアに見ていただきたいです。
治療としては、まずカテーテルによって尿路の解放と排尿を病院で行い、脱水や腎不全の程度を評価して点滴を行います。
また、尿検査や石の成分に合わせてフードや環境の改善を行います。ここが一番大切な治療となりますので、これに関して別のコラムでまとめています。
猫の慢性腎臓病(CKD)とフード選び|最適な食事・栄養管理を獣医師が徹底解説
若くからあまりに尿道閉塞を繰り返す場合は、
会陰尿道瘻という、外陰部を女の子にするような手術が必要となります。
よくある質問(FAQ)
Q. 病院へ行く前に家でできる対策はありますか?
→ 尿閉が疑われる場合、家庭でできる安全な対処はありません。すぐ受診を。
Q. 一度治ればもう安心ですか?
→ 再発率が高く、数ヶ月〜数年で繰り返す猫もいます。
Q. メス猫も尿閉になりますか?
→ 少ないですが、結石が大きいと起こることがあります。
Q. 療法食はずっと続ける必要がありますか?
→ 結晶の種類・再発状況によって異なります。
まとめ
・猫の尿路結石・尿閉は非常に多い病気
・尿が出ない状態は命に関わる緊急事態
・早期に気づけば治療は軽度で済む
・オス猫は特に詰まりやすい
・再発率が高いため予防が重要
・危険なサインがある時は、時間外でもすぐ受診
猫ちゃんは何よりも泌尿器が大切です。
若くして命に関わるかつ生活環境で予防・改善が可能な病気ですので、ぜひ皆さん参考にして頂き、
大切な腎臓、いのちを守りずーと元気に長生きしていただければ幸せです。
知らないことが一番怖いことだと思いますので、
そのような内容をなるべくみなさんに知ってていただき、手遅れにならないようにこれからもお話ししていきたいと思います。
以下に獣医師の視点から、
治療中の猫に現実的に選ばれているフードをまとめまています。
▶︎ 犬猫に配慮したフードの考え方を見る
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