夏になると犬も猫もたくさん水を飲むようになります。
水をよく飲むと病気のサインと聞いたことありますよね?
血液中のカルシウムが多くても水をよく飲むようになります。
血液検査でカルシウムの数値は高くありませんか?
犬猫はさまざまな理由で高カルシウム血症という病気になります。
よく遭遇する高カルシウム血症の原因についてお話しします。



高カルシウムの原因
犬猫において高カルシウム血症になる主な原因を下記に挙げます。
・悪性腫瘍(最も多い)
・上皮小体機能亢進症
・腎不全
・若齢動物(健康)
・ビタミンD中毒
・アジソン病
などです。
高齢になり高カルシウム血症になった際に最も多いのは、
悪性腫瘍と腎不全です。
では、高カルシウムのときはどのような症状が見られるでしょうか?



高カルシウムの症状
高カルシウム血症では、
・元気食欲の低下
・多飲多尿
・神経症状(重度の場合)
などの様々な症状が認められます。
また、ポイントは
進行した重度の高カルシウムでなければ無症状だということです!
定期的にカルシウムを含んだ健康診断の血液検査をしましょう。
早期検査はヒトの5倍の頻度、重要度と考えても言いすぎではありません。
重度の高カルシウム血症が続くと腎不全が悪化したり、
心血管障害を引き起こすので危険です。
治療のためにはその原因の診断が大切です。



多飲多尿は腫瘍?腎不全?
高カルシウム血症が腫瘍なのかどうかを調べるためには、
血液のホルモン検査が大切です。
そのホルモンは
PTH、PTH-rpと呼ばれます。
腫瘍が原因の際はPTH-rpというホルモンが高くなるのでそれではっきりします。
この数値が低い場合は腫瘍の可能性は否定されます。
では、治療はどうすればいいでしょうか?
高カルシウムの治療
大切な治療は、まず
①点滴
生理食塩水を点滴し、尿からカルシウムを排泄します。
②利尿剤
点滴と併せて利尿剤を投与し尿の排泄を促します。
③ステロイド
ステロイドは腎臓でのカルシウム再吸収を抑制するので、
高カルシウムのときに有効です。
④ビスホスホネート(ゾレドロン酸)
1時間ほどかけて血管から点滴して、カルシウムの数値を下げる薬です。
特に腫瘍が原因の際は効果は高く、
月に一度ほど行います。
⑤食事管理
カルシウムは食事から摂取していますので、
適切な食事管理が大切です。
以下に食事管理の秘訣をまとめています。
犬猫の食事管理の鉄則
【完全版】獣医師おすすめのキャットフード~健康猫から病気別~
犬猫は症状(多飲多尿)と数値(カルシウム)という、
小さなサインをもとに大きな病気を伝えています。
このようなサインに早期に気付き、
早期から適切に診断し治療するためには、
飼い主さまのケアと獣医師の適切な対応が極めて大切となります。
まず何よりもヒトの5倍は、早期発見が大切です。
早期発見のために知っておくと良いと思う専門知識を、これからもお伝えしていきます。
早期発見のために知っておくべきこと
猫のなりやすい病気~何歳が青春?老齢?定期検診の必要性や頻度~

