お家の子は栄養は足りていますか?
犬猫は言葉を話せません。
犬猫が十分な栄養摂取ができているかは正確な知識をもって、
客観的に評価する必要があります。
なぜ『栄養』のことを取り上げるかというと、特に、
病気を患っている犬猫は栄養不足であることが多く、
特に腫瘍を患う犬猫ではその傾向がとても強くなるとわかっているからです。
今回は、病気を患う犬猫の栄養管理のおはなしをしようと思います。
栄養管理の重要性
病気を患う犬猫は栄養不足になっていることが多く、
特にがんを患う犬猫は大幅な栄養不足により痩せてしまうことが多いのです。
アメリカの高度医療を行う動物病院における調査では、
集中管理(ICU入院)をしている入院犬276頭のうち73%は栄養不足に陥っているとの報告されており、
入院での集中管理であっても栄養が足りていないことがわかります。
十分な栄養管理を行うことは以下の効果があることがわかっています。
・免疫機構の改善
・創傷治癒の促進
・治療反応性がよくなる
・回復時間の短縮
・生存期間の延長
飢餓や生理的なストレスはこれらの逆の働きをしますので、
適切かつ十分な栄養管理がなにより望まれます。
栄養管理の方法
まず犬猫が積極的な栄養管理やサポートを必要としているかの判断するポイントをまとめます。
これが客観的な評価です。
・食欲の低下が3~5日続いている
・皮下脂肪が少なく肋骨がうき上がり、くびれている
・5%以上体重が減った
・アルブミン(血液検査)値が低い
これらをひとつでも満たす場合はすでに体は飢餓状態であり、
エネルギーは体の脂肪や筋肉を分解して得られている状態ですので、
積極的に栄養サポートをするべきです。
栄養管理のポイントは2つ
①栄養の給餌方法
②与える栄養の内容
①に関して、自分から食べる場合は②を強化してサポートします。
①強制給餌による栄養管理
自分から食べない場合は、強制給餌を行う必要があります。
強制給餌は、ごはんをミキサーにかけ団子状や泥状にしてシリンジなどを用いて与えるかもしくは、
病院で給餌ルートを設置します。
比較的よく設置する給餌ルートは
鼻チューブ、食道チューブ、胃ろうチューブ
があります。
鼻のチューブは麻酔かけずに簡単に設置でき非侵襲的で最もよく用いますが、
くしゃみで抜けてしまったりするので長期間の管理には向きません。
胃チューブや食道チューブは長期的な栄養管理には最適であり、
本人の不快感なく給餌することができますが設置する際に短時間の麻酔が必要となります。
②給餌すべき食事内容
給餌すべき内容は各病態により異なります。
腎臓病の場合は低Pや低蛋白、消化管の病気の場合は低脂肪などさまざまです。
その子その子で最適な食事内容は大きく異なります。
おうちの子がどのような食事が望ましいか考えオーダーメイドに食事を選択することが最適です。
腫瘍患者の栄養管理
腫瘍は成長に多くのエネルギーを使用するので、
しっかり食べていても腫瘍に栄養が奪われてしまうのでどんどん痩せてしまいます。
そのため腫瘍を患っている犬猫はより十分な栄養管理が必要となります。
その際のポイントは
エネルギー源はなるべく
良質なタンパク質と脂肪です!
意外ですよね。
これは、炭水化物は腫瘍が成長に使用してしまうからです
また、脂肪はとてもエネルギー効率が高く、タンパク質は筋肉源になり、
腫瘍を大きくするのを抑える重要なアミノ酸を含みます。
また腫瘍を患う犬猫は、体重に対する食事量の1.5倍ほどの量を食べる必要があります。
栄養の豊富さと腫瘍治療成績は相関があるとの海外の報告もあり、とても大切なことです。
その1番の理由は腫瘍免疫にあります。
腫瘍は自身の身体にとって異物なので自己の免疫でやつけようとします。
この免疫力を上げることは直接的に腫瘍治療に関わるのです。
腫瘍を患う犬猫ちゃんの飼い主様からよく『何を食べればいいですか?』とよく聞かれます。
下記のサイトに腫瘍の犬猫の栄養管理方法について詳しく書かれているので参考にしてみてください。
腫瘍専用ドッグフード【特別療法食G・A・N+】腫瘍専用キャットフード【特別療法食G・A・N+】これら腫瘍患者に最も好ましい組成であるので参考にして栄養管理できればと思います。
まずは早期から試していくことが何より大切です。
まとめ
今回は病気を患う犬猫の栄養管理についてお話ししましたが、
病気や腫瘍を患っている際はとっても栄養管理が重要であり、その治療の成績や寿命に直結します。
動物は言葉を話すこともできなければ、ご飯を選ぶこともできません。
おうちの子に対して最適となる食事や栄養をしっかり考え、
その子それぞれのオーダーメイドな食事管理をしていただければと思います。
【病気別】猫のオーダーメイド食事管理
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