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獣医師が伝える犬猫の病気や治療の考え方

子宮蓄膿症|症状・診断・治療・手術の流れを獣医師がわかりやすく解説~緊急手術をしたトイプードル~

更新日:2025/12/7

ヒトではイメージがつきにくい病気のひとつに子宮蓄膿症があります。

子宮蓄膿症は子宮に膿が溜まり急に命に関わる、中年齢の雌に多い病気です。

この病気は、手遅れになると命を助けることができなくなるので、

正しく迅速な判断が大切です。

今回は緊急手術で命をとりとめたトイプードルのお話をします。

トイプードルは、性格が穏やかで我慢強い子が多く、
体の異変を隠してしまいやすい犬種 と言われます。

そのため、命に関わる病気である 子宮蓄膿症(しきゅうちくのうしょう)でも、
症状の出方が穏やかで、気づいたときには重度になっているケースが珍しくありません。

子宮蓄膿症は、避妊手術をしていないメス犬では とても一般的で、決して珍しくない病気 です。
発症すると短期間で容態が悪化するため、早期発見と手術が命を救う鍵になります。

タイミングと初期症状

まず、子宮蓄膿症は未避妊の雌に発生します。

タイミングは、生理の後の1ヶ月前後がほとんどです。

このトイプードルも、未避妊の5歳で、

生理がいつもより長く続いてるとの稟告でした。

症状は、初期は陰部からの排膿のみで、無症状なこともあります。

あとは、水をたくさん飲むなど、一見長い生理に見えます。

その後菌が全身に回り始めると、熱が出て、元気食欲がなくなり始めます。

ここまでくると手遅れになり得ます。

トイプードルちゃんは、生理が長く続き、生臭いおりものが続くため病院に来ました。

緊急手術?!

経過からすぐに子宮蓄膿症が疑われ、

血液検査とエコー検査で簡単に診断されます。

診断されると、まず抗生剤の投与を行い、

治療方法の相談をします。

治療は第一は外科で、膿の溜まった子宮を摘出すること。

麻酔がかけれない子は抗生剤の内科治療と点滴、排膿を促す注射で治療します。

トイプードルちゃんは麻酔がかけれる状態だったので即日、子宮摘出手術を行いました。

摘出手術後2日入院し、元気になり退院しました。

費用は退院まででトータル約10万円です。

トイプードルが注意すべき理由

トイプードルは、以下の特徴から 発見が遅れやすい犬種 です。

  • 我慢強く、痛みを隠しやすい
  • 小型犬で体重の変化に気づきにくい
  • 性格的に“普段通り”に見えてしまうことがある
  • 子宮の腫れが外から触れても分かりにくい
  • 嘔吐などが少なく、症状が軽く見える

軽度に見えても、体内では重度の炎症が進んでいることがあります。

子宮蓄膿症とは

子宮に細菌が入り込み、
膿(うみ)がたまってしまう命に関わる病気 です。

発情後1〜2ヶ月の時期に最も起こりやすく、
避妊手術をしていないメス犬では年齢とともに発症率が上がります。

重症化すると、

  • 敗血症
  • 腎不全
  • 子宮破裂
  • 多臓器不全

に進行し、命を失うこともあります。

よく見られる症状

最初は非常に分かりにくい症状が多いです。

  • 元気がない
  • 食欲低下
  • 水をよく飲む
  • 尿の量が増える
  • 発熱
  • おりもの(膿)が出る
  • お腹が張る
  • 嘔吐

特に 水を飲む量が増える(多飲)は初期症状として重要です。

また、
おりものが見えるタイプ(開放性)は比較的分かりやすいですが、
見えないケース(閉鎖性)のほうが危険です。

開放性と閉鎖性の違い

■ 開放性(オープンタイプ)

  • 膿が外に出る
  • 外陰部が汚れる
  • 気づきやすい
  • 一般的に閉鎖性より重症度は低い

■ 閉鎖性(クローズタイプ)

  • 膿の出口が塞がっている
  • 外に出てこない
  • 急激に悪化しやすい
  • 子宮破裂の危険がある
  • 治療がより緊急を要する

閉鎖性は 見た目では判断できない ため、超音波検査が必須です。

診断方法

動物病院では以下の検査を行います。

  • 身体検査
  • 血液検査(白血球、腎臓、肝臓、炎症)
  • 超音波検査(子宮の拡張、内容物の確認)
  • レントゲン検査(お腹の膨らみの確認)

超音波で 子宮内に液体がたまっているか が重要な診断ポイントです。

治療方法

■ 基本治療:卵巣子宮全摘出手術(OHE)

最も確実で、推奨される治療方法です。

  • 膿がたまった子宮と卵巣をすべて取り除く
  • 根治治療
  • 再発の心配がなくなる

ほとんどのケースで 手術が第一選択 になります。


■ 内科治療(薬)について

抗生剤だけの治療は一般的に推奨されません。

理由:

  • 完治しない
  • 再発率が非常に高い
  • 短期間で悪化する可能性がある

重度の持病がある場合のみ選択されることがありますが、基本は手術が必要です。

手術の流れと注意点

子宮蓄膿症の手術は 緊急性が高い ことが多いです。

  • 点滴で循環を安定させる
  • 抗生剤・鎮痛剤を投与
  • 体力が整い次第、手術へ進む

子宮が大きく破裂しそうな場合や、
敗血症を起こしている場合は、より集中治療が必要です。

成功率は高いものの、
治療開始が遅れるほどリスクが高まります。

放置した場合の危険性

  • 子宮破裂
  • 敗血症
  • 腎臓・肝臓の障害
  • 脱水
  • 多臓器不全
  • 死亡

放置して自然に治る病気ではありません。

予防方法(避妊手術が唯一の予防)

避妊手術(卵巣子宮全摘)は 子宮蓄膿症を100%予防 できます。

また、同時に

  • 乳腺腫瘍の発生率低下
  • 偽妊娠の予防
  • 生理に伴うストレスの軽減

といった健康上のメリットもあります。

よくある質問(FAQ)

Q. 何歳から予防のための避妊手術ができますか?
→ 生後6〜12ヶ月が一般的です。

Q. 子宮蓄膿症は高齢の犬に多い?
→ はい。発情を繰り返すたびリスクが高まります。

Q. 内科治療だけで治ることはありますか?
→ 一時的に改善することはありますが、根治はできません。

Q. 手術後はどれくらいで元気になりますか?
→ 2〜5日ほどで回復することが多いです。

まとめ

  • 子宮蓄膿症は 避妊していないメス犬に非常に多い命に関わる病気
  • トイプードルは症状を隠しやすく、発見が遅れやすい
  • 主な症状は食欲不振、多飲、発熱、おりもの、元気低下
  • 開放性より閉鎖性のほうが危険度が高い
  • 治療の基本は 卵巣子宮全摘手術(OHE)
  • 放置すると敗血症や子宮破裂のリスクがある
  • 避妊手術が最も効果的な予防方法

動物はヒトと似てますが、予想しないような病気や症状を呈します。

飼い主さまは病気について無知なことが多く、

どうしても気づくのが遅れてしまいます。

その遅れは命に直結します。

なるべくそのような命を助けることができるように、飼い主として知っておくべきことを、まとめていきます。

以下に獣医師の視点から、
治療中の犬猫に現実的に選ばれているフードをまとめまています。

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