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獣医師が伝える犬猫の病気や治療の考え方

猫のくしゃみと鼻の腫瘍~がんかもしれない症状・原因・診断・治療・予後~

猫ちゃんはよくくしゃみをします。

その原因は何でしょうか?

若い子であればその多くは鼻炎です。

猫ちゃんはヘルペスウィルス感染症が多く、

よくネコ風邪と呼ばれるのはこのウィルス感染症です。

ねこかぜの原因ヘルペスウイルス

猫の目やにやくしゃみはヘルペスウィルス?

しかし、年齢を重ねてひどくくしゃみや鼻水を飛ばす場合は、

鼻炎だけではなく鼻腔内の腫瘍であることは少なくありません。

では、どのような症状のとき腫瘍を疑うのか?

どのような検査をすべきか?

どんな腫瘍が多いでしょうか?

猫の鼻(鼻腔・副鼻腔)にできる腫瘍を「鼻腔腫瘍」といいます。
鼻炎とよく似た症状で始まるため見逃されやすい病気ですが、早期発見と正確な診断で治療の選択肢が大きく変わります。

「風邪が長引いてるだけかと思ったら、腫瘍だった」というケースも珍しくありません。

ここでは、猫の鼻腫瘍について最新の情報をわかりやすくまとめています。

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鼻腔内腫瘍の症状

鼻炎の症状との1番の違いは、

鼻血がでる

・顔の形が変形している

この症状がある場合は腫瘍の可能性が高いので、

早く動物病院にかかってください。

その他、今までよりあまりに頻度が多い場合や、

鼻水に左右差がある場合なども気になる症状になりますので検査をすべきです。

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鼻腔腫瘍の主な症状

・片側または両側の鼻水(粘液・膿・血)
・鼻づまり、くしゃみが増える
・片側性の鼻血
・顔の変形、腫れ
・呼吸が苦しそう、音がする
・元気低下、食欲不振、体重減少

風邪や慢性鼻炎と間違われることが多いですが、
「片側だけ続く鼻づまり・鼻血」「抗生剤で改善しない鼻炎」は腫瘍の重要なサインです。

腫瘍の種類(猫で多い順)

猫の鼻腔腫瘍は以下のタイプが報告されています。

・鼻腔リンパ腫(もっとも多い)
・腺癌
・扁平上皮癌
・その他の腫瘍(肉腫など)

猫の場合は特にリンパ腫の割合が高く、治療反応性も比較的良い傾向があります。

診断方法:どのような検査をすべき?

鼻腔腫瘍は外から見えないため、画像検査と病理検査が必須です。

1)画像検査(CTまたはMRI)
・鼻腔内の腫瘍の大きさ
・骨破壊の有無
・左右差
・眼や脳への広がり
これらを正確に判断できるため、レントゲンより圧倒的に有用です。

2)病理検査(生検または細胞診)
腫瘍の種類を確定するために必要です。
「リンパ腫か、上皮性腫瘍か」で治療内容と予後が大きく変わります。

3)鼻炎・真菌症・異物など他の病気の除外
腫瘍と症状が似ているため、一緒に検査することがあります。

鼻腔内に発生する腫瘍ランキング

1位リンパ腫ー約40%

【経験談】猫のリンパ腫 ~どうなる?予後は?完治する?実際の抗がん剤治療例~

2位 鼻腔内腺癌ー約20%

3位 扁平上皮がんー約5%

【2025-2026年最新版】猫の扁平上皮癌(SCC)|早期発見のポイント・治療・末期の症状とできること【獣医師が解説】

これは、組織生検を行った際の診断結果に基づいてますので、

実際にくしゃみをしている際の病気の割合ではありません。

ただし、鼻血や顔面変形などの派手な症状を示す場合は、なるべく早くに診断をつけ治療をしてあげましょう。

リンパ腫は猫ちゃんで極めて多い病気でありますが、

治療の早さや内容によっては十分治療してあげられる病気です。

なによりも早期発見、早期治療です。

治療方法

治療法は「腫瘍の種類」と「進行度」「猫の体力」で選択します。

● 放射線治療(第一選択)
鼻腔リンパ腫・腺癌など、ほとんどの鼻腔腫瘍で効果が高い治療法。
症状改善が早く、多くの猫で呼吸が楽になります。

・緩和的分割法(週1回 × 数回)
・通常分割法(15〜18回)

報告では以下のような結果があります:
・鼻腔リンパ腫:放射線のみで中央値生存 約2年以上の例あり
・腺癌:緩和的放射線で生存中央値 約1年という報告もあり

● 化学療法(抗がん剤)
主に鼻腔リンパ腫で使用。
・CHOP
・L-アスパラギナーゼ
・ステロイド
放射線と組み合わせることで生存期間が延長するケースも多いです。

● 手術
鼻腔は複雑な構造であるため、腫瘍の完全切除はほぼ不可能です。
そのため、手術は基本的に「症状緩和」が目的。

● 支持療法
・痛み管理
・抗炎症薬
・抗菌薬(感染対策)
・ネブライザー
・酸素環境の調整
生活の質(QOL)を保つために重要です。

予後(どれくらい生きられる?)

腫瘍の種類と治療内容で大きく変わります。

● 鼻腔リンパ腫
・放射線+化学療法:平均 1.5〜3年
・放射線単独:1〜2年

局所に限局していれば、比較的良好な経過が期待できます。

● 腺癌・扁平上皮癌(上皮系腫瘍)
・放射線治療:半年〜1年程度
・進行度によって大きく変動

● 無治療
症状が徐々に悪化し、数週間〜数ヶ月で進行することが多いです。

■ お家でのケア

・鼻づまりの改善(ネブライザー、湿度管理)
・ストレスを減らす
・食事量のチェック
・呼吸が苦しそうな時は早めの受診
・出血が続く時は特に注意

症状は波があるため、「少し良くなったから大丈夫」と思わず、
状態が悪化した際は早めに相談することが大切です。

■ よくある質問(FAQ)

Q:風邪みたいな症状でも腫瘍の可能性はありますか?
A:あります。特に片側だけの鼻づまり・鼻血が続く場合は疑うべきです。

Q:放射線治療は高齢猫でもできますか?
A:多くの高齢猫が安全に受けられます。副作用も比較的軽度です。

Q:鼻腔リンパ腫は治りますか?
A:完治は難しいですが、治療により長期寛解が望める腫瘍です。

Q:手術で治せますか?
A:鼻腔腫瘍は完全切除が難しく、手術単独での治癒は期待できません。

まとめ

・猫の鼻腔腫瘍は「長引く鼻炎」と見分けがつきにくい
・診断にはCTと病理検査が必須
・放射線治療が最も効果的なことが多い
・鼻腔リンパ腫は比較的予後が良い
・腺癌などの上皮性腫瘍は緩和治療が中心になる
・治療と生活環境の調整で、長く安定した生活を送れる可能性がある

呼吸が荒く酸素室が必要なことも多いです。

そのような状況の場合は以下を参考にしてください。

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