更新日:2025/12/6
猫は高齢化とともに腫瘍(がん)の発生が増える動物です。
進行がゆっくりの腫瘍もあれば、短期間で悪化する腫瘍もあり、早期発見・早期治療が予後を大きく左右します。
この記事では、
猫で特に多い腫瘍の種類・症状・診断・治療・予後 を体系的にまとめています。
飼い主の方が「どの病気がどんな特徴をもつのか」を理解しやすいよう、
腫瘍ごとに要点を整理しています。
- 0.1 猫に多い腫瘍の特徴
- 0.2 猫によくみられる腫瘍一覧
- 0.3 まぶた『マイボーム腺腫』
- 0.4 眼球『メラノーマ』
- 0.5 鼻腔『腺癌』
- 0.6 口唇/マズル『組織球腫』
- 0.7 口の中『メラノーマ』
- 0.8 耳の中『耳垢腺癌』
- 0.9 胸の中『胸腺腫』
- 0.10 肺『肺腺癌』
- 0.11 心臓『血管肉腫』
- 0.12 口腔/のど『扁平上皮癌』
- 0.13 くび(のどぼとけ)『甲状腺癌』
- 0.14 胃『腺癌』
- 0.15 小腸『リンパ腫』
- 0.16 盲腸『GIST(消化管間質腫瘍)』
- 0.17 大腸『ポリープ』
- 0.18 肝臓『肝細胞癌』
- 0.19 脾臓『血管肉腫』
- 0.20 膵臓『インスリノーマ』
- 0.21 副腎『腺癌/褐色細胞腫』
- 0.22 腎臓『腎腺癌』
- 0.23 膀胱『移行上皮癌』
- 0.24 精巣『セルトリ細胞腫ほか2つ』
- 0.25 包皮
- 0.26 卵巣『顆粒膜細胞腫』
- 0.27 子宮『平滑筋腫』
- 0.28 膣『線維腫』
- 0.29 肛門『肛門周囲/嚢腺癌』
- 0.30 骨『骨肉腫』
- 0.31 関節『組織球性肉腫』
- 0.32 筋肉『血管肉腫』
- 0.33 指『軟部組織肉腫』
- 0.34 脳『髄膜腫』
- 0.35 脊髄『悪性末梢神経鞘腫』
- 0.36 皮膚『肥満細胞腫』
- 0.37 乳腺『乳腺腫瘍』
- 0.38 腫瘍を疑うべきサイン
- 0.39 検査と診断
- 0.40 治療の基本
- 0.41 腫瘍と向き合うときの考え方
- 0.42 よくある質問(FAQ)
- 1 ■ まとめ(この記事の要点)
猫に多い腫瘍の特徴
猫の腫瘍は次のような特徴があります。
- 進行が早い腫瘍が多い
- 症状を隠す動物のため、見つかった時には進んでいることがある
- 治療への反応は腫瘍によって大きく異なる
- 外科・抗がん剤・放射線など治療選択肢は多様
腫瘍ごとに最適なアプローチが異なります。
猫によくみられる腫瘍一覧
代表的な腫瘍は以下の通りです。
- **リンパ腫(消化器型・腎型・縦隔型など)
- 悪性黒色腫(メラノーマ)
- 扁平上皮癌(SCC:口腔・皮膚・鼻)
- 肥満細胞腫(皮膚・内臓)
- 乳腺腫瘍(ほとんどが悪性)
- 肺腺癌(原発・転移)
- 骨肉腫(稀だが存在)
- 肝臓・腎臓などの実質臓器腫瘍
- 甲状腺腫瘍(良性が多いが例外あり)
猫はリンパ腫の割合が特に高く、年齢や背景疾患によって発生率が変わります。
以下にまとめます。
まぶた『マイボーム腺腫』
眼球『メラノーマ』
ごんた先生おうちの猫ちゃん おめめに黒いシミありませんか? 猫の目にできる眼球腫瘍のなかで圧倒的に発生率が多い腫瘍はメラノーマ(別名:悪性黒色腫)です。更新日:2025/11/24猫の[…]
鼻腔『腺癌』
更新日:2025/12/5犬猫問わず鼻の中(鼻腔内)に腫瘍が発生することは少なくありません。高齢の犬猫において長い期間鼻血が出ている場合などは鼻腔内に腫瘍が発生している可能性も考える必要があります。[…]
口唇/マズル『組織球腫』
口の中『メラノーマ』
耳の中『耳垢腺癌』
胸の中『胸腺腫』
更新日:2025/11/24猫の胸腺腫(Thymoma)は、胸の前側(胸骨の裏あたり)にある胸腺という免疫器官から発生する腫瘍 です。胸腺腫は猫では多くありませんが、見つかった時には呼吸が苦しい胸[…]
肺『肺腺癌』
症状: 咳、呼吸が早い、元気低下
治療: 手術、抗がん剤
予後: 原発か転移かで大きく異なる
猫は他部位の腫瘍から“肺転移”を起こすことがよくあります。
心臓『血管肉腫』
口腔/のど『扁平上皮癌』
症状: 口臭、よだれ、出血、皮膚の潰瘍、しこり
治療: 外科切除、放射線治療
予後: 口腔SCCは進行が早く予後不良、皮膚型は比較的良好
早期で手術できればコントロールしやすい腫瘍です。
更新日:2025/11/23猫の口腔内扁平上皮癌(SCC)は、痛みが強く、進行が早く、完治が非常に難しい腫瘍です。その中で「Palladia®(パラディア/トセラニブ)」は効くのか?どんなケースで使うべきなのか?副[…]
くび(のどぼとけ)『甲状腺癌』
胃『腺癌』
小腸『リンパ腫』
症状: 食欲不振、体重減少、嘔吐、下痢、呼吸困難、元気低下
診断: 超音波、細胞診、血液検査、CT
治療: 抗がん剤治療が中心(プロトコル多数)
予後: 型により大きく異なる(数ヶ月〜数年以上)
猫の腫瘍の中で最も治療選択肢が多い病気です。
更新日:2025/11/23猫のリンパ腫は、「治療すれば大きく良くなるケース」 と「難しいケース」 が極端に分かれる腫瘍です。ネットにはいろんな情報があるけれど、治療現場の獣医師としては “本当に大切なポイント” は別にあ[…]
盲腸『GIST(消化管間質腫瘍)』
大腸『ポリープ』
肝臓『肝細胞癌』
更新日:2025/12/5猫ちゃんが食欲不振や嘔吐を認め、皮膚粘膜や尿が黄色くなっている、そんなとき血液検査をすると黄疸を認め、エコー検査で肝臓にできものができている。比較的よく遭遇する状況です。猫の肝臓に[…]
脾臓『血管肉腫』
膵臓『インスリノーマ』
副腎『腺癌/褐色細胞腫』
腎臓『腎腺癌』
症状: 食欲不振、体重減少、嘔吐、貧血、腎数値の上昇
治療: 外科・内科治療(腎は外科適応が限られる)
予後: 腫瘍の種類で大きく異なる
腎リンパ腫は特に進行が早く、緊急対応が必要なことがあります。
膀胱『移行上皮癌』
精巣『セルトリ細胞腫ほか2つ』
包皮
皮膚『肥満細胞腫』
症状: 皮膚のしこり、腸トラブル、嘔吐
治療: 外科切除、抗がん剤(トセラニブなど)
予後: 皮膚型は良好なことが多いが、内臓型は注意が必要
猫では犬と違い“低悪性度の皮膚型”が多いです。
更新日:2025/12/9猫の肥満細胞腫(MCT)は、犬の肥満細胞腫と大きく性質が異なります。特に猫の 皮膚にできる肥満細胞腫は良性に近いタイプが多く、治りやすい腫瘍 とされています。一方で、脾臓・腸など体の中にできる 消[…]
卵巣『顆粒膜細胞腫』
子宮『平滑筋腫』
膣『線維腫』
肛門『肛門周囲/嚢腺癌』
骨『骨肉腫』
関節『組織球性肉腫』
筋肉『血管肉腫』
指『軟部組織肉腫』
脳『髄膜腫』
脊髄『悪性末梢神経鞘腫』
皮膚『肥満細胞腫』
更新日:2025/12/9猫の肥満細胞腫(MCT)は、犬の肥満細胞腫と大きく性質が異なります。特に猫の 皮膚にできる肥満細胞腫は良性に近いタイプが多く、治りやすい腫瘍 とされています。一方で、脾臓・腸など体の中にできる 消[…]
乳腺『乳腺腫瘍』
症状: 乳腺のしこり、腫れ、左右へ広がる
治療: 早期の外科切除(片側・両側摘出を含む)
予後: 大きさ・進行度で大きく変わる
早期手術が最も予後を伸ばす治療です。
腫瘍を疑うべきサイン
以下の症状がある場合、腫瘍の可能性があります。
- 体重が減る
- 食べる量が減る
- 嘔吐・下痢が続く
- 呼吸が早い
- 触れるしこり
- 顔の腫れや口臭
- 元気がなくなる
- 高齢での急激な体調変化
猫は症状を隠すため「なんとなく元気がない」だけでも注意が必要です。
検査と診断
腫瘍の正確な診断には複数の検査が必要です。
- 身体検査
- 超音波(エコー)
- レントゲン
- CT
- 血液検査
- 細胞診・生検
腫瘍は種類によって治療方法が異なるため、
可能な範囲で確定診断を目指すことが重要 です。
治療の基本
猫の腫瘍治療には次の3つが中心になります。
● 外科手術
根治を期待できるケースが多い。
● 抗がん剤治療
リンパ腫・肥満細胞腫などで特に有効。
● 放射線治療
扁平上皮癌・鼻腔腫瘍などで選択肢となる。
腫瘍の種類・進行度・猫の体力によって治療方針は変わります。
腫瘍と向き合うときの考え方
猫の腫瘍治療では、
- 病気を完全に治すこと
- 生活の質(QOL)を守ること
の両方をバランス良く考える必要があります。
“治療の負担” と “得られる効果” を比較しながら、
その子にとって最善の選択を一緒に決めていくことが大切です。
よくある質問(FAQ)
Q. 高齢でも治療できますか?
→ 可能です。年齢よりも体の状態・腫瘍の種類が重要です。
Q. しこりが小さい場合は様子見でいい?
→ 直径1cm以下でも悪性腫瘍はあります。早めの受診が安全です。
Q. 抗がん剤は副作用が強い?
→ 猫では副作用は比較的穏やかですが、個体差があります。
Q. 腫瘍は必ず転移しますか?
→ 腫瘍の種類と悪性度によります。
では副作用は比較的穏やかですが、個体差があります。
Q. 腫瘍は必ず転移しますか?
→ 腫瘍の種類と悪性度によります。
■ まとめ(この記事の要点)
- 猫は リンパ腫・肥満細胞腫・扁平上皮癌・乳腺腫瘍 が特に多い
- 腫瘍の進行は速いものから緩やかなものまで様々
- “なんとなく元気がない” という変化でも腫瘍が隠れていることがある
- 診断にはエコー・レントゲン・CT・細胞診が重要
- 外科・抗がん剤・放射線の3つが治療の柱
- 早期発見と早期治療が予後を大きく延ばす
- 猫は症状を隠すため、飼い主の小さな気づきが重要
腫瘍は決して珍しい病気ではありませんが、
多くのケースで早めの対応がその後の経過を大きく変えます。
以下に獣医師の視点から、
治療中の猫に現実的に選ばれているフードをまとめまています。
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